夜のお店は何歳から入れる?18歳と20歳、二本の線を条文で確認

最終更新:2026-08-19

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結論から書きます。「夜のお店は何歳から」に単一の答えはありません。法律が引いているのは18歳と20歳の二本の線で、しかもその線は店の業態と時間帯によって位置が変わります。

大枠はこうです。18歳未満は、風俗営業の営業所に客として立ち入ることができません(風営法第22条第1項第5号)。20歳未満には、店が酒類とたばこを提供できません(同項第6号)。 前者は「入れるか」の線、後者は「入れても何が出せないか」の線です。この二つを混ぜると話が合わなくなります。

さらに三つ目の層があります。たばこについては健康増進法が別に線を引いていて、20歳未満は喫煙エリアそのものに立ち入れません。「たばこを吸わないから喫煙席でもいい」は通りません。

そして四つ目に、深夜の時間帯そのものを規制する都道府県の青少年育成条例があります。ここは全国一律ではありません。

この記事は客の側の年齢制限を扱います。働く側(何歳から夜職に就けるか、名簿の年齢確認義務など)は法律の条番号も枠組みも別なので、ホストの仕事を始める前に知ることと名簿備付け義務の記事に譲ります。

この記事で分かること

  • 「18歳」と「20歳」の線がそれぞれ何を禁じているのか(風営法第22条第1項第5号・第6号)
  • 業態によって線が動くこと——キャバクラ・ホストクラブ・スナックと、居酒屋・バーと、ゲームセンターで扱いが違う
  • 居酒屋の「22時以降」と「保護者同伴」の例外が、どの条文の読み替えから出てくるのか
  • 20歳未満飲酒禁止法・20歳未満喫煙禁止法が、客ではなく店に罰金を置いている構造
  • 健康増進法で20歳未満が喫煙エリアに入れないこと(吸わなくても、従業員でも)
  • 東京都の条例が「深夜」を何時から何時と定めているか
  • なぜ入口で年齢確認を求められるのか——風営法に「確認せよ」という条文がないのに確認される理由
  • 年齢確認を怠った店に何が起きるか(刑罰と行政処分は別枠)
  • 民法の成年年齢が18歳になっても、酒とたばこが20歳のままである理由

法令に関する記述は一般的な情報であり、個別の事案の結論は事情によって異なります。条番号は条文に当たって確認していますが、店の運用や自治体の条例は地域差があります。実際の判断は所轄の警察署・自治体の窓口や専門家にご確認ください。

一本目の線——18歳

条文はこう書かれている

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第22条第1項は、風俗営業を営む者の禁止行為を6つ並べています。そのうち第5号がこれです。

十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)。

読み方の順番が大事です。原則は「時間帯を問わず立入禁止」で、カッコ書きの中に一つだけ例外業態が指定されています。

「風俗営業」に何が入るか

ここでいう風俗営業は、第2条第1項が5つの類型で定義しています。

  • 第1号:キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
  • 第2号:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
  • 第3号:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
  • 第4号:まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
  • 第5号:スロットマシン等の遊技設備により客に遊技をさせる営業

キャバクラ、ホストクラブ、スナック、ラウンジなど「接待」を伴う店は第1号にあたります。 つまり、これらの店では昼でも夜でも、18歳未満は客として入れません。 第5号(ゲームセンター等)だけが「午後10時から翌日の午前6時まで」という時間限定になっています。まあじやん屋・ぱちんこ屋(第4号)は時間限定ではないので、こちらも終日です。

保護者が同伴していても、第5号にあたる場合の例外はこの条文に書かれていません。 「親と一緒だから大丈夫」という話が出てくるのは、後で述べる飲食店の側の読み替え規定であって、風俗営業の条文ではありません。ここが実務でいちばん混同されるところです。

