場内指名とは?キャバクラで席についてから指名が決まる仕組みを解説

最終更新:2026-08-18

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場内指名とは、指名を決めずに入店した客が、席についたキャストをその場で指名することです。 業界では「場内(じょうない)」と略されます。

この制度のいちばんの特徴は、指名が決まるタイミングが「入口」ではなく「席の途中」にあるという点です。ふつうの買い物なら、値段を見て、注文して、それから商品が出てきます。ところが場内指名は、すでに接客が始まっている席の上で、会話の流れのなかで決まる。サービスが先に動いていて、料金を発生させる合意が後から乗る——この順番のねじれが、場内指名という制度を理解するうえでの核心であり、料金トラブルが起きるとしたらその原因もここに集中します。

この記事では、場内指名という制度そのものを分解します。どんな条件で発生するのか、席についてから確定するまでに何が起きているのか、料金はどの時点から数え始めるのか、働く側の給料にはどう反映されるのか。そして、この「後から決まる」という性質を、風営法の料金表示義務と消費者契約法がどう扱っているのか。

この記事で分かることは、次のとおりです。

  • 場内指名が発生する前提条件(「フリー」という状態)と、発生する入口のパターン
  • 席についてから指名が確定するまでの流れを、時系列で分解したもの
  • 料金がどの時点から発生し、延長するとどうなるのか
  • 風営法第17条の料金表示義務が「注文前」を求めていること
  • 2025年改正で追加された遵守事項が、場内指名のどこに関わるのか
  • 消費者契約法の「不実告知」「不利益事実の不告知」から見た場内指名
  • 場内指名が働く側の収入と評価にどう反映されるのか

なお、本指名との違いそのものは本指名と場内指名は何が違う?で正面から扱います。この記事では比較ではなく、場内指名という制度の中身に絞ります。

料金の金額については、店舗・地域・業態・時期によって大きく異なり、公的に集計された統計は存在しません。この記事では確認できない具体的な金額は書かない方針をとっています。

場内指名が成立する前提——「フリー」という状態

指名なしで入店した客だけが持つ選択肢

場内指名は、どの席でも起きるわけではありません。前提になるのは、その客がまだ指名相手を決めていない状態、業界でいう「フリー」です。

キャバクラの求人・情報サイトの説明を整理すると、場内指名の対象になりうる客は大きく二つに分かれます。ひとつは店舗自体が初めてで、指名するキャストが決まっていない新規客。もうひとつは、来店経験はあるが毎回指名を決めずに来る客です。どちらも「今日この席で誰に接客してもらうか」が空白のまま入店しているという点で共通しています。

逆に言えば、すでに担当が決まっている客が同じ相手を選び続ける場面では、場内指名という制度は登場しません。場内指名は「まだ決まっていない」という状態を前提にした、その状態を解消するための仕組みなのです。

フリーの席で起きていること——時間で区切られた入れ替わり

指名なしで入店すると、ひとりのキャストがずっと席についているのではなく、複数のキャストが時間で区切って入れ替わりながら接客する形をとる店が一般的だと説明されています。この入れ替わりは業界で「回転」と呼ばれ、情報サイトでは1セット(おおむね40分〜1時間程度と説明されることが多い時間帯)のあいだに3人から5人が入れ替わる、といった書き方をされています。

ただし、何人が何分ずつつくかは店の運営方針そのもので、全国共通の決まりはありません。席数、その日の来店客数、出勤しているキャストの人数によっても変わります。「必ず◯分で交代する」と一般化できる性質のものではない、という前提で読んでください。

重要なのは人数や分数ではなく、この入れ替わりがあるからこそ場内指名が意味を持つという構造です。客は複数の相手と短時間ずつ話し、そのなかから「この人ともう少し話したい」を選ぶ。選択の材料がその場で提供され、その場で選ぶ。場内指名は、この「試してから選ぶ」形式とセットになった制度です。

