結論から書きます。「夜のお店は何時まで営業できるか」に一つの答えはありません。答えは店の業態で三つに分かれます。接待をする店(キャバクラ・ホストクラブなど)は原則として午前0時まで。接待をしない酒類提供の店は、届出をすれば風営法上の終了時刻の定めがなく朝まで開けられる。深夜に遊興をさせる店は許可制で、条例により午前5時などで区切られる。
この記事で主役にしたいのは、この三本立てを支えている条文の作りそのものです。風営法第13条第1項は「深夜」を午前0時から午前6時までと定義したうえで、その時間帯の営業を禁じています。そして「都道府県の条例に特別の定めがある場合」に限って午前1時などへの延長を認めています。 ここで重要なのは、条例が自由に地域を決められるわけではないことです。政令が「風俗営業などの営業所が1平方キロメートルにつきおおむね300か所以上」という密度の基準を置いていて、条例はその枠の中でしか地域を指定できません。
そして「深夜=午前0時から午前6時」という定義は、裏返すと午前6時以後なら接待をする店も営業できるという意味になります。いわゆる「朝キャバ」が成立するのは、この定義の裏側です。
営業の種別ごとの許可・届出の全体像は許可と届出の記事にあります。この記事は「時間」だけに絞り、法律・政令・都道府県の条例を実際に開いて確認した内容で書きます。
この記事で分かること
- 風営法が言う「深夜」の定義(午前0時から午前6時)と、それが時間ルールの土台になっていること
- 第13条第1項の原則と、ただし書が「日」と「地域」の組み合わせで書かれていること
- 延長できる地域を政令がどう縛っているか(1平方キロメートルあたり300か所という密度の基準)
- 大阪府・愛知県・京都府・東京都の条例が実際に何時まで、どこで延長を認めているか
- 逆に営業時間が短くなる地域があること(住居集合地域では午前10時まで営業できない場合がある)
- 朝まで開けられる仕組み=深夜における酒類提供飲食店営業の届出(第33条)と、その代わりにできなくなること
- 2016年にできた特定遊興飲食店営業という枠と、そこだけ午前0時の壁が外れている理由
- 「朝キャバ」が法律上どう成り立っているか
- 時間を守らなかったときに起きること(罰則がある違反とない違反の段差)
法令の記述はe-Gov法令検索の条文と、各都道府県の例規集・警察の公表資料で確認しています。ただし営業時間は住所ごとの地域指定で結論が変わる性質のもので、以下は一般的な情報です。個別の店舗・物件については所轄の警察署に確認してください。
時間のルールは「何をする店か」で決まる
「深夜」は法律用語で、午前0時から午前6時
まず用語です。風営法第13条第1項は、括弧書きでこう定義しています。
深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)
この6時間の枠が、以下すべての話の基準になります。 「深夜営業」という言葉は日常では夜遅くという程度の意味で使われますが、風営法では午前0時ちょうどから午前6時ちょうどまでという固定した時間帯を指します。午後11時は深夜ではなく、午前5時59分は深夜です。
業態を分けるのは「接待」と「遊興」と「酒類」
そのうえで、どの規制がかかるかは三つの言葉で決まります。
接待は第2条第3項に定義があります。
この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
接待をして客に遊興または飲食をさせる営業は、第2条第1項第1号の風俗営業になります。条文が挙げているのは「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」で、キャバクラもホストクラブもスナックもここに入ります。
遊興については、大阪府警察が警察庁の解釈運用基準に沿って「営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせることをいいます」と説明しています。該当例として、不特定の客にショーやダンス・演芸を見せる行為、生演奏を聴かせる行為、音楽や照明の演出をして不特定の客にダンスをさせる行為、のど自慢大会などに不特定の客を参加させる行為、カラオケで不特定の客に歌うことを勧め照明の演出や合いの手を行う行為、バーでスポーツ映像を見せて応援に参加させる行為などが挙げられています。同ページは「不特定の客」とは来店する誰もがそのサービスを受けられることを意味し、特定の客だけに提供する場合は該当しないとも書いています。
