本指名と場内指名は、どちらも「特定の相手を選ぶ」という点では同じです。違いは選ぶタイミングだけ——そう説明されることが多いのですが、それは三つある違いのうち、いちばん軽いものです。
この二つがほんとうに分かれるのは、その先にあります。ひとつは会計。同じ時間・同じ注文で帰っても、伝票の合計は同じになりません。もうひとつは給料。こちらの差は、会計の差とはくらべものにならないくらい大きくなることがあります。指名料の差が1,500円でも、働く側の取り分は10倍以上違う——そういう構造になっている店があります。
この記事は、本指名と場内指名を「比較する」ことだけに使います。 それぞれの制度がどう成立するのかという説明は、場内指名とは?とホストの「本指名」とは?にそれぞれ譲ります。ここで扱うのは、二つを横に並べたときに何が同じで何が違うのか、その差はどこから生まれるのか、です。
この記事で分かることは、次のとおりです。
- 二つの違いを「制度・会計・給料」の三層に分けたときの全体像
- 客が払う会計はどこで差がつくのか(表で比較)
- 働く側に入る金額はどこで差がつくのか(表で比較)
- 指名料の差が1,500円なのに会計の差が1,980円になる理由
- 同じ会計なのに、取り分が10倍以上違いうるという計算例
- 法律の扱いに差はあるのか(結論:ない)
- どちらの立場でも、事前に確認しておくべきこと
なお、この記事に出てくる金額はすべて、求人・情報サイトが「目安」として紹介している幅か、仕組みを見るために置いた仮定の数字です。指名料もバックも公的に集計された統計は存在せず、店舗・地域・業態・契約によって異なります。断定できる全国共通の相場はない、という前提で読んでください。
まず全体像——違いは三つの層に分かれている
本指名と場内指名の違いを整理するとき、いきなり金額の話に入ると混乱します。層を分けて考えると見通しがよくなります。
| 層 | 何が違うのか | 差の大きさ |
|---|---|---|
| 第1層:制度 | 指名が決まるタイミングと、関係が継続するかどうか | 分かりやすいが、金額には直接ひびかない |
| 第2層:会計 | 客が払う伝票の合計 | 数千円単位。しかも差は指名料の額そのものではない |
| 第3層:給料 | 働く側に入る金額 | いちばん大きい。倍数で変わることがある |
一般的な解説記事のほとんどは第1層で終わります。ですが、実際に生活や支払いに効いてくるのは第2層と第3層です。特に第3層は、金額の差ではなく収入の経路そのものが開くかどうかという違いなので、他の層とは性質が違います。
順に見ていきます。
第1層:制度の違いは、ひとことで言うと「決まる場所」
- 本指名は、来店の入口で決まります。あらかじめ「◯◯さんで」と伝えて入る形です
- 場内指名は、席の上で決まります。指名なし(フリー)で入り、接客を受けた相手のなかから選ぶ形です
この違いから、いくつかの副次的な差が生まれます。本指名は次回以降も担当として継続する扱いになる店があり、場内指名はその来店かぎりの扱いになることがある、といった説明が情報サイトでは見られます。ただし継続の扱い方は店の内規の問題で、法律や業界の統一ルールではありません。担当が固定される仕組みの詳細はホストの「本指名」とは?、席の上で指名が決まっていく流れは場内指名とは?で扱っています。
ここで押さえておきたいのは、第1層の違いは「入口が違う」というだけだという点です。接客そのものに制度上の差があるわけではありません。差が生まれるのは、この入口の違いが会計と給料の設計に翻訳されたときです。
第2層:会計から見た違い
比較表:伝票の上で何が変わるか
| 会計の論点 | 本指名 | 場内指名 |
|---|---|---|
| 料金が発生する起点 | 入店時(指名を伝えた時点) | 席の途中(指名を申し出た時点) |
| 料金表を見るタイミング | 決めた後に見ることになりやすい | 決める前に見ておける(入店時に一度見ている) |
| 情報サイトが挙げる目安 | 1セットあたり2,000円〜3,000円程度 | 1,000円〜2,000円程度 |
| 金額の大小 | 一律に「本指名のほうが高い」とは言えない | 同額の店・場内のほうが高い店もある |
| 延長したとき | セットごとに加算する設計がある | 同様に加算する設計がある/1回のみの設計もある |