場内指名が発生する入口はひとつではない

情報サイトの説明を集めると、場内指名が生まれる場面はいくつかのパターンに整理できます。

  • フリーの席で回ってきたキャストを気に入った場合——もっとも典型的な形です
  • すでに担当がいる客の席にヘルプとしてついたキャストが気に入られた場合——このとき客は別の日にそのキャストを場内指名する、という形もあります
  • 他のキャストや知人から紹介された場合
  • 店内で見かけて、スタッフに指名を申し出た場合

つまり場内指名は「フリーで入店した客が、回ってきた相手を選ぶ」だけの制度ではありません。その日その店の中で、客の側の選択が新しく生まれたときに発生する指名だと捉えたほうが正確です。「場内」という言葉が「店の中で」を意味しているのは、まさにこの点を指しています。

なお、ヘルプという役割そのものの説明はホストクラブの「ヘルプ」とは?で扱っています。業態は違いますが、担当以外のスタッフが席につく仕組みという点では考え方が共通しています。

席についてから指名が確定するまで——流れを分解する

場内指名がほかの指名と違うのは、確定するまでの手続きが会話のなかに埋め込まれていることです。ここを時系列で分解しておくと、あとで説明する法律の話がそのまま実務の話としてつながります。

1. 受付——指名の有無を聞かれる

入店時、スタッフから指名の有無を確認されるのが通常です。ここで「指名なし」と答えた時点で、その客はフリーとして扱われます。この段階では、指名料は発生していません。

同時に、この時点が料金表を確認できる最初のタイミングでもあります。後述するとおり、風営法は料金を注文前に客が見られる状態にしておくことを店に求めています。指名料の欄に「場内指名料」という項目があるか、あるとしたら何を単位に発生するのかを、この段階で見ておくのがいちばん確実です。

2. 着席と回転——選択の材料が提示される

席につくと、キャストが入れ替わりで接客します。この段階でも指名料は発生していません。ここまではセット料金(席と時間に対する料金)と、注文した飲食物の代金だけが動いている状態です。セット料金の考え方そのものはセット料金とは?、会計全体の組み立てはキャバクラの料金システムで扱っています。

3. 申し出——ここが実質的な「注文」にあたる

客が「この人にもう少しいてほしい」とスタッフに伝える、あるいはキャスト本人にそう伝える。この瞬間が、料金を発生させる意思表示にあたります。

ここで注意したいのは、この意思表示の形式がまったく決まっていないということです。「場内指名でお願いします」というはっきりした言い方もあれば、「もう少しいてもらえますか」「次も来てもらえますか」といった、料金の話が一言も出てこない言い方もありえます。それでも店側の運用としては、そこから指名扱いになる。

つまり場内指名は、「注文」という行為が日常会話に溶けている制度です。ここが、入店時に指名を伝える形の指名と決定的に違う点であり、あとで「そんなつもりはなかった」という食い違いが生まれる余地でもあります。

4. スタッフへの伝達と席の確保

申し出を受けたスタッフは、そのキャストを他の席から外して、この席に配置する調整をします。場内指名料が「選ぶこと」に対する料金だと説明されるのは、この調整が実際に発生するからです。ひとりのキャストを一つの席に固定すれば、そのぶん他の席の配置が動きます。選択の自由には運営コストがかかる——これが指名料という料金項目の一般的な根拠です。この考え方自体は指名料とは?で整理しています。

5. 伝票への記載

確定した指名は伝票に記載されます。ここではじめて、口頭のやり取りが金額として可視化されます。

裏返すと、3と5のあいだには時間の隙間があります。会話で決まったことが、紙(またはシステム)に載るまでのあいだ、その合意は客の記憶と店の運用のなかにしか存在しない。場内指名で確認をおすすめする理由は、この隙間にあります。

料金はどの時点から発生するのか

起点は「指名が確定した時点」が基本形

場内指名料は、指名が確定した時点から発生するのが基本的な考え方です。席についた最初の1分から遡って発生するのではなく、選んだ時点から先に対する料金だと考えると理解しやすくなります。

ただし、これも店の料金設計の問題です。「そのセットの分は全額かかる」という設計も、「確定した時点からの残り時間だけ」という設計もありえます。業界共通のルールとして断定できるものではありません。

