消費生活センター(188)は何を相談できる?できること・できないこと

最終更新:2026-08-28

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先に結論を書きます。188は「相談を受ける番号」ではなく、「相談を受ける窓口へ案内する番号」です。 ダイヤルすると郵便番号等の入力を求められ、近くの市区町村や都道府県の消費生活相談窓口につながります。実際に話を聞くのは、その地域の消費生活センターにいる消費生活相談員です。

そして、その相談員がしてくれることは、法律で決まっています。消費者安全法が地方公共団体に課しているのは、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じることと、その苦情の処理のためのあっせんを行うこと——この二つです。逆に言えば、店を処罰することも、あなたの代理人として交渉することも、被害額を立て替えることも、この条文には書かれていません。

この記事は、188という窓口そのものを主役にします。何が起きたときにどう対処するかという手順は高額請求されたときの記事にまとめてあるので、ここでは繰り返しません。代わりに、電話の向こうに誰がいて、その人に何ができて、何ができないのかを、条文と公式情報で一つずつ確認していきます。

なお以下は制度の一般的な情報です。実際にどう扱われるかは個別の事情によって変わります。

この記事で分かること

  • 188を押してから相談員につながるまでに何が起きるか
  • 相談は無料なのに通話料がかかる理由と、その金額
  • 電話に出る「消費生活相談員」がどういう資格の人か
  • 消費生活センターの仕事の範囲を決めている条文(消費者安全法第8条)
  • 受けられる対応の三種類——情報提供・自主交渉の助言・あっせん
  • あっせんに進んだとき、相談者自身がやることになる作業
  • 188にできないこと(代理・処罰・立替え・分野外)
  • 夜の街の困りごとのうち、どれが消費生活相談でどれが違うか
  • 188と#9110の役割分担を並べた表
  • 電話をかける前にそろえておく記録と、聞かれる項目
  • 相談内容がPIO-NETに登録された後、何に使われるか

188を押してから、誰かが出るまで

番号が案内しているのは「窓口」

消費者庁は188について、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する番号だと説明しています。同庁のページには「お近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の消費生活相談窓口をご案内するもので、消費者庁につながるものではありませんので、ご注意ください」とはっきり書かれています。中央省庁の窓口ではありません。

入力を求められるのは郵便番号等です。消費者庁は注記で「電話の市外局番ではありません。誤った地域につながりますのでご注意ください」と念を押しています。番号案内の類だと思って市外局番を入れると、住んでいる地域とは違う窓口に飛びます。

また、一部のIP電話、プリペイド式携帯電話、電話リレーサービスからはつながりません。 これらの回線を使っている場合は、お住まいの地域の相談窓口に直接かけてください、というのが消費者庁の案内です。

「相談は無料」と「通話料は自己負担」は両立する

ここが誤解されやすいところです。消費者庁は、相談窓口につながった時点から通話料金の負担が発生する(相談は無料です)と書いています。相談そのものに料金は発生しませんが、電話代は相談者が払います。

公表されている通話料金(全国一律)は次のとおりです。

発信元通話料金
一般回線から着信8.5円(税込9.35円)/180秒
携帯電話から着信10円(税込11円)/20秒
公衆電話から着信10円(内税)/40秒

見落としやすいのは、消費者庁が併記している注意書きです。携帯会社の通話料金定額サービス等でも別途ナビダイヤル通話料金が発生し、相談窓口に直接かけたほうが安くなる場合もあるとされています。かけ放題プランに入っていても、この通話は対象外になり得るということです。

接続前には「ナビダイヤルサービスを経由し、消費生活相談窓口へおつなぎします。○○秒ごとにおよそ○○円でご利用いただけます。なお、通話料定額プランの対象外となります。」というガイダンスが流れます。料金が発生するのはこのガイダンスの後からです。 長くなりそうな相談だと分かっているなら、案内された窓口の直通番号を控えて、次回からそちらへかけるほうが安く済みます。