| 複数人を指名したとき | 「ダブル指名」として人数分になる説明がある | 人数分になるのが原則という説明がある |
| サービス料・消費税 | 指名料にも乗る | 指名料にも乗る |
金額の目安として挙げた数字は、チックグループのコラム、ポケパラ4U、メンズ体入PLUSといった求人・情報サイトが紹介しているものです。いずれも「店舗のランクや地域によって異なる」という条件つきで書かれています。
そして重要なのは、この目安を鵜呑みにできないことです。場内指名とは?でも触れているとおり、場内指名料を本指名料と同額にしている店も、場内のほうを高く設定している店もあると説明されています。「場内だから安いはず」という前提で会計を予想すると外れます。
指名料の差額と、会計の差額は一致しない
ここがこの記事でいちばん実用的な指摘かもしれません。指名料の差が1,500円でも、支払う額の差は1,500円になりません。
理由は、指名料がサービス料と消費税の計算対象に入るからです。仮に、サービス料20%・消費税10%の店で、本指名料3,000円・場内指名料1,500円だとします(いずれも仮定の数字です)。
- 指名料そのものの差:3,000円 − 1,500円 = 1,500円
- 実際に支払う額の差:1,500円 × 1.2(サービス料)× 1.1(消費税)= 1,980円
差は1.32倍に膨らみます。指名料に限らず、後ろに掛け算が控えている料金項目はすべてこうなります。この「掛け算の順番」の仕組みそのものはサービス料とは?で詳しく扱っているので、ここでは指名の種類を選ぶ判断も、この掛け算の影響を受けるという点だけ確認しておきます。
サービス料の率も、指名料が計算の分母に入るかどうかも、店によって違います。分母に入らない設計なら差は1,500円のままです。どちらの設計かは料金表と伝票の内訳を見るしかありません。
延長したときに差が開く
会計上、二つの指名でもっとも金額差が動きやすいのが延長です。
情報サイトの説明を集めると、本指名料はセットごとに加算されるという書き方が多く見られます。一方の場内指名料も、延長のたびに加算されるという説明と、来店1回につき1度だけという説明の両方があります。つまり、延長したときの加算ルールは、指名の種類で決まっているのではなく、店ごとの料金設計で決まっているというのが正確です。
メンズ体入PLUSは、スタッフ側の実務として、延長を決めるときには指名料も含めた料金説明が必要であり、指名人数が変わる可能性があるためその都度正確な説明が要る、と書いています。裏を返せば、延長は指名料の条件がもう一度動く瞬間だということです。延長そのものの数え方は延長料金とは?で扱っています。
同じ来店中に場内指名から本指名へ切り替えるとき
比較記事だからこそ書けるのが、この「乗り換え」の場面です。
メンズ体入PLUSは、同じ来店中に場内指名から本指名へ移る方法として、一度場内指名で会計を済ませてから本指名で入り直す形と、延長のタイミングで本指名に切り替える形があると説明しています。同時に、指名料が異なるため伝票管理に注意が必要だとも書いています。
客の側から見ると、この場面は会計がもっとも読みにくくなります。
- 場内指名料と本指名料が両方とも計上されるのか
- 切り替え後のセットから本指名料に置き換わるのか
- 会計を切って入り直す形なら、セット料金も新しく1セット分発生するのか
どれになるかは店の運用次第で、業界共通の答えはありません。切り替えを提案されたら、その場で「会計はどう変わりますか」と聞く——これがこの場面での唯一確実な対処です。聞くこと自体はまったく失礼にあたりません。後述するとおり、料金を注文前に分かる状態にしておくのは、法律が店側に求めている水準そのものだからです。
同伴・ヘルプとの関係
同伴は、指名とは別の会計項目として扱われるのが一般的です。ただし運用上は本指名と結びつけて語られることが多く、夜の知恵袋は同伴のバックを1回2,000円〜、高額だと7,000円以上と紹介しています(これも目安であり、店によって異なります)。同伴の仕組みそのものは同伴とは?で扱っています。
ヘルプとして席についた相手を、後日あらためて指名する——という流れもあります。この場合、その相手は「初めて会う人」ではないのに、会計上は場内指名として扱われることがある。会計上の分類と、実際の関係の深さは一致しないわけです。ヘルプという役割についてはホストクラブの「ヘルプ」とは?を参照してください。