延長したときにどうなるかが最大の分かれ目

場内指名でいちばん会計の差が出るのが、延長との関係です。

セットを延長したとき、場内指名料が再び発生するのか、それとも来店1回につき1度だけなのか。この違いによって、同じ滞在時間でも最終的な金額はまったく変わります。情報サイトのなかには「延長のたびに指名料が加算される」と書いているものも、「延長時は半額」と書いているものもありますが、これは各店の設計を紹介しているものであって、法律や業界の統一ルールではありません。

延長料金そのものの数え方は延長料金とは?で扱っています。場内指名を考えるときは、「延長したら指名料も追加になるか」を、延長を決める前に確認するのが実務的です。

場内指名料と本指名料の金額の関係は一定ではない

「場内指名料のほうが安い」と説明されることが多いのは事実ですが、これも一律ではありません。ある情報サイトは、場内指名料が本指名料より低い店もあれば、両方を同額に設定している店、場内指名料のほうを高く設定している店もあると説明しています。

「場内だから安い」という前提で会計を予想しない——これがこの記事でいちばん実用的な注意点かもしれません。どちらが高いかを含めて、その店の料金表が答えです。

複数の相手を場内指名したとき

同じ日に複数の相手を場内指名した場合、原則としては人数分の料金が発生します。ただし、2人目以降を別の名目で扱う店もあります。人数の扱いも店ごとのルールなので、複数を考えているなら先に聞いておくのが安全です。

指名しないという選択は、いつでもできる

回転してきた相手を必ず誰か選ばなければならない、という決まりはありません。誰も場内指名せずにそのまま帰るのも、料金の仕組みの上では普通の使い方です。店側が指名を案内することはありますが、案内されたからといって応じる義務はありません。

風営法から見た場内指名——「注文前」に料金が見えているか

第17条:料金は営業所で客に見やすく表示しなければならない

接待を伴う飲食店は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)上の風俗営業にあたります。同法第17条は次のように定めています。

風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。

ポイントは「営業所において客に見やすいように」という部分です。会計のときに明細を出せばよい、という書き方にはなっていません。料金は、客がそれを見て判断できる状態で置かれていなければならない、というのが法の建て付けです。

場内指名は、この条文と相性が悪い制度です。なぜなら、料金が発生する判断をする瞬間は、料金表から離れた席の上にあるからです。入口の壁に料金表が掲げられていても、席についてから2時間後に「もう少しいてほしい」と言う瞬間、その表は目の前にありません。だからこそ、入店の段階で場内指名料の欄を見ておくことが、この制度に固有の自衛策になります。

2025年改正で追加された遵守事項が関わる二つの場面

2025年(令和7年)に施行された改正風営法は、接待飲食営業を営む者のしてはならない行為として、次の三つを追加しました。大阪府警察の解説によれば、それは「料金に関する虚偽説明」「客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求」「客が注文していない飲食等の提供」です。

このうち、一つ目と三つ目が場内指名に直接かかわります。

料金に関する虚偽説明——場内指名で問題になりうるのは、たとえば次のような説明です。

  • 場内指名料がかかるのに「お金はかかりません」と説明する
  • 延長のたびに加算されるのに「1回だけです」と説明する
  • サービス料や税が別に乗るのに、総額であるかのように説明する

いずれも、事実と違う説明、あるいは客を誤認させる説明にあたり得ます。場内指名は口頭で決まる制度である以上、説明の中身がそのまま法の評価対象になるわけです。

客が注文していない飲食等の提供——こちらは、場内指名の「注文の意思表示がいつ成立したのか曖昧になりやすい」という性質に関わります。客が選んだつもりのないまま、特定のキャストが席に固定され、その分の料金が伝票に載る。そうした状況が客を困惑させ、それによって飲食等をさせたと評価されるなら、追加された遵守事項の問題として扱われる余地があります。

この改正では罰則も大幅に強化され、大阪府警察の解説によれば、個人の拘禁刑は2年以下から5年以下へ、罰金は200万円以下から1,000万円以下へ、法人に対する罰金は200万円以下から3億円以下へ引き上げられました。あわせて「客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫」なども罰則付きの禁止行為とされています。改正の全体像と、恋愛感情に関する部分についてはホストの「本指名」とは?で詳しく扱っています。