ゲームセンターの昼間は、条例で締めることができる

第22条第2項は、都道府県に条例で上乗せする権限を与えています。

都道府県は、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、第二条第一項第五号の営業を営む者が午前六時後午後十時前の時間において十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることを禁止し、又は……保護者の同伴を求めなければならないものとすることその他必要な制限を定めることができる。

「午前6時後・午後10時前」——つまり法律が空けておいた昼間の時間帯を、都道府県が条例で塞げるという構造です。 ゲームセンターの入口に「小学生は○時まで」「中高生は○時まで、保護者同伴で」といった掲示が地域ごとに違うのは、ここから来ています。夜の飲食店の話とは別系統ですが、「法律の線を条例が動かす」という仕組みは、後で出てくる青少年育成条例と共通です。

入口の表示は法律上の義務

風営法第18条は、年少者の立入禁止の表示を義務づけています。風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、18歳未満の者がその営業所に立ち入ってはならない旨を営業所の入口に表示しなければなりません(第2条第1項第5号の営業については午後10時以後の時間について、また第22条第2項の条例で制限が定められた場合はその内容も併せて)。

入口の「18歳未満の方はご入店いただけません」という掲示は、店の方針ではなく法律上の表示義務です。 掲示があるかどうかは、その店が届出・許可のうえで運営されているかを見るときの、外から見える手がかりの一つになります。

二本目の線——20歳

提供そのものが禁止されている

同じ第22条第1項の第6号です。

営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。

主語は店です。「20歳未満が飲むこと」ではなく「20歳未満に提供すること」が禁じられています。 だから、18歳・19歳の人がキャバクラやバーに客として入ること自体はこの条文では禁じられていない一方で、その人に酒を出した時点で店が第6号に触れます。「本人が飲まないと言っている」「連れが飲むだけ」といった説明は、提供という行為自体を消しません。

実務上、酒を主力にする店が「20歳未満お断り」と自分で決めていることは珍しくありません。ただしそれは第6号に触れないための店側の運用であって、法律が「20歳未満は入店禁止」と書いているわけではありません。どちらなのかを区別しておくと、店ごとに扱いが違う理由が理解しやすくなります。

風営法の外にも、酒とたばこの法律がある

酒の側は、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)です。第一条は4項構成で、要点は次のとおりです。

  • 第1項:二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
  • 第2項:親権者等は、20歳未満の者の飲酒を知ったときはこれを制止すべき
  • 第3項:営業者でその業態上酒類を販売又は供与する者は、20歳未満の者の飲用に供することを知りて酒類を販売又は供与することを得ず
  • 第4項:営業者でその業態上酒類を販売又は供与する者は、20歳未満の者の飲酒の防止に資するため年齢の確認その他の必要なる措置を講ずるものとす

罰則は第三条です。第一条第三項に違反した者(=提供した営業者)は50万円以下の罰金、第一条第二項に違反した者(=制止しなかった親権者等)は科料。さらに第四条に両罰規定があり、従業者が業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか法人又は人にも同じ刑が科されます。

注目してほしいのは、第1項(20歳未満は飲んではいけない)に対応する罰則が置かれていないことです。 第二条により、20歳未満の者が飲用の目的で所有・所持する酒類とその器具は行政の処分をもって没収・廃棄等ができるとされていますが、飲んだ本人に刑罰は用意されていません。この法律は、飲む側ではなく出す側に効かせる設計になっています。

たばこの側も同じ形です。二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律(明治33年法律第33号)は、第一条で20歳未満の者の喫煙を禁じ、第二条で煙草・器具の没収、第三条で制止しない親権者等の科料を定め、第四条で「煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」、第五条で「二十歳未満ノ者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス」としています。第六条は両罰規定です。

両方の法律に、明文で「年齢ノ確認」という言葉が入っている。 これが、後述する「なぜ年齢確認を求められるのか」の直接の根拠の一つです。ただし文末は「講ズルモノトス」であって、この条項自体に罰則は付いていません。