なお、国民生活センターは通話料の節約を目的にした相談の仕方には応じられないと明記しています。「無料でかけられる時間内で回答を出して欲しい」「○分になる直前で切り、また架けたい」といった要望は断られます。相談内容によって必要な時間が違うから、というのがその理由です。

つながらないときの受け皿

土日祝日や、地元の窓口が話し中のときはどうなるか。ここに二段構えの仕組みがあります。

バックアップ相談は、国民生活センターが平日10時〜16時(土日祝日、年末年始を除く)に、電話番号03-3446-0999で受け付けている窓口です。消費者庁の案内によれば、消費者ホットラインが話中でつながらない場合に利用できます。国民生活センター側の説明では、188にかけて都道府県や政令市の消費生活センター等が話中でつながらないとき、この番号がアナウンスされます。

休日相談は、土日祝日の10時〜16時、都道府県や市区町村の消費生活センター等が開所していない場合に、188にかけると国民生活センターにつながる仕組みです。ただし国民生活センターは、この休日相談を「土日祝日に相談窓口を開設していない消費生活センターを補完するもの」と位置づけ、即日回答を原則としつつ、内容によっては平日の相談対応や地元の消費生活センターの紹介を行う場合があるとしています。土日に電話して、そこで全部が終わるとは限りません。

バックアップ相談は電話のみで、文書・電子メール・来所での相談は原則として受け付けていません。 通話は内容を正確に把握するため録音されています。手話での相談は、電話リレーサービスを利用した「手話リンク」で可能です(事前登録がなくても無料で利用できるが通信料はかかる、と案内されています)。

電話に出るのは誰か——消費生活相談員という職

国家資格の要件が条文に書いてある

「専門の相談員」という言い方は各所で見かけますが、その中身は消費者安全法にあります。

同法第10条の3第1項は、消費生活相談員について「内閣総理大臣若しくは内閣総理大臣の登録を受けた法人(以下「登録試験機関」という。)の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならない」と定めています。

試験の科目も同条第3項に列挙されています。①商品等及び役務の特性、使用等の形態その他の商品等及び役務の消費安全性に関する科目、②消費者行政に関する法令に関する科目、③消費生活相談の実務に関する科目、④その他内閣府令で定める科目——の四つです。「消費者行政に関する法令」と「相談の実務」が正面から試験科目になっているのが、この職の性格をよく表しています。

消費者庁の説明によれば、内閣総理大臣の登録を受けた登録試験機関は独立行政法人国民生活センターと一般財団法人日本産業協会の二つで、国民生活センターの「消費生活専門相談員資格認定試験」と日本産業協会の「消費生活アドバイザー資格試験」が、それぞれ消費生活相談員資格試験を兼ねるものとして実施されています。

話した内容は漏らせない

これも条文にあります。第8条第4項は、同条各号の事務に従事する都道府県・市町村の職員、およびその職にあった者について、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。「その職にあった者」まで含んでいるので、退職後も同じです。

さらに、消費生活相談等の事務の一部は外部に委託できるのですが(第8条の2第1項・第2項)、委託を受けた者やその役員・職員、これらの職にあった者にも同条第3項が同じ守秘義務をかけています。委託されている窓口だから守秘が緩い、ということはないという設計です。

相談員を支える仕組みも法定されている

第11条は、都道府県及び市町村に対し、消費生活相談員の適切な処遇、研修の実施、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする、と定めています。第10条の3第2項は相談員自身にも、業務内容の変化に適応するため知識及び技術の向上に努める義務を課しています。

そして第9条により、国と国民生活センターは、都道府県及び市町村に対し、情報の提供、事務に従事する人材に対する研修その他の必要な援助を行うものとされています。現場の相談員の後ろに、研修と助言の仕組みがぶら下がっているという構造です。