酒類提供飲食店営業は第2条第13項第4号にあります。「バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業」で、「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く」という括弧が付いています。つまり主食を出すことが常態の居酒屋・食堂はここから外れます。
この三語の組み合わせで、同じ「夜のお店」でも適用条文がまったく変わります。 時間の答えが一つにならないのは、そのためです。
原則——第13条第1項「深夜においては、その営業を営んではならない」
条文の作り
第13条第1項の本文はこうです。
風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。
これが原則です。接待をする店は、午前0時から午前6時までは営業できません。
ただし書が続きます。ここが少し変わった書き方をしています。
ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。
注目したいのは「日の区分に応じ」「地域内に限り」という二重の絞り方です。 号は二つあります。
- 第1号——都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日。その日については、事情のある地域として条例で定める地域
- 第2号——第1号以外の日。午前0時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として、政令で定める基準に従い条例で定める地域
つまり延長は「いつ」と「どこ」の組み合わせでしか認められません。祭礼や年末年始のような特別な日と、それ以外の普通の日とで、対象になる地域が別々に決められる構造です。
第2項は逆向き——短くするための条文
同じ第13条には、営業時間を延ばすのではなく縮めるための規定もあります。
2 都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、前項の規定によるほか、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。
第1項が「午前0時の壁を後ろにずらす」条文なら、第2項は「壁を前に持ってくる」条文です。 後で見るとおり、この第2項があるために、地域によっては午後11時に閉めなければならず、朝も午前10時まで開けられない場合があります。
延長する店に課される二つの義務
第13条には第3項・第4項もあります。第1項ただし書によって午前0時以後に営業する場合、風俗営業者は、客が大声や騒音を発したり酒に酔って粗野・乱暴な言動をしたりして営業所の周辺で他人に迷惑を及ぼすことがないよう必要な措置を講じなければならず(第3項)、営業所ごとに苦情の処理に関する帳簿を備え付けて必要な事項を記載し、苦情の適切な処理に努めなければならない(第4項)とされています。
延長は「無条件のご褒美」ではなく、周辺への負荷とセットで設計されています。 苦情処理の帳簿が条文レベルで義務になっているのは、この延長制度の性格をよく表しています。
延長地域はどう決まるか——政令の「1平方キロメートルに300か所」
第13条第1項第2号が言う「政令で定める基準」は、風営法施行令第9条にあります。ここが、この記事でいちばん見落とされやすい部分だと思います。
第9条第1号は、営業延長許容地域の指定は次のいずれにも該当する地域内の地域について行うこと、としています。
イ(密度の要件)——店舗が多数集合しており、かつ、風俗営業、遊興飲食店営業、深夜において営まれる酒類提供飲食店営業および興行場営業の営業所が1平方キロメートルにつきおおむね300か所以上の割合で設置されている地域(条文はこれを「風俗営業等密集地域」と呼んでいます)。
ロ(除外の要件)——次のいずれでもないこと。
- 住居集合地域(住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域)
- 住居集合地域以外の地域のうち、住居の用に併せて商業または工業の用に供されている地域で、住居が相当数集合しているため深夜における風俗環境の保全に特に配慮を必要とするもの
- 1または2に隣接する地域(幹線道路の各側端から外側おおむね50メートルを限度とする区域内の地域を除く)
「おおむね300か所以上」という具体的な数字が政令に書かれていることが、この制度の性格を決めています。 延長は「その都道府県がそうしたいから」ではなく、「実際に店が密集していて、住宅地から離れているから」という事実に紐づけられています。だから延長地域は全国どこにでもあるわけではなく、大都市の限られた繁華街に集中します。