民法が18歳になっても、この線は動かなかった

2022年(令和4年)4月1日から、民法の成年年齢は18歳になりました。法務省の民法(成年年齢関係)改正Q&Aは、「お酒やたばこに関する年齢制限については,20歳のまま維持されます。また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます。」と明記し、その理由を「健康被害への懸念や,ギャンブル依存症対策などの観点から,従来の年齢を維持することとされています。」としています。

同じQ&Aは、未成年者が親の同意なく結んだ契約は原則として取り消せる(未成年者取消権)という制度が消費者被害の抑止に働いてきたこと、成年年齢の引下げにより18歳・19歳は未成年者取消権を行使できなくなることにも触れています。

「18歳で大人になった」と「酒が飲める」は別の話であり、加えて18歳・19歳は契約面での特別な保護が一つ外れている。 夜の街の料金トラブルという文脈では、この二点をセットで押さえておく実益があります。

業態で線が動く——居酒屋・バーの場合

飲食店には別ルートの規定がある

キャバクラやホストクラブのような接待を伴う店は「風俗営業」ですが、居酒屋・バー・ダイニングの多くは風俗営業ではなく飲食店営業です。では18歳未満は何時まで入れるのか。答えは風営法第32条第3項の準用と読み替えにあります。

第32条第3項は、第22条第1項(第3号を除く)を飲食店営業を営む者について準用したうえで、第5号の「十八歳未満」を「午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満」と読み替え、さらに第5号のカッコ書き部分を「保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く」と読み替えています。

まとめるとこうなります。

  • 午後10時から翌日の午前6時までの時間は、18歳未満を客として立ち入らせてはならない
  • ただし保護者が同伴する場合は除かれる
  • なお「少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業」に係るものは対象から除かれる

深夜のファミリーレストランに家族連れがいるのは、この「保護者同伴」の読み替えがあるからです。 そして繰り返しになりますが、風俗営業(キャバクラ・ホストクラブ等)の第22条第1項第5号には、この保護者同伴の例外がありません。 業態が違えば同じ「18歳未満」でも扱いが違う、という一番はっきりした例です。

ナイトクラブなど(特定遊興飲食店営業)

深夜に客に遊興をさせ、かつ飲食をさせる営業は、特定遊興飲食店営業として別の許可の枠に入ります。この営業についても、第31条の23が第22条第1項(第3号を除く)を準用しています。つまり18歳未満の立入りと20歳未満への酒類・たばこの提供の禁止は、ここでも効きます。

細かい読み替えは条文と所轄の運用によるため、具体的な時間帯の扱いは営業所ごとに確認が必要です。実際には酒類の提供が中心になる業態なので、店の側が入場条件を20歳以上としていることも多く見られます。これも法律の線と店の運用が重なって見える例です。

三本目の線——たばこは「座る場所」まで変わる

屋内は原則禁煙

2020年4月に全面施行された改正健康増進法により、飲食店は第二種施設として屋内が原則禁煙となりました。厚生労働省の特設サイトは、飲食店について「原則屋内禁煙です。喫煙専用室ならびに、加熱式たばこ専用喫煙室の設置も可能です。」としています。喫煙専用室では飲食ができず、加熱式たばこ専用喫煙室では飲食ができる、という違いがあります。

20歳未満は喫煙エリアに入れない

そして本題です。健康増進法第33条第5項は、喫煙専用室設置施設等の管理権原者等は、20歳未満の者を当該喫煙専用室に立ち入らせてはならないと定めています。喫煙目的施設についても第35条第7項に同趣旨の規定があり、第33条第2項第2号・第35条第2項第2号により、標識には「当該場所への二十歳未満の者の立入りが禁止されている旨」を記載することとされています。

厚生労働省の特設サイトの表現はもっと直接的です。「20歳未満の方については、たとえ喫煙を目的としない場合であっても、喫煙エリアへは一切立入禁止となります。たとえ従業員であっても立ち入らせることはできません。」

