先に結論を書きます。「日本の歓楽街」を並べて比べると、いちばんはっきり違うのは店の顔ぶれではなく、街の輪郭の引かれ方です。 町名がそのまま街の名前になっている場所もあれば、町名としては存在しない通称だけの街もあります。そして、その輪郭にいちばん具体的な線を引いているのは、多くの場合、その市区が定めた客引きに関する条例の「区域」です。
この記事は、全国の歓楽街を10か所選んで一覧にしたページです。各街は1〜2段落の紹介にとどめ、深掘りは個別の記事に譲ります。 並び順は北から南へ地理的に並べただけで、規模や人気の順位ではありません。優劣をつける意図はなく、店名も挙げません。
制度そのものの説明は、風営法の基本、営業時間のルール、高額請求への対応にまとめてあります。ここでは「街をどう読むか」に絞ります。
この記事で分かること
- 「歓楽街」という言葉が法律用語ではないこと、そして法律が実際に線を引いている三つの対象
- 全国10か所の歓楽街の、所在する市区・成り立ち・輪郭の引かれ方
- 通称と町名がずれている街と、一致している街の違い
- 街のでき方には大きく三つの型があること
- 自治体ごとにばらばらな客引き条例の中身(過料の額まで揃っている自治体と、刑罰を定めている自治体がある)
- 「日本三大歓楽街」のような呼び方に公的な根拠があるのかどうか
法令・条例に関する記述は一般的な情報であり、個別の事情によって結論は変わります。条例や区域の指定は改正されるため、実際に判断が必要なときは最新の条文を確認してください。特定の街や地区を評価する記事ではありません。
「歓楽街」は法律用語ではない
意外に思われるかもしれませんが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号、いわゆる風営法)の条文を通して読んでも、「歓楽街」という語は一度も出てきません。 「歓楽」という言葉が現れるのは一か所だけで、第2条第3項の定義です。
この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
つまり法律は、街を名指ししません。代わりに次の三つに線を引きます。
- 営業の種別——第2条第1項で、接待をして飲食をさせる営業などを列挙する
- 営業所の場所——第4条第2項第2号で、「良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき」は許可をしてはならないと定める
- 営業の時間——第13条第1項で、深夜(午前零時から午前六時まで)の営業を原則禁止しつつ、都道府県の条例で定める地域に限り、条例で定める時まで営業できるとする
歓楽街とは、この三つの線が重なった結果として、飲食店が集まって残った場所の呼び名です。 だから「どこからどこまでが歓楽街か」は法律では決まっておらず、町名・通称・自治体の条例区域・商店街組合の範囲などが少しずつずれたまま重なっています。以下の10か所も、その重なり方がそれぞれ違います。
全国の歓楽街10か所(北から南へ)
すすきの(北海道札幌市中央区)
すすきのは、町名としては存在しません。 札幌の街区は「南◯条西◯丁目」で表されるので、住所のどこにも「すすきの」は現れず、地下鉄の駅名と通称としてだけ生きています。北海道の観光公式サイトは、すすきのを「約3,500軒の店が集まる」街と紹介し、成り立ちについては1870年頃の開拓使の時代に遊郭として始まり、1920年頃にその役目を終えた後、飲食店街として発展したと説明しています。名前の由来は諸説あり、定まった説明は見当たりません。
輪郭を最も具体的に示しているのは、札幌市の客引き条例です。札幌市客引き行為等の防止に関する条例(2022年7月1日全面施行)の禁止区域は、市道北8条線・市道西7丁目線・市道南7条線・創成川通に囲まれた区域内の公共の場所です。 これは札幌駅前から大通を越えてすすきのまでを一続きに含む広い範囲で、すすきのだけを囲った線ではありません。ただし条例には段差があり、南3条線より南、つまりすすきの側では、自分の店の前1メートル以内であっても客引き行為等が禁止されます。 違反が続いた場合は5万円以下の過料と氏名等の公表が定められています。街の性格の違いが、条文の中に段差として書き込まれている例です。
国分町(宮城県仙台市青葉区)
国分町は、江戸時代の街道がそのまま繁華街になった街です。 宮城県の観光公式サイト「宮城まるごと探訪」は、国分町を定禅寺通と広瀬通に挟まれたエリアとし、江戸時代には仙台城下を南北に走る奥州街道の中心であったと説明しています。城下町の町人町が、近代以降も商業の中心であり続け、そのまま飲み屋が集まる一帯になった——という形です。町名は現在も仙台市青葉区国分町として残っており、通称と町名が一致するタイプです。