第3層:給料から見た違い
ここからが本題です。会計の差が数千円だとしたら、給料の差は桁が変わることがあります。
比較表:収入の「入口」がいくつ開くか
| 収入の経路 | 本指名 | 場内指名 |
|---|---|---|
| 指名バック | あり(1本1,000円〜2,000円程度と紹介される) | あり(500円〜1,000円程度と紹介される。ただし1,000円〜2,000円とする媒体もある) |
| ドリンクバック | あり | あり(同額程度とする説明が多い) |
| ボトルバック | あり(ボトル料金の30%が相場と紹介される) | 設定がないと説明されることが多い |
| 売上(小計)バック | あり(売上の10%が相場と紹介される) | 設定がないと説明されることが多い |
| その卓の売上が自分の売上として計上されるか | される | されない店がある |
| 時給査定への反映 | 本数が多いほど時給が上がる傾向と説明される | 反映する店もあるが、扱いは軽くなりやすい |
出典は、チックグループのコラム、ポケパラ4U、夜のお店選びドットコムマガジン、夜の知恵袋、キャバキャバの各記事です。同じ項目でも媒体によって示す幅が違うことに注意してください。たとえば場内指名バックを「500円〜1,000円」とする媒体と「1,000円〜2,000円」とする媒体があります。これは相場に幅があるというより、そもそも全国共通の相場が存在しないことの表れだと読むべきです。バックという仕組みそのものの分類はキャバクラのバックとは?で扱っています。
決定的な差は金額ではなく「卓の売上が誰の数字になるか」
表を眺めて気づくのは、上の2行(指名バック・ドリンクバック)は金額の差でしかないのに、下の4行はあるかないかの差だという点です。
メンズ体入PLUSは、本指名でないと売上が計上されないキャストにとって本指名は重要な機会になる、と書いています。ここに構造が出ています。本指名は「その卓の会計が自分の売上になる」というスイッチを入れる指名で、場内指名はそのスイッチが入らない場合がある。
このスイッチが入ると、何が起きるか。
- ボトルやシャンパンが入れば、その金額に応じたバックが発生する
- 卓の小計に対する売上バックが発生する
- その売上が月間の成績として積み上がり、時給査定や順位に反映される
- 順位が上がれば、配席や条件の面でも扱いが変わる
つまり本指名は、その日の数千円ではなく、翌月以降の時給まで動かす性質を持っています。場内指名にもポイントとして翌月の時給に反映する店があると夜のお店選びドットコムマガジンは書いていますが、本指名ほど重く扱われないのが一般的な説明です。時給がどう決まるかの三層構造はキャバ嬢の時給はどうやって決まる?で整理しています。
数字で追ってみる——会計は5%差、取り分は15倍差
言葉だけでは実感が湧かないので、計算例を置きます。以下の料金・バック率はすべて仮定です。実在の店の数字ではなく、店ごとにまったく異なります。 仕組みの形を見るためだけのものだと理解してください。
共通の設定(仮定) セット料金8,000円/60分、本指名料3,000円、場内指名料1,500円、キャストドリンク1,500円を1杯、ボトル20,000円を1本、サービス料20%、消費税10%。滞在時間・注文内容はどちらのケースも同じとします。
会計(客が払う額)
| ケースA:本指名 | ケースB:場内指名 | |
|---|---|---|
| セット料金 | 8,000円 | 8,000円 |
| 指名料 | 3,000円 | 1,500円 |
| キャストドリンク | 1,500円 | 1,500円 |
| ボトル | 20,000円 | 20,000円 |
| 小計 | 32,500円 | 31,000円 |
| サービス料20% | 6,500円 | 6,200円 |
| 消費税10% | 3,900円 | 3,720円 |
| 合計 | 42,900円 | 40,920円 |
差は1,980円。合計に対しておよそ4.8%です。客の側から見れば、たいした差ではありません。
バック(働く側に入る額)
情報サイトが挙げている相場のなかから、指名バック(本指名1,000円/場内500円)、ドリンクバック200円、ボトルバック30%、売上バック小計の10%という数字を仮に当てはめます。場内指名にはボトルバック・売上バックの設定がない、という説明にしたがいます。