第10条の4にはもう一段あります。都道府県知事は、試験に合格し、かつ内閣府令で定める実務の経験を有する都道府県の消費生活相談員の中から、市町村が行う相談・あっせんの事務への助言や援助を行う者を指定消費生活相談員として指定するよう努めなければならない、とされています。小さな自治体の窓口が孤立しないための仕掛けです。

センターの仕事の範囲は、条文で決まっている

「相談」と「あっせん」の二本柱

消費者安全法第8条第2項は市町村の事務として、第1号に「消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じること」、第2号に「消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うこと」を挙げています。

都道府県については同条第1項第2号のイとロが対応していますが、こちらには条件が付きます。イは「事業者に対する消費者からの苦情に係る相談のうち、その対応に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものに応じること」、ロは「事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんのうち、その実施に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものを行うこと」です。都道府県は市町村の上位にある窓口ではなく、広域の案件を分担しているという建て付けになっています。

この点は東京都も明記していて、「消費生活センターは、どの窓口でも相談対応は同じですので回答は変わりません。また消費生活相談窓口はそれぞれの自治体が行っているもので、当センターは他のセンターの上位組織ではありません」と書いています。同じ件で複数のセンターを回っても答えは変わらない、という話です。

設置は都道府県が義務、市町村が努力義務

第10条第1項は、都道府県について「次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない」と定めています。要件には、消費生活相談員を相談・あっせんの事務に従事させること、適切な電子情報処理組織その他の設備を備えていること、政令で定める基準に適合することが含まれます。

同条第2項は市町村について「必要に応じ……設置するよう努めなければならない」という努力義務です。同条第3項は、施設を置かない市町村についても、相談・あっせんの事務に従事させるため消費生活相談員を置くよう努めなければならない、としています。

週4日以上——受付時間が平日中心になる理由

なぜ夜間や土日に開いていないセンターが多いのか。 その手がかりは政令にあります。

消費者安全法施行令第6条は、都道府県が設置する消費生活センターの基準について「法第8条第1項第2号イ及びロに掲げる事務を一週間につき四日以上行うことができるものであること」と定めています。市町村についても第7条が同じ「一週間につき四日以上」を定めています。

法令が求めている下限は週4日です。 これ以上開けるかどうかは各自治体の判断であり、平日9時〜17時前後の窓口が多いのはこの構造の帰結です。だから土日祝日は国民生活センターが補完する仕組みが用意されているわけですが、深夜の時間帯を担当する消費生活相談窓口は制度として想定されていない、と読むのが正確です。夜の街のトラブルが起きるのは深夜が多く、188につながるのはその翌日以降になる——この時間差は、あらかじめ織り込んでおいたほうがいい前提です。

なお第10条の2により、消費生活センターの組織及び運営に関する事項や、事務の実施により得られた情報の安全管理に関する事項は、条例で定めるものとされています。細かい運用が自治体ごとに違うのは、この条文があるからです。

受けられる対応は三種類ある

国民生活センターが公表している「相談処理の流れ」の図には、消費者からの相談に対する対応として「各種情報提供」「自主交渉の助言」「あっせん処理」の三つが並んでいます。この三段階を知っておくと、相談中に何が起きているかが見えます。

各種情報提供は、同種事例の有無、関係する法律の考え方、他の窓口の案内などを伝える段階です。これだけで解決の見通しが立つことも珍しくありません。

自主交渉の助言は、相談者自身が事業者と話すための助言です。何をどういう順序で伝えるか、書面に何を書くか、期限をどう切るか。主語はあくまで相談者で、センターは後ろから支えます。相談件数の大半はここまでで終わりますと断言はできませんが、少なくとも制度上、あっせんは最初の手ではなく、自主交渉がうまくいかないときの次の手として置かれています。

あっせんは、センターが消費者と事業者の間に入る段階です。ここで一つ、実務上とても重要な事実があります。

あっせんでも、手紙を書くのは相談者本人

東京都消費生活総合センターは、相談に当たっての留意事項として「当センターがあっせんをする場合、相談者の方には、事業者宛の手紙を書いて送付していただきます」と明記しています。理由も五つ挙げられています。