場内指名という仕組み自体は違法ではない

誤解のないように書いておくと、場内指名という制度を設けること、そこに料金を設定すること自体は、何ら違法ではありません。 席についてから選べるようにするのは、客にとってむしろ選択肢が増える設計です。

法律が問題にしているのは制度ではなく、手続きの側です。表示されているか、説明が事実と合っているか、客の意思表示があったか。この三点が満たされていれば、場内指名は通常の商取引と何も変わりません。

総額表示——口頭で聞いた金額は対象外

見落とされやすいのが消費税です。国税庁によれば、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合には、消費税額を含めた税込価格の表示が義務づけられています。この義務は店頭表示・チラシ・広告など媒体を問わず適用されます。

ただし国税庁は、価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は総額表示義務の対象外であることも明記しています。

これは場内指名にとって重要な意味を持ちます。場内指名の金額は、席の上で口頭で伝えられることがある。そのとき告げられた金額が税込なのかどうかは、総額表示義務ではカバーされていないのです。口頭で金額を聞いたら、税込かどうかまで自分で確認する。これは制度上の穴ではなく、そもそも表示義務の射程がそこまでではない、というだけの話です。

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消費者契約法から見た場内指名

風営法は、店を監督する行政のルールです。それとは別に、客と店のあいだの契約そのものを扱う法律があります。消費者契約法です。場内指名は、この法律の考え方と非常に相性のよい(つまり、問題が起きたときに使える)題材です。

なぜ場内指名で「誤認」が問題になりやすいのか

消費者契約法は、事業者の一定の行為によって消費者が誤認し、そのせいで契約の意思表示をしてしまった場合に、その意思表示を取り消せると定めています。

場内指名は、まさに「意思表示」が問題になる制度です。席の上での短いやり取りで契約が動き、その内容が書面で確認されるのは後になる。誤認が入り込む隙間が構造的にある——だからこの法律の話をしておく価値があります。

不実告知(第4条第1項第1号)

ひとつめは、重要事項について事実と異なることを告げられ、それが事実だと誤認して契約した場合です。同号は「重要事項について事実と異なることを告げること」を、取消しの対象となる行為として挙げています。

場内指名で言えば、料金がかかるのに「かかりません」と告げられた、単位が違うのに「1回だけ」と告げられた、といった場面がこれにあたりうるものです。

不利益事実の不告知(第4条第2項)

そしてこちらが、場内指名を考えるうえで特に重要です。条文は次のとおりです。

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

条文が想定しているのは、「いいこと」だけを言って「悪いこと」を黙っているという構図です。

場内指名という制度は、この構図が生まれやすい形をしています。席の上でのやり取りは、性質上「もっと話したい」「楽しい」という方向に寄りがちで、そこに料金の話は出てきにくい。もし、利益になる面だけを告げて、料金が追加で発生するという不利益な事実を、故意または重大な過失で告げなかったのであれば、条文の要件に当たる可能性が出てきます。

ただし、条文をよく読むと分かるとおり、要件はかなり細かく組み立てられています。「利益となる旨を告げた」ことが必要で、告げなかった事実が「その告知によって存在しないと通常考えるべきもの」に限られ、さらに「故意または重大な過失」が要る。料金の説明がなかった、というだけで自動的に取り消せるわけではありません。

取消しは自動ではなく、期間の制限がある

もうひとつ大事なのが、消費者契約法は民事のルールだということです。要件を満たしていても、契約が自動的に無効になるわけではありません。自分で「取り消す」と主張する必要があり、争いになれば最終的には個別の事案に即して判断されます。

さらに期間の制限もあります。同法第7条は次のように定めています。

第四条第一項から第四項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

つまり、放っておけば消えます。 場内指名の料金について納得がいかない状態が続いているなら、早い段階で相談するのが実際的です。

相談先

  • 消費者ホットライン 188:消費者庁が案内する全国共通の番号で、郵便番号を入力すると最寄りの消費生活センターや相談窓口につながります。施設点検日や年末年始を除いて原則毎日利用でき、土日祝日に市区町村の窓口が閉まっている場合は国民生活センターが補完対応します。相談自体は無料で、通話料のみ発生します(一般回線から約9.35円/3分、携帯電話から約11円/20秒が目安と案内されています)
  • 警察相談専用電話 #9110:緊急ではないが警察に相談したい内容の窓口
  • 身の危険を感じる状況であれば 110番