さらに第9条第2号は、地域の指定と変更にあたっては、風俗営業の種類や営業の態様その他の事情に応じて良好な風俗環境の保全に障害を及ぼすことにならないよう配慮するとともに、その地域における風俗営業者の団体の届出の有無や、その団体が関係風俗営業者に対して行う営業時間の制限その他の事項に関する自主的な活動にも配意することとしています。業界団体の自主規制が、公的な地域指定の考慮要素として条文に書き込まれているわけです。
実際の条例を四つ読む
ここからは都道府県の側です。四つの例規集を開いて確認しました。同じ「午前1時」でも、地域の決め方はそれぞれ違います。
大阪府——条例で午前1時、規則の別表で町名まで
大阪府の施行条例は、第3条で「法第十三条第一項の条例で定める時は、午前一時とする。」と定めています。延長の上限は午前1時です。
地域は第5条で「大阪市北区及び中央区の区域のうち公安委員会規則で定める地域」とされ、施行規則の別表第4に町名と番地まで書かれています。北区では梅田一丁目・角田町・神山町・小松原町・曾根崎一丁目・曾根崎二丁目・曾根崎新地一丁目・太融寺町・兎我野町・堂島一丁目・堂島浜一丁目・堂山町・西天満六丁目、中央区では心斎橋筋一丁目・二丁目、千日前一丁目・二丁目、宗右衛門町、道頓堀一丁目・二丁目、難波一丁目から四丁目、難波千日前、西心斎橋一丁目・二丁目、日本橋一丁目・二丁目、東心斎橋一丁目・二丁目などが挙げられ、町名によっては番地で範囲が区切られています。
同じ町名の中でも番地で線が引かれている、という粒度です。 大阪府といっても延長できるのは大阪市の二つの区の一部だけで、それ以外は午前0時までということになります。
なお第4条は、特別日(法第13条第1項第1号の日)について「年末年始その他の特別な事情のある日として公安委員会規則で定める日」とし、その地域を府の区域としています。特別日には府内全域が対象になる作りです。
愛知県——第五種地域、今池・栄地区の一部
愛知県の施行条例は、第5条第1項で「法第十三条第一項ただし書の条例で定める時は、午前一時とする。」としています。ここも午前1時です。
地域は第5条第3項で、接待飲食等営業について「第五種地域及び別表第五に掲げる地域」とされています。愛知県警察が平成28年施行の法改正を案内したページでは、営業延長許容地域を「今池・栄地区の一部」と説明し、この点は改正で変更がなかったとしています。
特別日については第5条第2項が、12月16日から翌年1月10日までの間において公安委員会規則で定める日と、祭礼その他特別の行事が行われる日として公安委員会規則で定める日を挙げています。年末年始の期間の取り方が条例に明記されているのが愛知県の特徴です。
京都府——第4条の表で、特別日と平常日を書き分け
京都府の施行条例は第4条に表を置き、祭礼その他特別の行事の日については「公安委員会が告示する時」「公安委員会が告示する地域」、それ以外の日については「午前1時」としています。第2項では、まあじゃん屋および接待飲食等営業について第3種地域で午前1時までの営業が認められる形になっています。
特別日の時刻を条例本文で決めず、告示に委ねているのが京都府の書き方です。 祭礼の規模や場所が年によって変わることを織り込んだ設計だと読めます。
東京都——条例は枠だけ、時刻は規則、地域は告示
東京都の施行条例は第4条の3で、法第13条第1項ただし書の条例で定める時を、第1号(特別日)の場合と第2号(それ以外の日)の場合に分け、それぞれ「午前1時以後であって規則で定める時」としています。
そして施行に関する規則の第6条が、いずれについても午前1時と定めています。特別の事情がある地域として公安委員会が告示する地域については、公安委員会が告示する時とされています。
地域の側は、条例第4条の2第2項が営業延長許容地域を「商業地域のうち規則で定める地域」と定義し、規則第5条がそれを「公安委員会が告示する地域」としたうえで、住居集合地域からの距離が20メートル以下の区域(幹線道路の各側端から外側50メートル以下の区域を除く)を除くという条件を付けています。特別日側は規則第4条で、年末年始については都内全域(営業延長許容地域を除く)、大規模な祭礼が行われる日等については公安委員会が告示する地域とされています。
東京都の条例・規則を読んでも、具体的な地名は出てきません。 時刻は午前1時と分かりますが、どの区画が対象かは公安委員会の告示を見るしかない構造です。特定の住所が延長地域に当たるかどうかは、所轄の警察署に確認するのが確実です。
逆に短くなる地域もある
第13条第2項の話に戻ります。この項に基づく条例の基準は施行令第10条にあり、営業を営んではならない時間を指定できる範囲が決められています。