| ケースA:本指名 | ケースB:場内指名 | |
|---|---|---|
| 指名バック | 1,000円 | 500円 |
| ドリンクバック | 200円 | 200円 |
| ボトルバック(20,000円の30%) | 6,000円 | 0円 |
| 売上バック(小計32,500円の10%) | 3,250円 | 0円 |
| 合計 | 10,450円 | 700円 |
約15倍です。 客が払う額の差は4.8%なのに、働く側に入る額は一桁違う。これが、本指名と場内指名のあいだにある差の正体です。
もう一度書きますが、この数字は仮定です。ボトルバックの率も、売上バックの有無も、場内指名に売上バックを設定している店があるかどうかも、すべて契約次第です。ここで見てほしいのは金額ではなく形——差を生んでいるのは指名料の1,500円ではなく、ボトルバックと売上バックという二つの経路が開くかどうかだ、という点です。
この構造から、実務的な結論がいくつか出てきます。
- 場内指名の本数を増やしても、収入はあまり動かないことがある。 動くのは本指名に変わったときです
- ボトルやシャンパンが動く卓では、指名の種類による差が跳ね上がる。 ボトルが入らない卓なら差は小さい
- 逆に、客の側から見れば「どちらを選んでも会計はさほど変わらない」。会計を理由に場内指名を選ぶ意味は、思ったより小さい
税金の扱いには差がない
差ばかり書きましたが、同じである点も確認しておく価値があります。
国税庁は、バーやキャバレー等の経営者がホステス等に支払う報酬・料金について、支払時に所得税および復興特別所得税の源泉徴収が必要だとしています。税額は、報酬・料金の額から5,000円にその報酬・料金の計算期間の日数を乗じた金額を差し引いた残額に、10.21%の税率を乗じて計算します。国税庁は、報奨金や衣装代、深夜帰宅のためのタクシー代なども対象に含まれること、源泉徴収した税金は原則として支払った月の翌月10日までに納付する必要があることも示しています。
この扱いは、そのお金が本指名バックか場内指名バックかで変わりません。 名目ではなく、支払われた報酬の総額に対してかかります。なお、この扱いが適用されるかは雇用契約か業務委託かなど個別の事情によって変わるため、実際の判断は税務署や税理士に確認してください。
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法律の扱いに差はあるか——結論:ない
比較記事なので、この点も正面から確認しておきます。風営法も消費者契約法も、指名の種類を区別していません。
風営法第17条は両方に等しくかかる
接待を伴う飲食店は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)上の風俗営業にあたります。同法第17条は次のとおりです。
風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。
条文に「本指名料は」「場内指名料は」といった区別はありません。表示義務はどちらにも同じようにかかります。
ただし、義務が同じでも、客の側の実感は同じになりません。 本指名は入口で決めるので、料金表を見るのは決めた後になりがちです。場内指名は席の途中で決めるので、料金表から物理的に離れた場所で判断することになります。どちらも「料金表を見ないまま決めやすい」という点では共通していて、外れ方が違うだけなのです。だから自衛策も共通します——入店の段階で、指名料の欄を両方とも見ておく。これに尽きます。
2025年の改正風営法も、指名の種類で分けていない
警察庁は、悪質な営業行為の規制等を内容とする風営法改正について、令和7年11月28日までにその全ての規定が施行されたとしています。
改正で接待飲食営業を営む者のしてはならない行為として追加されたのは、大阪府警察の解説によれば「料金に関する虚偽説明」「客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求」「客が注文していない飲食等の提供」の三つです。あわせて、客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫などが罰則付きの禁止行為とされ、罰則も引き上げられました(大阪府警察の解説によれば、無許可営業等の拘禁刑は2年以下から5年以下、罰金は200万円以下から1,000万円以下、法人に対する罰金は200万円以下から3億円以下)。