仙台市には「仙台市客引き行為等の禁止に関する条例」があり、市の公式サイトに客引き対策のページと、条例に基づく氏名等の公表状況のページが置かれています。街の名前を冠した条例ではありませんが、行政が継続して関与している点は他の街と共通です。
歌舞伎町(東京都新宿区)
歌舞伎町という町名は、実現しなかった計画の名残です。 一般社団法人新宿観光振興協会は、歌舞伎町の誕生を戦災復興事業として歌舞伎座の誘致をめざしていた時期と結びつけて説明しています。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに収録された調査回答も、複数の地名辞典を根拠に、戦後の復興計画で庶民的な演劇・娯楽センターを作る意図があったため昭和23年(1948年)に命名されたが、その計画は実現しなかった、としています。建てられなかった劇場の名前が、そのまま町名として70年以上残っているわけです。
輪郭は町名で引かれています。新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例は「客引き行為等防止特定地区」を指定しており、区の公式ページによれば歌舞伎町1丁目・2丁目に加え、新宿2丁目・3丁目、西新宿1丁目が指定されています。条例は2013年に施行され、2016年4月1日施行の改正(罰則規定は同年6月1日施行)で、地域団体の責務、客引きから紹介された客を店に入れないこと、賃貸借契約に解除の特約条項を設けることなどが加わりました。街の側の契約書にまで手を伸ばしている点が、この条例の特徴です。 詳しくは歌舞伎町の記事へ。
六本木(東京都港区)
六本木は、長く一般に開かれていなかった土地が、返還の順番に従って開いていった街です。 江戸期の武家地が明治に陸軍の用地となり、戦後は米軍が接収し、返還された区画から順に美術館や複合施設が建ちました。同じ数百メートルの範囲に大使館・テレビ局・美術館・超高層オフィスが同居しているのは、この来歴の結果です。町名としては六本木一丁目から七丁目まであり、日常会話で「六本木」と呼ばれる範囲は隣接する赤坂の一部にまたがります。土地の来歴と、東京都の営業延長許容地域の告示については六本木の記事で詳しく扱っています。
錦三丁目(愛知県名古屋市中区)
錦三丁目は、行政の線引きの上では「栄」の一部として扱われています。 名古屋市が客引き行為等禁止区域として示す「栄地区」は、栄三丁目・栄四丁目・栄五丁目・新栄一丁目・錦三丁目の五つの町名で構成されています(2018年10月1日施行、命令違反には5万円の過料)。通称としては「錦三(きんさん)」と「栄」は別の街として語られることが多いのですが、条例の区域図では一つの地区にまとめられている。通称の地図と行政の地図がずれる典型例です。
この一帯の成り立ちは、名古屋城の築城とともに始まります。名古屋城公式ウェブサイトによれば、清須越は1610年(慶長15年)に始まり、約6万人・約100の寺社・67の町が名古屋へ移されました。三之丸の南側を碁盤の目に区切った「碁盤割」が町人地とされ、本町通や広小路といった通りもこの時期に整備されています。城下町の町割りが、いまも通りの名前として残っている街です。
北新地(大阪府大阪市北区)
北新地は、通称と町名がずれている代表例です。 大阪観光局の公式サイトによれば、北新地の住所は大阪市北区曾根崎新地で、範囲は北を国道2号、南を堂島川、東を御堂筋、西を四ツ橋に囲まれた東西約500メートル・南北約250メートルの長方形。JR東西線の北新地駅が最寄りです。街の名前が駅名にはなっているのに、町名にはないという構図になっています。
成り立ちは、川と埋立てに関わります。同サイトの説明では、始まりは1688年の堂島新地の誕生で、そこから遊所は曽根崎新地へ移り、1842年には公許の遊所地として栄え、1912年に曽根崎川が埋め立てられて現在の北新地になりました。戦後は「夜の商工会議所」と呼ばれる場になったとも紹介されています。大阪市の客引き条例では、北新地地区は「重点地区」に指定されています。詳しくは北新地の記事へ。
ミナミ(大阪府大阪市中央区ほか)