住居集合地域に係る地域については、午前6時後から午前10時までの時間、および午後11時から翌日の午前0時前の時間(特別日営業延長許容地域では条例で定める時まで)。住居の用に併せて商業・工業の用に供され、住居が相当数集合していて早朝の風俗環境の保全に配慮が必要な地域については、午前6時後から午前10時までの時間。
これを受けて、東京都の条例第5条は表の形で営業時間の制限を定めています。表では、法第2条第1項第4号の営業(まあじゃん屋・ぱちんこ屋)について東京都内全域で午後11時から翌日の午前10時まで、その他の風俗営業について住居集合地域で午後11時から翌日の午前10時までが、営業できない時間として掲げられています。
つまり住居集合地域では、接待をする店は午後11時に閉めなければならず、朝も午前10時までは開けられません。 「午前0時まで」が原則だと覚えていると取りこぼす部分です。営業時間の答えは、都道府県ではなくその住所がどの区分の地域にあるかで決まります。
朝まで開いている店は何が違うのか
ここまでは接待をする店の話でした。では、午前2時、3時に開いている店は違法なのか。多くは違法ではなく、そもそも別の枠組みで営業しています。
第33条第1項——届出だけで深夜に酒を出せる
風営法第33条第1項はこうです。
酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
記載事項は、氏名または名称および住所(法人は代表者の氏名)、営業所の名称および所在地、営業所の構造および設備の概要の三つです。第3項により、営業の方法を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付します。
許可ではなく届出です。 審査を通って許されるのではなく、出せば足りる建て付けになっています。愛知県警察の案内ページによれば、届出書は営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に、当該営業を開始しようとする日の10日前までに提出することとされています。
そして、風営法は深夜における酒類提供飲食店営業について「何時まで」という終了時刻を定めていません。 第33条にあるのは届出の義務と、後述する地域の禁止だけです。朝まで開いている店が成り立つのは、この不在によります。
代わりに、できなくなること
その代わり、この枠組みには前提があります。接待をしないことです。 接待をすれば第2条第1項第1号の風俗営業に当たり、第3条第1項の許可が必要になります。許可を受けずに風俗営業を営んだ場合、第49条第1号により5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科です。
この段差はかなり大きいものです。 届出をしていること自体は、接待をしてよいという意味にはなりません。届出営業か許可営業かは、店内でどう振る舞えるかを決める線でもあります。
年少者の扱いも変わります。第32条第3項が第22条第1項(第3号を除く)を飲食店営業に準用しており、読み替えの結果、午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客として立ち入らせることが禁じられます。18歳未満の者を客に接する業務に従事させることも同様です。第51条第1項第4号により、これらの違反には1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科が定められています。さらに第51条第2項は、その者の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることはできない(過失のないときを除く)としています。
第36条は、深夜において飲食店営業を営む者に対しても従業者名簿の備付けを義務づけています。備えない・必要な記載をしない・虚偽の記載をした場合は、第54条第3号により100万円以下の罰金です。
地域による禁止と、既にやっている店の扱い
第33条第4項は、都道府県が政令で定める基準に従い条例で地域を定めて、深夜において酒類提供飲食店営業を営むことを禁止できるとしています。
実際の条例を見ると、大阪府は第17条で、都市計画法上の第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・田園住居地域では深夜に営業してはならないとしています。愛知県は第27条で「第一種地域」について同様に禁じ、愛知県警察のページはこの第一種地域を上記の住居系用途地域と説明しています。東京都は第15条で、住居集合地域において午前0時から午前6時までの時間に営んではならないとしています。
書き方は違いますが、狙いは同じで、住宅のある区域では朝までの営業をさせないという線です。
そして第33条第5項に、実務上とても効く規定があります。