  1. 書面で伝えることで、事業者が事実を確認し、対応すべき案件であることを認識する
  2. 一旦契約した案件について解約等を申し出るためには、相談者側の主張をしっかり示す必要がある
  3. 相談者の意思が揺るがないことの証明になる
  4. センターが問題点を把握することができる
  5. 今後の継続処理を行うときの基礎情報となる

そして同ページには、次の二つの但し書きがあります。「当センターは、相談者から相談内容を聞いただけの段階で、事業者へ直接電話することはできません」、「相談員は代理人にはなれません。お手紙はご自分で書いていただきます」。さらに「ご自身で対応できない場合は、ご自身で協力してくれる方を探してください」「あっせんに当たっては、ご期待に添えない場合もあります」とも書かれています。

ここが188に対する期待のズレが一番出やすい場所です。 電話一本で、センターが自分の代わりに店へ乗り込んでくれる——という想像は、公式の説明と食い違います。あっせんは、相談者が主体で動く手続を支える仕組みです。

なお、地元のセンターで解決が難しい相談については、国民生活センターが「経由相談」として受け付けます。国民生活センターの説明では、対応方法や同種事例の有無へのアドバイスである「助言」、両者が共同して処理を行う「共同処理」、国民生活センターが全面的に処理を引き受ける「移送」の三種類があります。相談者から見ると窓口は一つでも、その裏側でもう一段のバックアップが動くことがある、ということです。

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188にできないこと

主役の輪郭は、できないことの側からのほうがはっきりします。公式情報に書かれている範囲だけを並べます。

できないこと根拠・出典
相談者の代理人として事業者と交渉する東京都「相談員は代理人にはなれません」
相談を聞いた段階で事業者へ直接電話する東京都「聞いただけの段階では事業者へ直接電話することはできません」
事業者を処罰する・制裁を科す消費者安全法第8条が定める事務は相談・あっせん・情報の収集提供・連絡調整等であり、処罰は挙げられていない
被害額を立て替える・返金を保証する同条にそのような事務は定められていない。東京都も「あっせんに当たっては、ご期待に添えない場合もあります」と明記
個人間のトラブル、人間関係のトラブル、労働問題、相続や家族関係のトラブルを扱う国民生活センター・東京都とも「受け付けていません」と明記
事業者側からの相談を受ける国民生活センター「事業者の方は、事業者向けの相談窓口をご利用ください」
他のセンターに既に相談した内容を受け直す東京都「他のセンターに既に相談なさっている内容については、お受けできません」
相談者に代わって書面を作成する東京都「お手紙はご自分で書いていただきます」

これに加えて、相談を打ち切られる場合も明示されています。東京都は「センターの助言やお願いを聞いていただけない場合」「相談中に大声を出したり、暴言を吐き続けるなど、相談対応を続けられない状況になった場合」を挙げています。国民生活センターは「相談者の方から意図的に電話を切った場合は、その時点で相談は終了」「こちらから架け直すことは致しません」としています。運転中の相談も受け付けられません(ハンズフリー使用中でも、安全確保の観点から直ちに通話を終了する、とされています)。

もう一つ、新しめの注意書きがあります。国民生活センターは「AIで得た回答と助言が一致するとは限りません」という項目を設け、「AIの回答は一般的な情報に基づくものであり、個別のケースに必ずしも当てはまるとは限りません」と書いています。この記事も一般的な情報です。 個別の事情に当てはまるかどうかは、相談員が経緯を確認したうえで判断する部分になります。

夜の街の困りごとは、どこまでが「消費生活相談」か

夜の街に関わる人が抱える困りごとには、消費生活相談の範囲に入るものと、そもそも入り口が別のものが混ざっています。ここを取り違えると、電話をかけた先で「その相談は受け付けていません」と言われて時間を失います。