ミナミも町名ではありません。 道頓堀・宗右衛門町・心斎橋・難波といった複数の町名にまたがる、通称としての地域名です。その骨格を作ったのは運河でした。国土交通省の地域観光資源の多言語解説文データベースに収録された道頓堀の解説は、この街を17世紀の人工水路の掘削事業から始まったものとし、1615年の大坂の陣で亡くなった道頓にちなんで名づけられたと説明しています。同じ解説には、道頓堀川の南岸に並んだ大規模な五つの芝居小屋が「五座」と呼ばれたこと、1703年に竹本座で近松門左衛門の「曽根崎心中」が初演されたことも記されています。水路を掘り、その岸に芝居小屋が並び、その周りに飲食が集まったという順番です。
大阪市客引き行為等の適正化に関する条例では、キタ地区・ミナミ地区・北新地地区・京橋地区が重点地区に指定され、そのうちキタ地区とミナミ地区には禁止区域が指定されています。禁止されるのは、拒絶の意思を示している人への客引き・勧誘、進路をふさぐ・追随する・路上でたむろするなど通行を妨げる行為で、5万円以下の過料が定められています。
流川・薬研堀(広島県広島市中区)
この街は、行政の計画書のタイトルに街の名前が入っている珍しい例です。 広島市の公式ウェブサイトによれば、2006年(平成18年)8月に「流川・薬研堀地区の健全で魅力的なまちづくり協議会」が設置され、2018年(平成30年)4月に「推進協議会」へ改称されました。構成は地元をはじめ、国、県、県警察、市、関係機関・団体です。推進計画は第3次まで作られており、基本方針として「歩きやすい歩行空間の確保」「安全・安心な環境づくり」「魅力的な商業地の形成」が掲げられています。
流川町も薬研堀も、いずれも広島市中区の町名です。通称ではなく町名を二つ並べたものが、そのまま行政計画の地区名になっている——他の街と比べると、輪郭がかなりはっきり文書に残されている街だと言えます。
中洲(福岡県福岡市博多区)
中洲は、名前のとおり川の中州にできた街です。 中洲観光協会の説明では、福岡藩が福岡と博多をつなぐために那珂川に土砂を積んでできたデルタ地帯が中洲の始まりで、慶長5年(1600年)に黒田長政が福岡城築城のための町づくりを行った際、中ノ島だった中洲に「中嶌橋」を架けたことが起源とされています。二つの町(福岡と博多)をつなぐために作られた土地が、後に人の集まる場所になったという成り立ちです。同協会は1925年に百貨店が開店したこと、1949年に「中洲流」が博多祇園山笠に初登場したことなども挙げています。町名は福岡市博多区中洲で、通称と町名が一致するタイプです。
制度面では、福岡市に他の都市とかなり性格の違う条例があります。福岡市風俗関連の営業に係る勧誘、誘引及び客待ち等の防止に関する条例(平成18年9月21日条例第63号)は、過料ではなく刑罰を定めています。 第4条は、違反に対して50万円以下の罰金または拘留もしくは科料、常習の場合は6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金としています。対象は「道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場、飲食店その他の公共の場所」で、地区を指定する形ではありません。
天文館(鹿児島県鹿児島市)
天文館は、江戸時代の天文観測施設の名前が、そのまま街の名前になった場所です。 鹿児島市の観光公式サイト「かごしま市観光ナビ」によれば、島津家25代当主の重豪が天文観測や研究のため安永8年(1779年)に明時館を建て、館には4メートル四方の観測台が築かれました。藩内の暦はすべてこの明時館から配布され、薩摩暦・鹿児島暦と呼ばれたといいます。明時館は天文館とも呼ばれ、現在の天文館通りの名もここから来ています。 跡地の碑は鹿児島市東千石町15-4にあります。全国の歓楽街の中でも、名前の由来がこれだけはっきりしていて、しかも飲食とまったく関係のない施設に由来する例は珍しいでしょう。
輪郭は条例が細かく引いています。鹿児島市客引き行為等の禁止に関する条例(令和5年10月1日施行)の禁止区域は、千日町および山之口町の全部に加え、呉服町1番から3番まで、船津町1番から3番まで、東千石町1番から18番まで、樋之口町1番・2番・10番、中町1番から3番まで、西千石町16番・17番と、番地の単位まで指定されています。 5万円以下の過料が定められています。
今、時間がある人が並んでいます
今すぐ話し相手がほしいなら、待つ必要はありません。LOVETOK NOW は 「今、話せます」と出している人だけが並ぶ場所です。気になる人へその場で声をかけられます。
無料で新規会員登録18歳以上・年齢確認済みの方のみ利用できます
一覧で比べる
| 街 | 所在 | 通称と町名 | 輪郭を引いている主な文書 |
|---|---|---|---|
| すすきの | 札幌市中央区 | 町名にない(通称・駅名) | 札幌市客引き条例の禁止区域 |