「吸わないから大丈夫」ではなく、立ち入ること自体が禁じられている。 ここは風営法第22条第1項第6号(提供の禁止)とは別の規制なので、両方が同時にかかります。

経過措置の店がある

さらに、既存の小規模な飲食店には経過措置があります。厚生労働省の判定によれば、2020年4月1日時点で現に存する店舗で、資本金または出資の総額が5000万円以下、客席面積100㎡以下という要件を満たす店は「既存特定飲食提供施設」として、店内に喫煙可能室を設けることができます。

その帰結として、店の全体が喫煙可能室になっている小規模店では、20歳未満は店に入ること自体ができません。 「18歳だけど酒は頼まないから入れるはず」という理屈が通らないケースがここです。年齢の線が、風営法・酒たばこの法律・健康増進法の三方向から重なっている、と考えるのが正確です。

四本目の線——都道府県の条例

東京都の場合

風営法は業態を規制する法律なので、「夜に出歩くこと」そのものは別の枠組みで扱われます。それが都道府県の青少年育成条例です。

東京都青少年の健全な育成に関する条例は、深夜を「午後11時から翌日午前4時までの時間」としたうえで、第15条の4で次のように定めています。

  • 第1項:保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させないように努める
  • 第2項:何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない
  • 第3項:何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努める
  • 第4項:深夜に営業を営む事業者及びその従業者は、当該時間帯に施設内・敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努める

第16条は、興行場、ボウリング等の施設、カラオケ施設、図書閲覧・インターネット利用施設などについて、経営者等が深夜に青少年を立ち入らせてはならないとし、入口の見やすい場所への掲示も義務づけています。罰則は第26条にあり、第15条の4第2項違反・第16条第1項違反はいずれも30万円以下の罰金とされています。

この条例の時間帯(午後11時〜午前4時)は、風営法の飲食店読み替え(午後10時〜午前6時)とも、ゲームセンターの時間帯とも一致しません。 三つの異なる時計が並行して動いている、と考えてください。

そして条例は都道府県ごとに違います。深夜の定義も、対象施設も、罰則も一律ではありません。地元の扱いを知りたい場合は、お住まいの都道府県の条例そのものを見るのが確実です。

今、時間がある人が並んでいます

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なぜ入口で年齢確認を求められるのか

風営法に「確認せよ」とは書かれていない

意外に思われるかもしれませんが、風営法第22条第1項は「立ち入らせるな」「提供するな」とは書いていても、「年齢を確認せよ」という条文を客の入店について直接置いていません。 表示義務(第18条)はありますが、確認手続そのものを定める規定ではありません。

明文で年齢確認に触れているのは、先に見た二本です。

  • 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 第一条第四項(年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス)
  • 二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 第四条(同上)

つまり、入口の年齢確認は「風営法に確認義務があるから」ではなく、複数の規制に触れないための店側の自衛手段として定着している、というのが正確な説明です。

「知らなかった」が通用するかは、条文で書き分けられている

ここが年齢確認の実質的な理由です。風営法第51条第1項第4号は、第22条第1項第3号の規定又は同項第4号から第6号まで(第31条の23及び第32条第3項において準用する場合を含む)の規定に違反したときに、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はその併科と定めています。

そのうえで、同条第2項がこう書いています。

第二十二条第一項第三号若しくは第四号(第三十一条の二十三及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)、第二十八条第十二項第三号、第三十一条の三第三項第一号、第三十一条の十三第二項第三号若しくは第四号又は第三十一条の十八第二項第一号に掲げる行為をした者は、当該十八歳未満の者の年齢を知らないことを理由として、前項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

名指しされているのは第3号と第4号——18歳未満に接待をさせること、18歳未満を深夜に客に接する業務に従事させること。つまり「働かせる側」です。 客の立入り(第5号)と酒類・たばこの提供(第6号)は、この列挙に含まれていません。

一方、東京都青少年の健全な育成に関する条例は第28条で、「青少年の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」という規定を置いています。こちらは条例違反全般に及ぶ書き方です。