このうち「料金に関する虚偽説明」は、本指名でも場内指名でも同じように問題になります。 ただし、事実と違う説明が入り込みやすい場面には差があります。
| 場面 | 起きやすい説明のずれ |
|---|---|
| 本指名(入口) | 延長ごとに加算されるのに「1回だけ」と説明される/サービス料が別に乗るのに総額のように説明される |
| 場内指名(席の上) | 料金が発生するのに「お金はかかりません」と説明される/指名になると伝えないまま伝票に載る |
| 切り替え(延長時) | 両方計上されるのに、片方だけと説明される |
三つ目が、比較の視点でしか見えてこない盲点です。 切り替えの場面は、本指名の記事にも場内指名の記事にも登場しにくい。ですが会計がいちばん読みにくくなるのはここです。
消費者契約法も区別していない
消費者契約法は、重要事項について事実と異なることを告げられて誤認した場合や、利益になる旨を告げながら不利益となる事実を故意・重大な過失で告げなかった場合に、契約の意思表示を取り消せると定めています。この枠組みも指名の種類で変わりません。
ただし、取消しは自動ではなく自分で主張する必要があり、期間の制限もあります。条文と要件の詳細は場内指名とは?で扱っているので、ここでは繰り返しません。心当たりがあるなら早く動くほど選択肢が多い、という点だけ覚えておいてください。
総額表示の穴も共通
国税庁は、事業者が消費者にあらかじめ価格を表示する場合には税込価格の表示が義務づけられるとしたうえで、価格を表示していない場合や口頭で伝える価格は総額表示義務の対象外であることを明記しています。
席の上で「場内指名は◯円です」と口頭で聞いた金額も、入口で「本指名料は◯円です」と口頭で聞いた金額も、どちらも総額表示義務の射程外です。税込かどうかは自分で確認するしかありません。これも二つの指名に差がない点です。
立場別・確認すべきこと
客の側
指名の種類を比較して選ぶなら、聞くべきことは金額そのものより条件です。
- 本指名料と場内指名料は、それぞれいくらか(税込かどうかも)
- 延長したとき、それぞれ加算されるか。加算されるなら何回まで
- 同じ来店中に場内指名から本指名へ切り替えると、会計はどうなるか(両方乗るのか、置き換わるのか、セットが切り直しになるのか)
- 指名料はサービス料の計算対象に入るか
- 複数人を指名したときの扱い
「安いほうを選ぶ」という考え方は、この二つに関してはあまり意味がありません。 計算例で見たとおり、会計の差は全体の5%程度に収まることがあるからです。判断の軸は金額よりも、その日の使い方——同じ相手と継続的に会いたいのか、その場かぎりでいいのか——のほうが実態に合っています。
働く側
比較の視点から見ると、確認すべきなのは指名バックの額そのものではありません。
- 場内指名の卓で、ボトル・ドリンクのバックはつくのか(つかない設計なら、卓の単価が上がっても収入は動かない)
- 場内指名は自分の売上として計上されるのか(されないなら、月間成績には積み上がらない)
- 時給査定で、本指名と場内指名はどう重みづけされるのか
- 同じ来店中に本指名へ切り替わった場合、その卓の売上は誰の数字になるのか
- バックの計算方法と反映時期は、契約の段階で書面に残っているか
とくに二つ目と四つ目は、金額表に書かれていないことが多い項目です。バックの率だけを比べて条件を判断すると、経路の有無という大きいほうの差を見落とします。
数字を能力の評価と混同しない
最後に、これは比較記事だからこそ書いておきたいことです。
場内指名が本指名に「上がる」という語られ方をすることがありますが、指名の種類は接客の質を測る物差しではありません。 本指名になるかどうかには、客がまた来店できる状況かどうか、店の立地、席の配分、その日の客層といった、本人がコントロールできない条件が大量に混ざります。同じ接客をしても、繁華街の大型店と郊外の小規模店では結果が変わります。
指名の内訳は、店の運営条件込みの数字です。本数の多寡を、そのまま人の評価に読み替える必要はありません。
よくある質問