| 国分町 | 仙台市青葉区 | 町名と一致 | 仙台市客引き条例 |
| 歌舞伎町 | 新宿区 | 町名と一致 | 新宿区条例の特定地区(1・2丁目) |
| 六本木 | 港区 | 町名と一致(通称は赤坂にまたがる) | 東京都の告示・港区の条例 |
| 錦三丁目 | 名古屋市中区 | 町名と一致(区域上は栄地区) | 名古屋市条例の栄地区 |
| 北新地 | 大阪市北区 | 町名にない(町名は曾根崎新地) | 大阪市条例の重点地区 |
| ミナミ | 大阪市中央区ほか | 町名にない(複数町名にまたがる) | 大阪市条例のミナミ地区 |
| 流川・薬研堀 | 広島市中区 | 二つの町名を並べた地区名 | 広島市のまちづくり推進計画 |
| 中洲 | 福岡市博多区 | 町名と一致 | 福岡市条例(地区指定なし・刑罰) |
| 天文館 | 鹿児島市 | 町名にない(施設名に由来) | 鹿児島市条例の禁止区域(番地単位) |
10のうち4か所は、街の名前が町名として存在しません。 すすきの・北新地・ミナミ・天文館です。住所を頼りに探しても見つからない街がある、というのは、この一覧を作って初めて見えてくることでした。
この10に入らなかった街
10という数に収めた都合で、次の街は名前を挙げるにとどめます。ここに挙げなかったことに評価の意味はありません。 北陸・四国・沖縄・京都はこの10選から漏れているので、地域の広がりを見るときは名前だけでも押さえてください。
- 東京のその他——銀座、池袋、渋谷、新橋、赤坂、上野
- 北陸・信越——金沢・片町、新潟・古町、富山・桜木町
- 京都——木屋町、祇園
- 四国——松山・二番町、高松・古馬場、高知・帯屋町、徳島・秋田町
- 九州・沖縄——熊本・下通、長崎・思案橋、那覇・松山
街どうしの違いを横並びで比べたい場合は、すすきの・中洲・錦・ミナミの違いも用意しています。
横断して見えた三つの型
10か所を並べると、街のでき方はおおよそ三つに分かれました。
第一に、城下町の町割りがそのまま残った型です。 国分町(仙台城下の奥州街道の中心)、錦(名古屋城下の碁盤割)、流川・薬研堀(広島城下の町名)が当てはまります。江戸時代に商人の町として区切られた区画が、近代の商業地になり、そのまま飲食の集まる場所になった。通りの幅や区画の大きさが数百年前に決まっているため、いまも街区が細かく、雑居ビルが密集しやすいという共通点があります。
第二に、水辺の開発でできた型です。 北新地(堂島新地・曽根崎新地、後に曽根崎川を埋立て)、ミナミ(1615年に完成した道頓堀川)、中洲(那珂川の中州)。いずれも川や運河を掘る・埋める・橋を架けるといった土木工事が先にあり、その結果できた新しい土地に人が集まりました。大阪の「新地」という地名は、文字どおり新しく開かれた土地を指す言葉で、北新地の由来もそこにあります。ただし全国の「新地」がすべて同じ由来とは限りません。
第三に、近代以降に新しく作られた型です。 すすきの(開拓使の時代に始まり、後に飲食店街へ)、歌舞伎町(戦災復興事業と、実現しなかった劇場誘致計画)、六本木(軍用地の接収と返還)。この型の街は、成り立ちの年代がはっきり特定できるのが特徴で、記録も比較的よく残っています。
天文館だけは、このどれとも違います。街の実体ではなく、名前だけが江戸時代の天文観測施設から来ている。地名の由来を調べると、街の性格とは無関係な由来が出てくることがある、という良い例です。
訪れる前に知っておくと役に立つこと
まず、条例は自治体ごとにばらばらです。 この記事で確認できた範囲でも、札幌市・名古屋市・大阪市・鹿児島市はいずれも5万円以下の過料を定めていますが、福岡市の条例は罰金や拘禁刑という刑罰を定めていました。区域の示し方も、道路で囲む(札幌)・町名で列挙する(名古屋・新宿)・番地まで指定する(鹿児島)・地区指定を置かない(福岡)と幅があります。「他の街ではこうだった」は通用しません。 行く先の市区の公式サイトで確認するのが確実です。
次に、営業時間の枠組みは都道府県単位で決まります。 風営法第13条第1項は深夜(午前零時から午前六時まで)の営業を原則禁止としたうえで、都道府県の条例で定める地域に限り、条例で定める時まで営業できるとしています。同じ県内でも地域によって扱いが違うことがあり、街の名前で決まるわけではありません。仕組みは営業時間のルールの記事にまとめました。
最後に、困ったときの窓口は全国共通です。 会計で納得のいかない請求を受けたときは高額請求の記事と消費生活センターの記事を、緊急でない相談は警察相談専用電話#9110の記事を参照してください。帰り道の安全については帰り道の記事にまとめています。これらは一般的な情報であり、個別の事情によって適切な対応は変わります。