同じ「知らなかった」の扱いでも、法律と条例で射程の書き方が違う。 そして条例側の書きぶりでは、「過失がない」と言えるかどうかが分かれ目になります。年齢確認をした記録が残っているかどうかは、まさにその場面で意味を持ちます。

刑罰と行政処分は別枠

もう一つ、店にとって重い理由があります。刑事罰とは別に、公安委員会の行政処分があります。

第25条は、風俗営業者等が当該営業に関し法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合で、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときに、必要な指示をすることができると定めています。

第26条第1項は、より重い処分として、許可の取消し、又は6月を超えない範囲内で期間を定めた営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができるとしています。同条第2項は、許可の取消し・停止を命ずるときに、当該施設での飲食店営業についても6月を超えない範囲で停止を命ずることができるとしています。

営業停止は、売上がその期間まるごと止まるということです。 罰金の額より、こちらのほうが店の判断に効いていると考えるのが自然でしょう。入口で数十秒かけて身分証を確認する運用は、この非対称から来ています。

客の側から見た実際

何を見せることになるか

年齢を確認する以上、生年月日と本人であることが分かる書類が必要になります。どの書類を認めるか、コピーや撮影をするかどうか、記録をどれくらい保管するかは、店の運用によって異なります。一律の法定様式があるわけではありません。

だからこそ、聞いてよいことがあります。

  • 提示した書類を撮影・コピーするのか、その場で目視確認だけなのか
  • 記録を残す場合、何を、どれくらいの期間保管するのか
  • 記録を誰が見るのか

身分証には氏名・住所・生年月日が載ります。年齢の確認に必要なのは基本的に生年月日と顔写真の照合ですから、それ以上の情報を取る必要があるかどうかは確認して構いません。 応じるかどうかは店の判断ですが、質問すること自体は自然な行動です。

断られたときに考えること

年齢を理由に入店を断られた場合、それが法律上の線なのか、店の運用なのかで意味が違います。

  • 18歳未満で、接待を伴う店(第1号営業)を断られた → 法律上、例外の余地が条文にない
  • 18歳未満で、深夜の居酒屋を断られた → 午後10時以降なら条文どおり。保護者同伴の扱いは店の判断も入る
  • 19歳で、酒を出す店を断られた → 第6号(提供禁止)を踏まえた店の運用であることが多い
  • 19歳で、店全体が喫煙可能な小規模店を断られた → 健康増進法の側の線

「なぜ断られたのか」を業態と条文に対応づけると、交渉できることとできないことが分かれます。 そして、条文に例外が書かれていない場面で押し込もうとすることは、店に行政処分のリスクを負わせる行為でもあります。

年齢を偽った場合

条文を確認したとおり、20歳未満飲酒禁止法にも20歳未満喫煙禁止法にも、飲んだ・吸った本人に対する刑罰は置かれていません(没収等の行政処分と、親権者等への科料が定められています)。

しかし、それは「偽ってよい」という意味ではありません。偽られた側の店には、第51条の刑事責任の問題と、第25条・第26条の行政処分の問題が現実に発生します。 「過失のないとき」に当たるかどうかの判断も、確認の場面で何が起きたかに左右されます。年齢を偽ることは、自分に罰が来ないかわりに他人に処分を負わせる行為だ、という理解が実態に近いはずです。

なお、身分証そのものを偽造したり、他人の身分証を使ったりする行為は、ここで扱った法律とは別の問題になります。この記事の射程を超えるので触れませんが、「罰則がない」という話とはまったく別枠だとだけ書いておきます。

働く側の年齢制限は、別の条文で動いている

同じ第22条第1項でも、第3号(営業所で18歳未満の者に客の接待をさせること)と第4号(営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること)は、働かせる側を規律しています。第51条第2項が「年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができない」と名指ししているのも、この第3号・第4号でした。