困りごとの性質188(消費生活センター)別の窓口
客として受けた請求・契約・料金表示の問題対象(事業者に対する消費者からの苦情)—
契約の取消しや解約を主張したい対象(助言・あっせん)手続きが必要なら法テラス等
支払いのための借入れが膨らんだ多重債務の相談窓口として案内される場合がある弁護士・司法書士等
働く側としての給与未払い・シフト・ハラスメント対象外(労働問題)総合労働相談コーナー
個人間の金銭の貸し借り、人間関係のもつれ対象外(個人間のトラブル)法テラス等
暴行・脅迫・つきまといなど事件に当たり得る行為対象外緊急は110番、緊急でなければ#9110
店側・事業者側としての相談対象外事業者向けの相談窓口

労働の側について補足します。厚生労働省の総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としており、労働者・事業主のどちらからの相談も受け付けています。予約不要・無料で、面談または電話で専門の相談員が対応します。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁です。設置場所は各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの378か所とされています。

同コーナーは「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて相談を受けるほか、「助言・指導」や「あっせん」を案内し、労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、労働基準監督署等の行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次ぐ、とされています。消費生活センターとは別に「相談+あっせん」の仕組みが労働の側にもあるわけです。夜の店で働くうえでの契約の話は夜職の契約書で確認すべきことの記事にも触れていますが、待遇や未払いの相談先はこちらになります。

188と#9110——役割分担を並べる

緊急でない相談先として並び立つ二つの番号を、公式情報の範囲で対比します。#9110そのものの使い方は警察相談専用電話#9110の記事にまとめてあるので、ここでは違いだけを見ます。

項目188(消費者ホットライン)#9110(警察相談専用電話)
つながる先郵便番号等の入力で、近くの市区町村・都道府県の消費生活相談窓口発信地を管轄する各都道府県警察本部等の総合窓口に直接
対応する人消費生活相談員(消費者安全法第10条の3の要件を満たす者)警察職員
扱う内容事業者に対する消費者からの苦情(商品・サービス・契約・料金)生活の安全に関わる悩みごと・困りごとのうち緊急でないもの
してもらえること各種情報提供/自主交渉の助言/あっせん相談内容に応じた警察の対応の入り口
根拠消費者安全法第8条・第10条(地方公共団体の事務)警察庁が案内する全国共通の短縮ダイヤル
受付時間窓口ごと。政令の下限は週4日以上。土日祝は国民生活センターが補完土日祝日及び夜間は「当直」又は「音声案内」等により対応
つながらない回線一部のIP電話、プリペイド式携帯電話、電話リレーサービスダイヤル回線及び一部のIP電話
つながらないときバックアップ相談 03-3446-0999(平日10時〜16時)各警察署でも各種相談に応じている
費用相談は無料。通話料は相談者の負担(ナビダイヤル)警察庁の案内に料金の記載はない
緊急のとき想定されていない#9110ではなく110番

見分け方はシンプルです。相手が「事業者」で、争点が「お金・契約・サービスの中身」なら188。相手の行為が「事件に当たり得るもの」なら警察。 一つの出来事に両方の性格があることは普通にあり、その場合は両方に相談して構いません。窓口の性質が違うだけで、どちらかを選ばなければならない仕組みにはなっていません。

相談の流れと、そろえておく記録

かける前

国民生活センターは、相談の電話をかける前に、あらかじめ苦情発生時の状況を整理して伝えられるようにしておくと効率的だとしたうえで、そろえるものを具体的に挙げています。

  • 約款・契約書
  • きっかけとなった広告やパンフレットなどの関係書類
  • インターネットが関係した案件では、その画面やURL(保存してあればプリントアウトして用意)