よくある質問
「日本三大歓楽街」に決まった定義はありますか
公的な基準は見当たりません。 観光サイトや案内文で慣用的に使われる表現で、どの三つを指すかも文脈によって変わります。実際、この記事で参照した北海道の観光公式サイトはすすきのを「日本三大歓楽街の一つ」と紹介し、宮城県の観光公式サイトは国分町を「福岡の中州、札幌のすすきの等と並び称される」と紹介していました。紹介文の言い回しであって、順位が公式に決まっているわけではありません。
歓楽街は何時まで営業できますか
街ごとに一律ではありません。風営法第13条第1項は、風俗営業について深夜(午前零時から午前六時まで)の営業を原則禁止したうえで、都道府県の条例で定める地域内に限り、午前零時以後、条例で定める時まで営業できるとしています。つまり時間を決めているのは街の名前ではなく、都道府県の条例とそこで指定された地域です。加えて、接待を伴わない飲食店の深夜営業は別の枠組みで扱われます。詳しくは営業時間のルールの記事を参照してください。一般的な情報であり、個別の店舗の扱いは異なります。
街の正確な範囲はどうやって調べられますか
その市区の客引きに関する条例と、その施行規則・告示を見るのがいちばん具体的です。 多くの自治体が公式サイトに区域図や町名の一覧を掲載しています。ほかに、都市計画の用途地域図、商店街振興組合の公表資料、経済センサスの町丁目別集計なども手がかりになります。ただしそれぞれ目的が違うため、範囲は一致しません。ひとつの地図で街の輪郭が決まると考えないほうが正確です。
「新地」という地名が歓楽街に多いのはなぜですか
大阪の北新地については、川の開発でできた新しい土地に由来することが公的な観光情報でも説明されています。 堂島新地が1688年に生まれ、遊所は曽根崎新地へ移り、1912年に曽根崎川が埋め立てられて現在の北新地になった、という経緯です。「新地」は文字どおり新しく開かれた土地を指す言葉なので、埋立てや区画整理と結びつきやすい。ただし、全国の「新地」がすべて同じ経緯でできたとは限らないので、個々の街については地元の資料で確認してください。
客引きに声をかけられたときはどうすればいいですか
多くの自治体の条例では、客引きをする側が規制の対象です。 たとえば大阪市の条例は、拒絶の意思を示している人への客引き・勧誘、進路をふさぐ・追随する・路上でたむろするといった通行を妨げる行為を禁じています。札幌市の条例は、禁止区域での客引きから紹介された客を店に入れることも事業者に禁じています。声をかけられた側が違反になるわけではありませんが、行き先が分からないまま案内されるのは避けたほうが無難です。トラブルになった場合の動き方は高額請求の記事にまとめています。
歓楽街で働くことを考えている場合、街選びで見るところはありますか
街の名前より、その自治体と都道府県の制度を先に見ておくと落ち着いて判断できます。 具体的には、営業時間に関する都道府県の条例、市区の客引き条例、そして働く場合の契約の形です。契約については夜職の契約書の記事、年齢確認の記事を参照してください。個々の店の条件は店ごとに違い、業界共通のルールとして語られていることが実際には共通でない場合もあります。書面で確認するのが基本です。
まとめ
- 「歓楽街」は法律用語ではない。 風営法に出てくる「歓楽」は第2条第3項の「歓楽的雰囲気」の一か所だけで、法律が線を引くのは営業の種別・営業所の場所・営業の時間の三つ
- 街の輪郭を最も具体的に示しているのは、多くの場合その市区の客引きに関する条例の区域
- 今回の10か所のうち4か所(すすきの・北新地・ミナミ・天文館)は、街の名前が町名として存在しない
- 街のでき方は、城下町の町割り/水辺の開発/近代以降に新しく作られたの三つに大きく分かれる
- 条例の中身は自治体ごとにばらばらで、過料5万円以下の自治体もあれば、刑罰を定める自治体(福岡市)もある
- 営業時間の枠組みは都道府県単位で、街の名前では決まらない
- 「三大歓楽街」のような呼び方に公的な根拠はなく、紹介文の慣用表現として受け取るのが正確
この記事は一覧です。それぞれの街の場所・成り立ち・統計・条例をもっと細かく見たい場合は、各段落からリンクした個別の記事へ進んでください。
夜に街へ出るかどうかにかかわらず、その土地で「いま話せる人」を探したいときは、地域から探すページを見てみてください。 LOVETOK NOW は、いま話せますと待機している人だけが並び、マッチングを待たずにその場でチャットを始められるサービスです。20歳以上のみ利用でき、年齢確認があります。