客としての線(第5号・第6号)と、従業員としての線(第3号・第4号)は、同じ条文の中で別々に書かれている。 数字が近いので混ざりやすいのですが、要件も、年齢の扱いも、確認の重さも違います。

働く側の年齢制限、採用時の確認、名簿の備付けについてはホストの仕事を始める前に知ることと名簿備付け義務の記事で扱っています。

よくある質問

Q1. キャバクラやホストクラブは18歳から入れますか。 条文上、18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることが禁じられているので(風営法第22条第1項第5号)、18歳以上であれば立入り自体を禁じる規定はありません。ただし同項第6号により20歳未満に酒類・たばこを提供できないため、酒類の提供を前提とする店が入場条件を20歳以上としていることは珍しくありません。これは法律の線ではなく店の運用です。

Q2. 18歳未満でも、親と一緒なら入れますか。 業態によります。風俗営業(第22条第1項第5号)の条文には保護者同伴の例外が書かれていません。 保護者同伴の例外が出てくるのは、飲食店営業について第32条第3項が第5号を読み替えている場合(午後10時から翌日の午前6時までの時間、保護者が同伴する場合を除く)です。また第22条第2項により、ゲームセンター等については都道府県の条例で昼間の時間帯に保護者同伴を求めることができます。

Q3. 居酒屋は何時まで入れますか。 風営法第32条第3項の読み替えにより、飲食店営業では午後10時から翌日の午前6時までの時間に18歳未満を客として立ち入らせてはならないとされ、保護者が同伴する場合は除かれます。加えて、都道府県の青少年育成条例が別の時間帯で規制していることがあります(東京都は深夜を午後11時から翌日午前4時までとしています)。地域によって条例が異なるので、地元の条例を確認してください。

Q4. 19歳です。酒を頼まなければ入れますか。 第6号が禁じているのは「20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること」なので、提供がなければこの号には触れません。ただし、店が確認の手間やリスクを避けるために一律で断ることはあります。また、店内が喫煙可能室になっている小規模店(既存特定飲食提供施設)では、健康増進法の側で20歳未満の立入りができません。吸うかどうかは関係なく、立ち入ること自体が禁じられています。

Q5. なぜ身分証の提示を求められるのですか。風営法に確認義務はありますか。 風営法は「立ち入らせるな」「提供するな」と書いていますが、客の入店について年齢確認の手続を直接定めた条文は置いていません。年齢確認に明文で触れているのは、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第一条第四項と、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律第四条です(いずれも「年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」)。実務上は、第22条第1項違反による刑事責任と、第25条・第26条の行政処分を避けるための自衛手段として定着しています。

Q6. 年齢を確認しなかった店はどうなりますか。 第22条第1項第5号・第6号違反には、第51条第1項第4号により1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はその併科が定められています。これとは別に、第25条により公安委員会が必要な指示をすることができ、第26条第1項により許可の取消し、又は6月を超えない範囲での営業の全部・一部停止を命ずることができます。刑罰と行政処分は別枠で、店にとっては後者の影響が大きい場合があります。

Q7. 成年年齢が18歳になったのに、なぜ酒は20歳のままなのですか。 法務省の民法(成年年齢関係)改正Q&Aは、酒・たばこと公営競技の年齢制限は20歳のまま維持されるとし、その理由を「健康被害への懸念や,ギャンブル依存症対策などの観点から,従来の年齢を維持することとされています」と説明しています。あわせて、18歳・19歳は未成年者取消権を行使できなくなることにも触れています。「大人になった」ことと「酒が飲める」ことは別、契約面の保護が一つ外れたことも別、と分けて理解するのが正確です。

Q8. 20歳未満が飲んでしまった場合、本人は罰せられますか。 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律の罰則(第三条)は、第一条第三項に違反した営業者への50万円以下の罰金と、第一条第二項に違反した親権者等への科料です。飲んだ本人に対する刑罰の規定は置かれておらず、第二条で飲用目的の酒類・器具の没収等が定められています。たばこも同様の構造です(第五条は販売者への50万円以下の罰金)。ただし、提供した店の側には刑事責任と行政処分の問題が生じます。