Q1. 本指名と場内指名、料金はどちらが高いのですか。 情報サイトの多くは本指名のほうが高いと紹介しており、本指名2,000円〜3,000円程度、場内指名1,000円〜2,000円程度という目安が挙げられています。ただしこれは目安であって、両方を同額にしている店も、場内指名料のほうを高く設定している店もあると説明されています。公的な統計はありません。その店の料金表が答えです。
Q2. 同じ時間・同じ注文なら、会計はどれくらい変わりますか。 指名料の差そのものに、サービス料と消費税が上乗せされた分だけ変わります。サービス料20%・消費税10%で指名料の差が1,500円なら、支払う額の差は1,980円です。ボトルなどが入った会計全体で見れば、差は数%にとどまることもあります。ただしサービス料の率も、指名料が計算対象に入るかどうかも店によって違います。
Q3. 働く側にとっては、どれくらい違うのですか。 経路の数が違うため、金額の差より大きくなりえます。情報サイトの説明では、本指名は指名バックに加えてドリンク・ボトル・売上のバックが発生し、場内指名は指名バックとドリンクバックにとどまる、とされることが多いです。この設計の店では、ボトルが入る卓かどうかで差が大きく開きます。ただしバックの有無も率も契約次第で、公的な統計はありません。
Q4. 場内指名から本指名に切り替えると、料金は二重にかかりますか。 店の運用によります。一度会計を切って入り直す形と、延長のタイミングで切り替える形があると説明されています。どちらになるか、指名料が両方計上されるのか置き換わるのか、セット料金が新しく発生するのかは店ごとに違います。切り替えを決める前に会計への影響を聞いてください。
Q5. 場内指名を何度も繰り返せば、本指名と同じくらい稼げますか。 その店が場内指名に売上バックやボトルバックを設定しているかによります。設定がない店では、卓の単価が上がっても場内指名側の収入は動きません。回数を増やすより、経路が開く条件(自分の売上として計上されるか)を確認するほうが実際的です。
Q6. 法律上、二つの指名で扱いに差はありますか。 ありません。風営法第17条の料金表示義務も、2025年施行の改正風営法が追加した遵守事項も、消費者契約法の取消しの枠組みも、指名の種類を区別していません。差があるのは法律の扱いではなく、説明のずれが入り込みやすい場面のほうです。
Q7. 口頭で聞いた指名料は税込ですか。 確認しないと分かりません。国税庁は、価格を表示していない場合や口頭で伝える価格は総額表示義務の対象外であることを明記しています。これは本指名でも場内指名でも同じです。金額を口頭で聞いたら、税込かどうかまで聞くのが確実です。
Q8. 会計の説明が事実と違っていた場合、どこに相談すればいいですか。 消費者庁が案内する消費者ホットライン188が入口になります。原則として施設点検日や年末年始を除いて毎日利用でき、市区町村等の窓口が開いていない場合は国民生活センターが補完します。相談は無料で通話料のみ利用者負担となり、一般回線8.5円(税込9.35円)/180秒、携帯電話10円(税込11円)/20秒、公衆電話10円/40秒が目安として案内されています。緊急でない警察への相談は#9110、身の危険を感じる状況なら110番です。
まとめ
- 本指名と場内指名の違いは、制度・会計・給料の三層に分かれる。よく語られるのは第1層だが、実際に効くのは第2層と第3層
- 第1層(制度)の違いは「決まる場所」だけ。本指名は入口で、場内指名は席の上で決まる。制度の詳細は場内指名とは?とホストの「本指名」とは?へ
- 第2層(会計)では、情報サイトの目安として本指名2,000円〜3,000円、場内指名1,000円〜2,000円が挙げられるが、同額の店も、場内のほうが高い店もある。「場内だから安い」という前提は使えない
- 指名料の差額と、支払う額の差額は一致しない。サービス料と消費税が指名料にも乗るため、1,500円の差が1,980円になる(サービス料20%・消費税10%の場合)
- 同じ来店中の切り替えがいちばん会計を読みにくくする。会計を切り直すのか、延長時に置き換わるのかは店次第。決める前に聞く
- 第3層(給料)の差は、金額ではなく経路の有無。本指名はボトルバック・売上バックという経路を開き、卓の売上が自分の数字として計上される。場内指名は設定がないと説明されることが多い
- 仮定を置いた計算例では、客の会計差は約4.8%なのに、働く側の取り分は約15倍になった。差を生んでいるのは指名料ではなく経路のほう