前項の規定に基づく条例の規定は、その規定の施行又は適用の際現に第一項の届出書を提出して深夜において酒類提供飲食店営業を営んでいる者の当該営業については、適用しない。
条例で禁止地域になる前から届出をして営業していた店は、その営業についてはそのまま続けられるということです。同じ通りで、同じような店なのに片方だけ朝まで開いている、という状態が制度上あり得ます。
なお、届出をせずに深夜に酒類提供飲食店営業を営んだ場合は第55条第6号により50万円以下の罰金、第33条第4項に基づく条例の規定(禁止地域)に違反した場合は第51条第1項第10号により1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科です。
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特定遊興飲食店営業——午前0時の壁が外れている枠
2016年にできた三つ目の枠
深夜に酒を出すだけなら届出。しかし深夜に「遊興」もさせるとなると、また別の枠になります。第2条第11項の定義です。
この法律において「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のものをいう。
「午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの」という書き方が独特です。 昼と夜だけでやっている店は入らず、深夜にかかる店だけが入る、という括り方になっています。愛知県警察の案内によれば、この営業区分は平成28年6月23日施行の改正で新設され、同じ改正でダンス営業が風俗営業から除外されました。
第31条の22により、特定遊興飲食店営業を営もうとする者は営業所ごとに公安委員会の許可を受けなければなりません。許可を受けずに営んだ場合は第50条第4号により2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科です。
なぜ午前0時で閉めなくてよいのか
理由は準用規定の書き方にあります。第31条の23は、特定遊興飲食店営業について準用する条文を列挙するなかで、「第十三条(第一項を除く。)」としています。
準用されるのは第13条の第2項から第4項までで、第1項——深夜の営業禁止——は準用されません。 特定遊興飲食店営業に午前0時の壁がないのは、条文がそう作られているからです。
地域の決め方も逆になっている
もう一つ、第31条の23の読替表に面白い部分があります。風俗営業の許可基準である第4条第2項第2号は、良好な風俗環境を「保全するため特にその設置を制限する必要がある」地域を条例で定める形——つまりここではやってはいけないという制限地域の方式です。
これが特定遊興飲食店営業では、「の保全に障害を及ぼすことがないため特にその設置が許容される」地域と読み替えられ、「あるとき」は「ないとき」に読み替えられます。ここだけは営業してよい、という許容地域の方式に反転しています。 深夜に遊興をさせる営業は、原則不可のうえで場所を限って開ける、という設計です。
それでも「朝まで無制限」ではない
第13条第2項は準用されるので、都道府県の条例による時間制限はかかります。実際、東京都の条例第13条は、特定遊興飲食店営業について東京都内全域で午前5時から午前6時までの時間の営業を禁じています。 大阪府の条例第15条も、規則で定める地域について午前5時から午前6時までの営業を禁じています。
東京と大阪で、時刻がぴたりと揃っています。 午前6時になれば「深夜」が明けるので、そこから先は別の枠組みの話になる。その直前の1時間を空けることで、深夜営業と朝の営業が地続きにならないようにしている、と読めます。
「朝キャバ」が成立する理由
ここまでの材料で、朝キャバ・昼キャバと呼ばれる業態が説明できます。
第13条第1項が禁じているのは深夜、つまり午前0時から午前6時までの営業です。裏返すと、午前6時以後であれば、接待をする風俗営業でも営業できます。 接待飲食等営業の許可を持ったまま、深夜を丸ごと避けて朝から昼に営業する。これが朝キャバの法的な位置です。
キャバクラ求人サイトの用語解説も、第1号営業の許可で規制される店は深夜0時(地域によっては1時)から翌朝6時までは営業できないとしたうえで、朝キャバ・昼キャバという業態に触れています。同じ記事は、ガールズバーやスナックなどが深夜における酒類提供飲食店営業の届出を出した場合に、より遅い時間帯の営業が可能になることも書いています。
ただし、朝キャバがどこでもできるわけではありません。 前述のとおり第13条第2項に基づく条例が、住居集合地域について「午前6時後から午前10時まで」を営業できない時間として指定できます。東京都の条例第5条の表は、住居集合地域にある風俗営業について午後11時から翌日の午前10時までを掲げています。この地域では、午前6時に開けるという発想がそもそも成り立ちません。