Q9. 高校生は18歳になっても断られることがあります。法律ですか。 ここで見た条文はいずれも年齢を基準にしていて、在学しているかどうかで線を引いていません。したがって「高校生不可」は法律の文言そのものではなく、店の運用や、地域の条例・自主的な取り決めによるものと考えられます。何を根拠にしているかは店や地域によって異なるため、一律には言えません。

Q10. ゲームセンターだけ扱いが違うのはなぜですか。 第22条第1項第5号のカッコ書きが、第2条第1項第5号の営業(スロットマシン等の遊技設備により客に遊技をさせる営業)についてだけ「午後10時から翌日の午前6時までの時間」と限定しているためです。そのうえで第22条第2項が、午前6時後・午後10時前の時間帯について都道府県の条例で禁止や保護者同伴を求めることを可能にしています。掲示の内容が地域で違うのはこの条例部分の差です。

まとめ

  • 「夜のお店は何歳から」に単一の答えはない。法律が引いているのは18歳と20歳の二本の線で、さらに業態と時間帯で位置が動く
  • 18歳の線=風営法第22条第1項第5号。18歳未満を営業所に客として立ち入らせてはならない。第2条第1項第5号の営業(ゲームセンター等)だけ「午後10時から翌日の午前6時まで」の時間限定
  • キャバクラ・ホストクラブ・スナックは第2条第1項第1号の営業にあたり、時間帯を問わず18歳未満は客として立ち入れない。条文に保護者同伴の例外はない
  • 20歳の線=同項第6号。20歳未満に酒類又はたばこを提供してはならない。禁じられているのは「飲むこと」ではなく「提供すること」
  • 居酒屋・バーなど飲食店営業には、第32条第3項の読み替えで「午後10時から翌日の午前6時まで、保護者が同伴する場合を除く」というルートがある。特定遊興飲食店営業には第31条の23が第22条第1項(第3号を除く)を準用
  • 入口の「18歳未満立入禁止」の掲示は、第18条の表示義務
  • 酒とたばこには風営法の外にも法律がある。二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律は第三条で提供した営業者に50万円以下の罰金、第四条に両罰規定。喫煙側は第五条で販売者に50万円以下の罰金。飲んだ・吸った本人への刑罰は置かれていない
  • たばこは健康増進法が別に線を引く。第33条第5項・第35条第7項により20歳未満は喫煙エリアに立ち入れず、厚生労働省は「たとえ喫煙を目的としない場合であっても」「たとえ従業員であっても」と説明している。店全体が喫煙可能室の小規模店(2020年4月1日時点で営業・資本金等5000万円以下・客席100㎡以下)では20歳未満は入れない
  • 深夜の時間帯そのものは都道府県の条例。東京都は深夜を午後11時から翌日午前4時までとし、第15条の4・第16条に規制を置き、第26条で30万円以下の罰金。時間帯は風営法の読み替えとも一致しない
  • 風営法には客の入店について年齢確認を義務づける条文がない。 明文で年齢確認に触れているのは飲酒禁止法第一条第四項と喫煙禁止法第四条。確認が定着しているのは、第51条の刑事責任と第25条・第26条の行政処分(許可取消し・6月以内の営業停止)を避けるため
  • 「年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができない」と風営法第51条第2項が名指ししているのは第22条第1項第3号・第4号(働かせる側)。東京都の条例第28条は同趣旨の規定をより広く置いている
  • 民法の成年年齢は18歳になったが、酒・たばこ・公営競技は20歳のまま。加えて18歳・19歳は未成年者取消権を行使できない

ここに書いたのは一般的な情報であり、個別の事情によって結論は異なります。条例は都道府県ごとに内容が違い、店の運用も一律ではありません。実際の判断は、所轄の警察署や自治体の窓口、専門家にご確認ください。


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