その場で押し切られてしまうと、あとから取り返すのは難しくなります。納得できないまま署名や振込をしない、というのが基本です。

働く側から見た場内指名——収入と評価にどう反映されるか

ここからは視点を変えて、接客する側にとって場内指名がどういう位置づけにあるかを整理します。

収入への反映は「指名バック」だけではない

場内指名を取ると、指名料の一部が本人に還元される形をとる店が多いと説明されています。この還元が業界でいう「バック」です。仕組みそのものはキャバクラのバックとは?で扱っています。

ただし、収入への反映経路はバックだけではありません。情報サイトの説明を整理すると、少なくとも次の経路が挙げられています。

  • 指名バック:場内指名料の一部が還元される
  • 時給への反映:場内指名の本数が、翌月以降の時給査定に反映される場合がある
  • ドリンクバック・延長への波及:席に長くつくことで、ドリンクの注文や延長につながり、そこからも収入が生まれる
  • 配席の優先:場内指名を多く取るキャストが、フリー客の席に優先的に配置されるようになる、という運用

最後の「配席の優先」は、金額として直接見えないぶん見落とされがちですが、次の指名を取る機会そのものが増えるという意味で、収入構造に効いてきます。時給がどう決まるかはキャバ嬢の時給はどうやって決まる?で整理しています。

還元の有無も割合も、契約次第

ここは慎重に書きます。バックがあるかどうか、あるとして何割かは、店との契約で決まります。 情報サイトには具体的な金額を挙げているものもありますが、公的に集計された統計は存在せず、店舗・地域・時期によって異なります。

ある情報サイトは、バックの金額や給与・売上への反映条件は店舗によって異なるため、勤務先のルールを確認することが大切だと注意を促しています。これがいちばん正確な言い方だと思います。「場内指名のバックはいくら」という業界共通の数字はない、というのが事実です。

「本指名への入口」という位置づけ

情報サイトでは、場内指名は本指名につながる可能性を高めるステップとして説明されることが多く、「フリー客として出会う→場内指名をもらう→本指名に発展する」という順序で語られます。

ただし、必ずこの順に進むと決まっているわけではありません。 場内指名で終わる関係もあれば、最初から本指名になる場合もあります。この点も、業界の一般的な説明として紹介されているものであって、制度上の決まりではないという理解が正確です。

なお、担当が継続的に決まるタイプの指名がどういう性質のものかはホストの「本指名」とは?で扱っています。業態は違いますが、「継続する担当関係」という構造の説明としては共通する部分があります。

税金の扱い

場内指名料のバックを含む報酬の税務については、公的なルールがあります。国税庁は、バーやキャバレー等の経営者がホステス等に支払う報酬・料金について、支払時に所得税・復興特別所得税の源泉徴収が必要であるとしています。

税額は、報酬・料金の額から5,000円にその報酬・料金の計算期間の日数を乗じた金額を差し引いた残額に、10.21%の税率を乗じて計算します。国税庁は、報奨金や衣装代、深夜帰宅のためのタクシー代なども対象に含まれること、源泉徴収した税金は原則として支払った月の翌月10日までに納付する必要があることも示しています。

この扱いが適用されるかどうかは、雇用契約か業務委託かなど個別の事情によって変わります。 実際の判断は税務署や税理士に確認してください。

制度として見ると、場内指名は「短時間の評価」である

働く側から場内指名を眺めると、この制度の性格がよく分かります。数分から数十分の接客だけで、選ばれるかどうかが決まる。 継続的な関係の積み上げではなく、その場での判断です。

だから、場内指名の本数が少ないことをそのまま能力の評価と結びつけるのは、構造的に無理があります。回転の回数、席の配分、その日の来店客層、店の運営方針——本人がコントロールできない要素が大量に混ざるからです。指名数は店の運営条件込みの数字であって、個人の何かを直接測るものではない、という見方をしておいたほうが実態に近いと思います。