東京都も同趣旨の案内をしており、ネット案件については「注文画面や確認画面なども保存してあれば、見られるようにしておいてください」としています。

ただし、両方とも同じ但し書きを添えています。「案件によっては1日でも早い対応が有効な場合もあります。心配なときは、まずはお電話ください。」 書類がそろわないことを理由に先延ばしにするほうが不利になり得る、という意味です。

つながった後に聞かれること

相談受付時に聞かれるのは、氏名、住所(市区町村まで)、電話番号、性別、年齢、職業などの個人属性です。国民生活センターは、これを聞く理由を四つ挙げています。

  1. 相談者・相談内容を信用するため——相談者が実在し、そのトラブルが存在することの証しの一つとして聞く。「税金で運営されている公的機関が、存在しないトラブルのために時間を費やすことを防ぐ観点からも」協力を求める、と書かれています
  2. 追加の情報をお伝えするため——弁護団ができた、事業者の方針が決まった、行政による対応策が出た等の変化があったときに連絡するため
  3. 相談を今後の消費者トラブルの救済や未然防止、行政施策に役立てるため——年齢・性別・職業等は統計処理の軸になる項目として重要
  4. (東京都はこれに加えて)的確な助言をするため——相談者の属性によって助言内容が異なるため

そして両者とも、「個人属性をお伝えいただけない場合、お答えできることは極めて限定的になります」と書いています。匿名のまま核心的な助言を得るのは難しい、というのが公式の説明です。

一見関係ないと思われる事項(商品金額、店舗販売か通信販売か、クレジット会社名など)を詳しく聞かれることもあります。国民生活センターはこれを、今後の消費者行政のために役立つ情報であり、継続的に消費生活相談を続けていくために必要なものだと説明しています。

相談は原則として本人からです。例外として、トラブルに遭った本人が認知症や病気などで電話することが難しい場合は、介護や見守りをしている方からの相談も受け付ける、とされています。代理人が相談する場合は委任状等が必要になります。

なお東京都消費生活総合センターは、1回の相談は30分程度を目安にすると案内しています。これは同センターの運用であり、自治体によって扱いは異なります。

相談した内容はどこへ行くか

相談の記録はPIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録されます。国民生活センターの説明では、これは国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースです。「聞き取り」から「相談処理」の過程はすべて記録され、その要約が収集されます。

規模の目安として、2025年4月現在の接続先は消費生活センター等 約1,200カ所(専用端末 約3,400台)、中央省庁等 18カ所と公表されています。登録件数は2024年度が91.0万件で、2023年度の89.3万件に比べ約2万件増加しました。契約当事者の年代は70歳以上の割合が最も高く26.2%とされています。

用途は、消費者被害の未然防止・拡大防止のための法執行への活用、国・地方公共団体の消費者政策の企画立案と情報提供、地方公共団体の相談業務に対する支援——の三つが挙げられています。登録される際は、氏名・住所・電話番号等の特定の個人を識別できる情報を除いた形で統計資料・相談事例として利用されます。

第三者提供については、原則として本人の同意なしに行わないとしたうえで、裁判所、検察庁、警察、弁護士会、消費生活センター等またはこれらに準じた権限や役割を有する機関から求められた場合は、関係法令に反しない範囲において提供することがあるという例外が明記されています。

自分の相談が、同じことで困る次の人のための材料になる——これは公式資料に繰り返し書かれている考え方です。国民生活センターは「皆様の相談は、次の被害者を出さないために役立っています」「また、法律改正などにもつながります」と書いています。相談が一件で完結せず、注意喚起や制度の見直しにつながる経路が、制度としてつくられています。

よくある質問

Q1. 188にかけると、消費者庁の職員が出るのですか

いいえ。 消費者庁は「お近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の消費生活相談窓口をご案内するもので、消費者庁につながるものではありません」と明記しています。実際に対応するのは、案内された地域の消費生活センター等にいる消費生活相談員です。土日祝日に地元の窓口が開所していない場合などは、国民生活センターにつながる仕組みになっています。