- 税金の扱いには差がない。 国税庁は、ホステス等への報酬について「5,000円×計算期間の日数」を控除した残額に10.21%の源泉徴収と示している
- 法律の扱いにも差がない。 風営法第17条も、2025年施行の改正風営法の遵守事項も、消費者契約法も、指名の種類を区別していない。警察庁は改正の全規定が令和7年11月28日までに施行されたとしている
- 国税庁によれば、口頭で伝える価格は総額表示義務の対象外。これも両方に共通する
- 確認の要点は、客の側は「延長・切り替え・サービス料の分母」、働く側は「ボトル・売上のバックがつくか」「自分の売上として計上されるか」
- 相談先は消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110
二つの指名を並べて見ると、名前が似ているわりに、性質のまったく違う二つの制度であることが分かります。客の側にとっては「ほとんど同じ料金でどちらも選べる選択肢」であり、働く側にとっては「収入の構造そのものが変わる分岐点」です。同じ一つの言葉が、テーブルの両側でこれだけ違う意味を持っている——この非対称こそが、本指名と場内指名の違いのいちばん正確な要約だと思います。
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参考情報
- 法令リード「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第17条の条文を確認):https://hourei.net/law/323AC0000000122
- 警察庁「悪質ホストクラブ対策について」(改正法の全規定が令和7年11月28日までに施行された旨を確認):https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/hostclubto/hostclubto.html
- 大阪府警察「悪質ホストクラブ対策等に関する風営法改正について」(追加された遵守事項・罰則の引き上げを確認):https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/kodomo_jyosei/21147.html
- 国税庁 タックスアンサー No.2807「ホステス等に支払う報酬・料金等に対する源泉徴収」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2807.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6902「『総額表示』の義務付け」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
- 消費者庁「消費者ホットライン」(相談無料・通話料の目安を確認):https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
- チックグループ コラム「キャバクラの本指名と場内指名の違いとは?」:https://www.chick.co.jp/recruit/column/honshimei-vs-jonaishimei/
- ポケパラ4U「キャバクラの本指名と場内指名の違いとは?バック率が大きく変わる」:https://www.pokepara-tainew.jp/4u/job/cabakura-nominate/
- メンズ体入PLUS「キャバクラの本指名と場内指名の違いは?黒服が注意すべき点も解説!」:https://tainew-otoko.com/plus/night-gyoukai/honshimei-jyonaishimei/
- キャバキャバ「キャバクラの基本ルール『場内指名』と『本指名』の違いについて」:https://www.caba2.jp/blog/7411/
- 夜のお店選びドットコムマガジン「キャバクラで場内指名を増やす5つのポイント!」:https://luline.jp/media/nightwork/cabaret-shimei/
- 夜の知恵袋「キャバクラの本指名、場内指名、同伴、ヘルプの意味は?」:https://cabazon.jp/faq/caba/honshimei-jounai-douhan-help/