場内指名でトラブルを避けるために

客の側が確認しておきたいこと

場内指名は口頭で決まる制度なので、確認すべきことは「席につく前」に集中します。

  • 場内指名料はいくらか(税込かどうかを含めて)
  • 何を単位に発生するか(1セットか、1回の来店か、1人につきか)
  • 延長したら追加になるか——ここがいちばん金額差が出る
  • 複数の相手を場内指名したらどうなるか
  • サービス料やチャージの計算対象に指名料が入るか
  • 指名しないまま過ごすことは可能か

料金を注文前に確認できる状態にしておくことは、法律が店側に求めている水準そのものです。聞くこと自体は失礼な行為ではありません。

働く側が気をつけたいこと

  • 「もう少しいてほしい」と言われたときに、それが料金の発生する指名であることを伝えているか。伝えるのはスタッフの役割という店もありますが、伝わっていないまま伝票に載ると、あとで客と店の双方が困ります
  • 自分の店の場内指名料が、いくらで、どの単位で発生するかを説明できる状態にしておく
  • 自分のバックの計算方法(何を基準に、いつ反映されるか)を、契約の段階で書面で確認しておく
  • 口頭で決まった指名が伝票に正しく載っているかを、その場で確認する

納得できない請求を受けたら

説明と違う請求を受けた、料金表にない項目が加算されている、支払いを強く迫られている——そうした場合は、その場で押し切られる前に相談先を確保してください。前掲のとおり、消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110があります。

そして、消費者契約法の取消権には期間の制限があります。心当たりがあるなら、早めに動くほど選択肢が多いという点を覚えておいてください。

よくある質問

Q1. 場内指名は断れますか。 できます。誰かを場内指名しなければならない決まりはありません。回転してきた相手を誰も指名せずに帰るのは、料金の仕組みの上では普通の使い方です。店側が指名を案内することはありますが、応じる義務はありません。

Q2. 「もう少しいてほしい」と言っただけで指名料がかかるのですか。 店の運用によります。その一言から指名扱いになる店はあります。場内指名は形式の決まった手続きではなく、会話のなかで成立する制度なので、料金が発生する行為なのだという意識を持っておいたほうが安全です。心配なら「これは指名になりますか」と一言確認するのが確実です。

Q3. 場内指名料は本指名料より安いのですか。 一律ではありません。ある情報サイトは、場内指名料のほうが低い店もあれば、両方が同額の店、場内指名料のほうが高い店もあると説明しています。金額に全国共通の基準はなく、公的な統計もありません。その店の料金表で確認してください。

Q4. 延長したら場内指名料も追加になりますか。 これも店ごとの料金設計です。延長のたびに加算される設計も、来店1回につき1度だけの設計もありえます。同じ滞在時間でも最終金額がいちばん変わるのがこの部分なので、延長を決める前に確認してください。

Q5. 場内指名した相手を、同じ日に変えることはできますか。 店の内規次第です。変更に条件を設けている店もあれば、置いていない店もあります。業界共通のルールとして一般化できるものではないため、その店に聞く以外の答えはありません。なお、変更した場合に料金がどう扱われるかも、あわせて確認したほうが確実です。

Q6. 料金表に「場内指名料」が書かれていない場合はどうすればいいですか。 注文前に確認してください。風営法第17条は、営業所において客に見やすいように料金を表示することを風俗営業者に義務づけています。説明を求めるのは正当な行為です。説明を避けられる、あるいは説明と違う請求をされたという場合、2025年施行の改正風営法が遵守事項として追加した「料金に関する虚偽説明」に関わる可能性があります。

Q7. 説明されないまま場内指名料を請求されました。取り消せますか。 可能性はありますが、自動ではありません。消費者契約法は、重要事項について事実と異なることを告げられた場合(第4条第1項第1号)や、利益になる旨を告げながら不利益となる事実を故意・重大な過失で告げなかった場合(第4条第2項)に、契約の意思表示を取り消せると定めています。ただし民事のルールなので自分で取消しを主張する必要があり、第7条により追認できる時から1年、契約の時から5年で時効消滅します。まずは消費者ホットライン188に相談してください。