Q2. 相談は無料と聞きましたが、電話代はかかりますか

相談自体は無料ですが、通話料は相談者の負担です。 消費者庁は「相談窓口につながった時点から、通話料金のご負担が発生します」としており、一般回線8.5円(税込9.35円)/180秒、携帯電話10円(税込11円)/20秒、公衆電話10円(内税)/40秒という金額を公表しています。携帯会社の通話料金定額サービス等でも別途ナビダイヤル通話料金が発生し、相談窓口に直接かけたほうが安くなる場合もあるとされているので、継続して相談する見込みなら直通番号を控えておくと差が出ます。

Q3. 相談員が店に電話して交渉してくれますか

その期待は、公式の説明とずれます。 東京都は「当センターは、相談者から相談内容を聞いただけの段階で、事業者へ直接電話することはできません」「相談員は代理人にはなれません。お手紙はご自分で書いていただきます」と明記しています。あっせんに進んだ場合でも、事業者宛の手紙を書いて送るのは相談者本人です。センターがやるのは、その手続を支え、必要な場面で間に入ることです。

Q4. 夜の店で働いていて給料が支払われません。188で相談できますか

労働問題は消費生活相談の対象外です。 国民生活センターも東京都も「個人間のトラブル、人間関係のトラブル、労働問題、相続や家族関係のトラブル」については受け付けていないと書いています。この場合の窓口は、厚生労働省の総合労働相談コーナーです。全国378か所(各都道府県労働局、労働基準監督署内など)に設置され、予約不要・無料、面談または電話で対応、土・日・祝日・年末年始は閉庁とされています。労働基準法等の違反の疑いがある場合は、行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次がれます。

Q5. 深夜にトラブルが起きました。今すぐ188にかけられますか

深夜の時間帯を担当する消費生活相談窓口は、制度として想定されていません。 消費者安全法施行令が定める消費生活センターの基準は「一週間につき四日以上」で、実際の受付時間は自治体ごとに異なりますが、平日日中を中心とした窓口が一般的です。国民生活センターのバックアップ相談も平日10時〜16時、休日相談も10時〜16時です。身の安全に関わることなら110番、緊急でない警察への相談は#9110を使い、料金や契約の相談は開いている時間帯に188へ、という二段構えになります。待っている間にやることは、記録の整理です。

Q6. 一度相談しましたが納得できません。別のセンターにかけ直せますか

同じ内容の相談を別のセンターで受け直すことはできません。 東京都は「他のセンターに既に相談なさっている内容については、お受けできません」とし、その理由として「消費生活センターは、どの窓口でも相談対応は同じですので回答は変わりません」「当センターは他のセンターの上位組織ではありません」と説明しています。ただし、状況が変わった場合や新しい事実が出てきた場合は、最初に相談した窓口に改めて連絡するのが筋になります。センター側でも、解決が難しい案件は国民生活センターへの「経由相談」として、助言・共同処理・移送という形で引き継がれる仕組みがあります。

Q7. 相談したことが誰かに知られませんか

消費者安全法第8条第4項は、事務に従事する職員およびその職にあった者に、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。 事務の一部が外部に委託されている場合も、第8条の2第3項が同じ守秘義務を委託先に課しています。国民生活センターも「提供いただいた個人情報は、本人の同意なしに第三者に提供いたしません」としたうえで、裁判所、検察庁、警察、弁護士会、消費生活センター等またはこれらに準じた権限や役割を有する機関から求められた場合は関係法令に反しない範囲で提供することがある、という例外を明記しています。PIO-NETに登録される情報は、特定の個人を識別できる情報を除いた形で統計資料・相談事例として使われます。