年少者の制限も、朝だからといって緩みません。第22条第1項第3号は営業所で18歳未満の者に客の接待をさせることを禁じ、第5号は18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることを禁じています。第6号は営業所で20歳未満の者に酒類またはたばこを提供することを禁じています。時間帯によって変わるのは第4号(午後10時から翌日の午前6時までの就業)だけで、第3号・第5号・第6号は時間に関係なく効きます。
働く側の生活時間がどう組まれるかはホストの睡眠と生活時間の記事で扱っています。営業時間の枠が違えば、そこで働く人の一日の形も変わります。
守らなかったときに何が起きるか
最後に、違反したときの扱いを整理します。ここにははっきりした段差があります。
まず、第13条には直接の罰則がありません。 風営法の罰則は第49条から第56条までに置かれていますが、そのどこにも第13条は挙げられていません。営業時間の制限に違反した場合に効くのは、第25条による公安委員会の指示と、第26条第1項による許可の取消しまたは6か月を超えない範囲での営業の全部・一部停止命令です。
一方で、枠組みそのものを踏み外した場合は刑事罰の対象になります。条文で確認できる範囲を並べます。
| 違反の内容 | 根拠 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 許可を受けずに風俗営業を営んだ | 第49条第1号 | 5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、または併科 |
| 許可を受けずに特定遊興飲食店営業を営んだ | 第50条第4号 | 2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、または併科 |
| 深夜の酒類提供を禁止する条例の地域で営んだ | 第51条第1項第10号 | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科 |
| 18歳未満に接待をさせた/深夜に客に接する業務に従事させた等 | 第51条第1項第4号 | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科 |
| 届出をせずに深夜において酒類提供飲食店営業を営んだ | 第55条第6号 | 50万円以下の罰金 |
| 従業者名簿を備えない・虚偽記載 | 第54条第3号 | 100万円以下の罰金 |
時間を1時間超えたことより、枠組みを取り違えたことのほうが重く扱われている、という構造です。 営業時間違反は行政処分で店に効き、無許可営業は刑罰で行為者に効く。この違いを知っておくと、「なぜ営業停止のニュースと逮捕のニュースがあるのか」が見分けやすくなります。
なお、行政処分といっても軽いわけではありません。6か月の営業停止は、店にとって事実上の存続問題になり得ます。第26条第2項には、風俗営業の停止を命じるときに同じ施設で営む飲食店営業についても停止を命じられる規定まで置かれています。
客・働く人が確認できること
営業時間の話は、住所と業態が分からないと結論が出ません。そのうえで確認しやすい事実を挙げます。
利用する側として。
- 深夜にその店が開いているとき、それは接待をしない営業である可能性が高い(接待をする店は原則午前0時、延長地域でも午前1時まで)
- 会計や時間の数え方は業態と関係なく決まる。時間制の料金の考え方は延長料金の記事にあります
- 「うちは特別に朝までやれる」という説明を受けたときは、それが届出営業なのか、特定遊興飲食店営業の許可なのか、話がかみ合っているか
働く側として。
- 自分の店がどの枠組みで営業しているかを把握しておく(許可か届出か、許可なら何号か)
- 深夜に酒を出す届出営業の店では、接待に当たる行為を求められていないか
- 18歳未満・20歳未満に関する第22条の線は、時間帯によって緩まないものがあること
- 従業者名簿の備付けは、深夜に飲食店営業を営む者にも第36条で義務づけられていること
いずれも一般的な情報です。具体的な物件や勤務先について確かめたい場合は、所轄の警察署の生活安全課が窓口になります。
よくある質問