Q8. 場内指名を取ると、時給は上がりますか。 店の査定制度によります。情報サイトには、場内指名の本数が翌月以降の時給に反映される場合があるという説明がありますが、反映されるかどうかも、どの程度かも、店との契約で決まります。公的な統計はありません。入店前に査定の基準を書面で確認しておくのが確実です。

まとめ

  • 場内指名とは、指名を決めずに入店した客が、席についたキャストをその場で指名すること。前提になるのは「フリー」という、まだ指名相手が決まっていない状態
  • この制度の核心は、指名が決まるタイミングが席の途中にあること。サービスが先に動いていて、料金を発生させる合意が後から乗るという順番のねじれがある
  • 指名が確定するまでの流れは、受付→着席と回転→申し出→スタッフへの伝達→伝票への記載。「申し出」が実質的な注文にあたるが、その形式は決まっていない
  • 料金は指名が確定した時点から発生するのが基本形。いちばん金額差が出るのは延長との関係で、加算されるかどうかは店ごとの設計
  • 場内指名料と本指名料のどちらが高いかも一律ではない。「場内だから安い」という前提で会計を予想しない
  • 風営法第17条は、料金を営業所において客に見やすいように表示することを義務づけている。場内指名は判断する瞬間が料金表から離れているため、入店時に見ておくことが固有の自衛策になる
  • 2025年施行の改正風営法は「料金に関する虚偽説明」「客が注文していない飲食等の提供」などを遵守事項として追加した。場内指名はこの二つに直接かかわる
  • 国税庁によれば、口頭で伝える価格は総額表示義務の対象外。席の上で聞いた金額は、税込かどうかを自分で確認する必要がある
  • 消費者契約法は、不実告知(第4条第1項第1号)と不利益事実の不告知(第4条第2項)を取消しの対象としている。ただし自動的に無効になるのではなく、自分で取消しを主張する必要があり、第7条により追認できる時から1年、契約から5年で時効消滅する
  • 働く側にとっては、指名バック・時給査定・ドリンクや延長への波及・配席の優先という複数の経路で収入に反映される。還元の有無も割合も契約次第で、公的な統計はない
  • ホステス等への報酬には源泉徴収のルールがあり、国税庁は「5,000円×計算期間の日数」を控除した残額に10.21%と示している
  • 困ったときは消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110

場内指名は、仕組みだけ取り出せばシンプルです。選ぶタイミングが席の途中にあるだけで、料金の性格そのものは他の指名と変わりません。ただ、そのタイミングのずれが、料金表を見ないまま料金が決まるという状況を生みやすい。だからこの制度については、「席につく前に料金表の指名料欄を見ておく」という一手が、他のどんな知識よりも効きます。


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参考情報

  • 法令リード「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第17条の条文を確認):https://hourei.net/law/323AC0000000122
  • 法令リード「消費者契約法」(第4条第1項第1号・第4条第2項・第7条の条文を確認):https://hourei.net/law/412AC0000000061
  • 富岡行政法務事務所「風営法を読んでみよう!」(第17条の条文確認):https://fuei.jp/fuei_kyoka_introduction/provision
  • 大阪府警察「悪質ホストクラブ対策等に関する風営法改正について」:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/kodomo_jyosei/21147.html
  • 国税庁 タックスアンサー No.2807「ホステス等に支払う報酬・料金等に対する源泉徴収」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2807.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.6902「『総額表示』の義務付け」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
  • 消費者庁「消費者ホットライン」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 体入ドットコム PLUS「キャバクラの『場内指名』ってナニ?」:https://www.tainew.com/plus/nightwork/knowledge/what-jyounaishimei/
  • ハナゾノグループ「キャバクラの場内指名を完全解説」:https://hanazono-g.co.jp/blog/what-is-jounaishimei
  • ポケパラ4U「キャバクラの本指名と場内指名の違いとは?」:https://www.pokepara-tainew.jp/4u/job/cabakura-nominate/

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