Q8. 相談を断られたり、途中で切られたりすることはありますか

あります。 東京都は「センターの助言やお願いを聞いていただけない場合」「相談中に大声を出したり、暴言を吐き続けるなど、相談対応を続けられない状況になった場合」に相談を打ち切ることがあるとしています。国民生活センターは、相談者から意図的に電話を切った場合はその時点で相談終了とし、こちらから架け直すことはしない、としています。運転中の相談も、安全確保の点から直ちに通話を終了するとされています。限られた時間と人員で回している窓口だという前提で使うと、得られるものが変わります。

まとめ

  • 188は相談を受ける番号ではなく、地域の消費生活相談窓口へ案内する番号。 郵便番号等を入力する(市外局番ではない)
  • 相談は無料だが通話料は自己負担。 携帯からは10円(税込11円)/20秒。定額プランの対象外になり得るので、続けるなら直通番号を控える
  • 電話に出るのは消費生活相談員。消費者安全法第10条の3の要件を満たす者で、登録試験機関は国民生活センターと日本産業協会の二つ
  • 法律が定める仕事は「相談」と「あっせん」(同法第8条)。処罰・立替え・代理交渉は条文にない
  • 対応は情報提供/自主交渉の助言/あっせんの三段階。あっせんでも事業者宛の手紙を書くのは相談者本人
  • 対象外は、個人間のトラブル・人間関係・労働問題・相続や家族関係。 労働の話は総合労働相談コーナー(全国378か所・予約不要・無料)
  • 設置基準は政令で週4日以上。深夜の窓口は制度上想定されていない。土日祝は国民生活センターが補完(バックアップ相談 03-3446-0999/平日10時〜16時)
  • かける前にそろえるのは、約款・契約書・広告・パンフレット・ネットの画面とURL。 ただし「1日でも早い対応が有効な場合もある」ので、そろわなくても先に電話
  • 聞かれるのは氏名・住所・電話番号・性別・年齢・職業。伝えないと答えられることは極めて限定的になる
  • 相談はPIO-NETに登録され(2024年度91.0万件)、個人を識別できる情報を除いて注意喚起や制度の見直しに使われる
  • 相手が事業者で争点がお金・契約なら188。事件に当たり得る行為なら警察。 両方の性格がある出来事なら、両方に相談してよい

窓口の輪郭がはっきりしているほど、困ったときに迷う時間が短くなります。188にできることは限られていますが、その限られた範囲は法律で保証されていて、無料で、全国どこからでも同じ番号で入れます。 これは、知っているかどうかだけで差がつく種類の仕組みです。

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参考情報

  • e-Gov法令検索「消費者安全法」(第8条・第8条の2・第9条・第10条・第10条の2・第10条の3・第10条の4・第11条)https://laws.e-gov.go.jp/law/421AC0000000050/
  • e-Gov法令検索「消費者安全法施行令」(第6条・第7条)https://laws.e-gov.go.jp/law/421CO0000000220
  • 消費者庁「消費者ホットライン」https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 消費者庁「消費生活相談員」https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/system_improvement/consumer_affairs_consultants.html
  • 国民生活センター「全国の消費生活センター等」https://www.kokusen.go.jp/map/
  • 国民生活センター「バックアップ相談」https://www.kokusen.go.jp/soudan/
  • 国民生活センター「相談時のポイント−相談を受けるにあたり知っておいていただきたいこと−」https://www.kokusen.go.jp/soudan/data/point.html
  • 国民生活センター「相談(業務案内)」https://www.kokusen.go.jp/hello/data/soudan.html
  • 国民生活センター「業務案内」https://www.kokusen.go.jp/hello/work.html
  • 国民生活センター「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」https://www.kokusen.go.jp/pionet/
  • 国民生活センター「国民生活センターにおける相談処理の流れ」https://www.kokusen.go.jp/hello/pdf/g-gyoumu06_s3.pdf
  • 東京くらしWEB「相談に当たっての留意事項」https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/point.html
  • 警察庁「警察相談専用電話『#9110』」https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/soudan/soudanmadoguti.pdf
  • 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」https://www.npa.go.jp/goiken_index.html
  • 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

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