Q1. 結局、キャバクラやホストクラブは何時まで営業できるのですか。 風営法第13条第1項により、原則として午前0時までです。都道府県の条例が延長を定めている地域では午前1時まで営業できます。今回確認した大阪府(条例第3条)、愛知県(条例第5条第1項)、京都府(条例第4条)、東京都(規則第6条)は、いずれも延長後の時刻を午前1時としていました。ただし住居集合地域などでは条例により午後11時までとなる場合があり、住所によって結論が変わります。
Q2. 午前1時までにできるのは、その都道府県のどこでもですか。 いいえ。延長は条例で指定された地域に限られ、その地域の決め方は風営法施行令第9条が縛っています。風俗営業などの営業所が1平方キロメートルにつきおおむね300か所以上ある密集地域であること、住居集合地域やそれに隣接する地域でないことが条件です。大阪府は施行規則の別表で大阪市北区・中央区の町名と番地まで指定しています。
Q3. 午前3時に開いているバーやガールズバーは違法なのですか。 そうとは限りません。接待をせず酒類を提供する店は、公安委員会に届出をすれば深夜に営業できます(第33条第1項)。風営法はこの営業について終了時刻を定めていません。ただし条例で禁止された地域では営業できず(第33条第4項)、届出をしていなければ第55条第6号により50万円以下の罰金の対象です。
Q4. 深夜に営業している店で、接待に当たることをしてもらえますか。 できません。接待をすれば第2条第1項第1号の風俗営業に当たり、第3条第1項の許可が必要になります。許可なく風俗営業を営んだ場合は第49条第1号により5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科です。深夜の届出営業と、接待をする許可営業は別の枠組みです。
Q5. 「朝キャバ」はなぜ営業できるのですか。 風営法が禁じているのは「深夜」=午前0時から午前6時までの営業だからです(第13条第1項)。午前6時以後であれば、接待をする風俗営業でも営業できます。ただし第13条第2項に基づく条例により、住居集合地域などでは午前6時後から午前10時までが営業できない時間として指定され得ます。東京都の条例第5条の表には、住居集合地域について午後11時から翌日の午前10時までが掲げられています。
Q6. クラブやライブハウスが朝まで営業しているのはどういう仕組みですか。 深夜に客に遊興をさせ、かつ酒類を提供して飲食させる営業は、特定遊興飲食店営業として第31条の22の許可の対象です。この営業には第13条第1項が準用されず(第31条の23)、午前0時で閉める必要がありません。ただし条例による制限はあり、東京都の条例第13条は都内全域で午前5時から午前6時までの営業を、大阪府の条例第15条は規則で定める地域で同じ時間帯の営業を禁じています。
Q7. 「遊興をさせる」とは具体的に何ですか。 大阪府警察は「営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせること」と説明し、不特定の客にショーやダンス・演芸を見せる行為、生演奏を聴かせる行為、音楽や照明の演出をして不特定の客にダンスをさせる行為、のど自慢大会などに不特定の客を参加させる行為、カラオケで不特定の客に歌うことを勧め照明の演出や合いの手を行う行為、バーでスポーツ映像を見せて応援に参加させる行為などを該当例として挙げています。同ページによれば「不特定の客」とは来店する誰もがそのサービスを受けられることを意味し、特定の客だけへの提供は該当しません。
Q8. 営業時間を超えて営業したら、店はどうなりますか。 第13条には直接の罰則がありません。効くのは行政処分で、第25条により公安委員会が必要な指示をすることができ、第26条第1項により許可の取消しまたは6か月を超えない範囲での営業の全部・一部の停止を命ずることができます。同条第2項には、風俗営業の停止を命じる際に同じ施設で営む飲食店営業の停止も命じられる規定があります。
Q9. 大晦日は特別に遅くまで営業できると聞きました。 第13条第1項第1号が「習俗的行事その他の特別な事情のある日」という枠を用意しており、条例がその日と地域を定めます。大阪府は条例第4条で年末年始その他の特別な事情のある日を公安委員会規則で定める日とし、対象地域を府の区域としています。東京都は規則第4条で、年末年始については都内全域(営業延長許容地域を除く)としています。愛知県は条例第5条第2項で12月16日から翌年1月10日までの間において公安委員会規則で定める日としています。具体的な日付は公安委員会規則・告示によります。
Q10. 居酒屋は深夜の届出が要るのですか。 第2条第13項第4号の酒類提供飲食店営業の定義には「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く」という括弧書きがあります。主食を出すことが常態の店はこの定義から外れるため、深夜における酒類提供飲食店営業の届出の対象にもなりません。実際にどちらに当たるかは営業の常態で判断されるので、判断に迷う場合は所轄の警察署に確認するのが確実です。