参考情報
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122
- 一般社団法人新宿観光振興協会「歌舞伎町」 https://www.kanko-shinjuku.jp/spot/-/article_420.html
- レファレンス協同データベース(国立国会図書館)「東京都新宿区にある歌舞伎町は歌舞伎座があるわけでもないのに、なぜ歌舞伎町というのか。」 https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000178539&page=ref_view
- 新宿区「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」 https://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/index02_08.html
- 新宿区「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例を改正しました。」 https://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/kikikanri01_001047.html
- 札幌市「客引き行為等の防止に関する条例」 https://www.city.sapporo.jp/shimin/chiiki-bohan/kyakuhikikouitouboushijourei/kyakuhikiboushijourei.html
- 北海道観光振興機構 HOKKAIDO LOVE!「すすきの・すすきの祭り」 https://www.visit-hokkaido.jp/spot/detail_10009.html
- 仙台市「客引き対策」 https://www.city.sendai.jp/kurashi/anzen/anzen/kyakuhiki/index.html
- 宮城県観光連盟「宮城まるごと探訪 国分町」 https://www.miyagi-kankou.or.jp/theme/detail.php?id=20689
- 名古屋市「客引き行為等禁止区域」 https://www.city.nagoya.jp/bousai/anzen/1034530/1014468/1014470.html
- 名古屋城公式ウェブサイト「築城と城下町の形成、清須越」 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/development/kiyosugoshi/
- 大阪観光局 OSAKA-INFO「北新地」 https://osaka-info.jp/spot/kitashinchi/
- 大阪市「大阪市客引き行為等の適正化に関する条例の概要等について」 https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000455432.html
- 国土交通省「地域観光資源の多言語解説文データベース 道頓堀」 https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R4-00636.html
- 広島市「流川・薬研堀地区の健全で魅力的なまちづくり」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/44/11534.html
- 中洲観光協会「中洲の歴史」 https://www.nakasukankou.com/history
- 中洲観光協会「中洲について」 https://www.nakasukankou.com/about
- 福岡市例規「福岡市風俗関連の営業に係る勧誘、誘引及び客待ち等の防止に関する条例」 https://www.city.fukuoka.lg.jp/d1w_reiki/reiki_honbun/q003RG00000135.html
- かごしま市観光ナビ「天文館跡の碑」 https://www.kagoshima-yokanavi.jp/spot/10185
- 鹿児島市「鹿児島市客引き行為等の禁止に関する条例」 https://www.city.kagoshima.lg.jp/anshin/bosai/anshinanzen/jore/kyakuhikikinshijyourei.html