まとめ
- 風営法の「深夜」は午前0時から午前6時までの6時間。時間ルールはすべてこの定義を土台にしている
- 接待をする店(第2条第1項第1号の風俗営業)は、第13条第1項により深夜の営業ができない。原則は午前0時まで
- 例外は都道府県の条例による延長で、「日」と「地域」の組み合わせでしか認められない。今回確認した大阪府・愛知県・京都府・東京都はいずれも延長後の時刻を午前1時としていた
- 延長地域は条例が自由に決められるものではなく、施行令第9条が「風俗営業などの営業所が1平方キロメートルにつきおおむね300か所以上」「住居集合地域やその隣接地域でないこと」という基準を置いている。大阪府は施行規則の別表で北区・中央区の町名と番地まで指定している
- 第13条第2項は逆に営業時間を短くする条文。住居集合地域では午後11時から翌日の午前10時までが営業できない時間として指定され得る
- 接待をしない酒類提供の店は、第33条第1項の届出(営業開始の10日前まで)で深夜に営業できる。風営法はこの営業に終了時刻を定めていない。ただし条例による禁止地域があり、施行前から届出をしていた店には適用されない(第33条第5項)
- 深夜に遊興もさせる営業は特定遊興飲食店営業として第31条の22の許可制。第31条の23が第13条を「第一項を除く」で準用するため午前0時の壁がなく、地域の決め方も制限地域方式から許容地域方式へ反転している。東京都・大阪府はともに午前5時から午前6時までを禁じている
- 「朝キャバ」は、深夜が午前6時までと定義されていることの裏側。午前6時以後なら接待をする営業も可能になる。ただし住居集合地域では条例により午前10時まで開けられない場合がある
- 罰則の面では段差がある。第13条には直接の罰則がなく、効くのは第25条の指示・第26条の許可取消しや6か月以内の営業停止。無許可の風俗営業は第49条第1号で5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、無許可の特定遊興飲食店営業は第50条第4号で2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、無届の深夜酒類提供は第55条第6号で50万円以下の罰金
営業時間は、都道府県名だけでは決まりません。住所と業態の組み合わせで結論が変わります。ここに書いたのは一般的な情報で、個別の店舗・物件については所轄の警察署の生活安全課が確認先になります。
営業時間の話をたどっていくと、結局は「誰かと話せる時間帯が、場所と制度で細かく区切られている」という話に行き着きます。話したい時間が、店の開いている時間と噛み合わないこともあります。LOVETOK NOWは「今、話せます」と待機している人だけが一覧に並び、マッチングを待たずにその場でチャットを始められるサービスです(20歳以上・年齢確認あり)。地域ごとの話は出会いガイドにまとめています。
参考情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|e-Gov法令検索
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令|e-Gov法令検索
- 大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例|大阪府例規集
- 大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例施行規則|大阪府例規集
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例|愛知県警察例規集
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例|京都府例規集
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例|東京都例規集
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の施行に関する規則|東京都例規集
- 深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続|愛知県警察
- 風営適正化法等の一部改正のご案内(平成28年6月23日施行)|愛知県警察
- 「遊興をさせる」とは|大阪府警察
- 風営法とは?キャバクラで働く前に知っておきたい法律の知識を解説!|体入ドットコム PLUS

