キャバ嬢の出勤前は何をしている?ヘアセットの法律と同伴の時間割

最終更新:2026-08-18

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結論から書きます。キャバクラで働く人の出勤前は、ヘアセット・メイク・ドレスの用意・客への連絡・同伴の待ち合わせで埋まります。そして、この時間割の形をいちばん強く決めているのは本人の性格でも店の方針でもなく、「ヘアセットは原則として美容所(美容室)でしか受けられない」という美容師法のルールです。

意外に思われるかもしれませんが、ここが出発点になります。厚生労働省の解説によれば、美容師法上の「美容」には結髪が含まれ、美容師は原則として美容所で美容を行わなければならないとされています。出張してよい場合は限定的に列挙されていて、そこに「これから夜の仕事に出る人の準備」は入っていません。だから「美容室へ行く」という移動が、出勤前の時間割に必ず一区画分だけ場所を取ります。 セットの所要時間そのものより、予約枠と往復の移動が時間を食う理由はここにあります。

そしてもうひとつ、同伴が入った日は、出勤前が「準備の時間」から「仕事の時間」に切り替わります。 同伴は定義上、開店前に店の外で合流して一緒に入店する形なので、出勤前の時間帯にしか成立しません。準備の終わりに、もう一つ別の予定が接続される日がある——この段差が、出勤前を語るときにいちばん見落とされます。

この記事は「出勤前の数時間そのもの」に絞ります。準備の時間が労働時間に当たるかという一般論はホストの出勤前は何をしている?の記事で条文と判例に沿って整理してあるので、ここでは結論と、キャバクラ特有の当てはめだけを扱います。衣装代・美容代の費目分けと経費の扱いは夜職の衣装・美容代の記事、同伴という慣行そのものの仕組みは同伴とはの記事にあります。

この記事で分かること

  • 出勤前の時間割が「開店時刻からの逆算」で組み上がること、その引き算の順番
  • ヘアセットが美容師法上どう位置づけられ、どこで受けることになっているか
  • 出張美容が認められる場合の限定列挙と、そこに夜職の準備が入らないこと
  • 「ヘアセット代の相場」を書ける公的資料が存在しない理由と、自分の年額を出す式
  • 単価より「頻度」と「移動」が総額を決めること
  • まつ毛エクステ・ヘアカラー・カラーコンタクトに乗っている健康と法律のリスク
  • 同伴が出勤前を仕事の時間に変える構造と、その日だけ実働が伸びる仕組み
  • 報酬の受け取り方によって、出勤前の時間の意味が変わること

なお、勤務の形・店の制度・地域の慣行は店舗ごとに大きく異なります。この記事は一般的な情報であり、個別の事情によって結論は変わります。金額の断定は避け、確認できた公的資料のある部分だけ数字を書いています。

出勤前の時間割は、開店時刻からの引き算でできている

先に決まっているのは「入店していなければならない時刻」

出勤前の過ごし方を「何時に起きるか」から考えると、いつまでも形が定まりません。実際に組み上がる順番は逆です。先に決まっているのは開店時刻、正確にはその店で「この時刻には店内にいて接客できる状態でなければならない」という時刻で、そこから引き算していくと出勤前が埋まります。

引き算する項目は、だいたい次の五つに分かれます。

  1. 移動(自宅→美容室→店。あるいは自宅→待ち合わせ場所→店)
  2. ヘアセット(美容所での施術。予約枠の単位で時間が押さえられる)
  3. メイク(自宅・美容室の後・店の控室など、場所が人によって違う)
  4. 着替えと持ち物(ドレス、靴、名刺、化粧直し用品)
  5. 連絡(来店の約束、当日の確認、返信)

そして日によって、ここに 6. 同伴の待ち合わせと食事 が挿さります。

引き算は「後ろから固定されている項目」の順に効く

五つを同列に並べても時間割は決まりません。効いてくる順番があります。

いちばん動かせないのはヘアセットの予約枠です。 美容室の予約は他人と共有する資源なので、自分の都合で15分ずらすことができません。次に動かせないのが移動で、これは物理的に決まります。逆にいちばん融通が利くのがメイクと連絡で、だから多くの人はこの二つを移動中や隙間に押し込むことになります。

つまり出勤前の時間割は、「予約枠」という他人と共有する固定点を先に置き、その前後に自分の作業を寄せていく形になります。 出勤前が長く感じられる主な理由は作業量そのものではなく、この固定点が一日の真ん中に打ち込まれることで、前後の時間が細かく分断されるからです。

自分の逆算表を一度だけ作っておく

同じ引き算を毎日やり直すと、それ自体が消耗になります。一度だけ紙に書いておくと、以後は日付を入れ替えるだけで済みます。書き方は次の通りです。

  • ①「店内にいるべき時刻」を書く
  • ②そこから「店までの移動時間」を引く → 美容室を出るべき時刻
  • ③そこから「セットの所要時間+余裕15分」を引く → 予約すべき時刻
  • ④そこから「自宅→美容室の移動時間」を引く → 家を出るべき時刻
  • ⑤そこから「メイク・着替え・持ち物確認の時間」を引く → 起きているべき時刻

同伴が入る日は、②と③のあいだに「待ち合わせ場所への移動+食事の時間」がまるごと挿入されます。 ここが後述する「出勤前が仕事に変わる」段差です。多くの場合、同伴の日は起床時刻が1〜2時間前倒しになりますが、時間の長さは食事の場所と店までの距離で決まるので、一律には言えません。

ヘアセットは「どこで受けるか」が法律で決まっている

ここからがこの記事の中心です。出勤前の時間割を形づくっている、いちばん硬い制約を見ます。

美容師法の「美容」に、結髪は含まれている

厚生労働省の美容師法の解説によれば、美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定義されています。「結髪」という語がここにある以上、髪をまとめて形を作るヘアセットは、法律上の「美容」に当たります。 染毛(ヘアカラー)やまつ毛エクステンションも美容に含まれると解説されています。

そして厚生労働大臣の免許を得た美容師でなければ、美容を業として行うことはできません。「業として」というのは、反復継続して行うという意味です。自分で自分の髪をセットすることや、友人に無償で一度手伝うことは、ここでいう業には当たりません。 問題になるのは、対価を取って反復継続して他人に施術する側です。

原則は「美容所で行わなければならない」

同じ解説には、業務を行う場所についての制限も書かれています。美容師は美容所で美容を行わなくてはならない、というのが原則です。 美容所は、開設・廃止のときに都道府県知事への届出が必要で、さらに使用前の検査確認を受けなければ使用できません。美容師が複数いる場合には管理美容師の配置も求められます。都道府県知事は立ち入り検査を行い、衛生基準に違反していれば閉鎖命令を出すことができます。

つまり「ヘアセットの場所」は、店の都合でも客の都合でもなく、届出と検査を通った施設かどうかで決まっています。 これが、出勤前に「美容室へ行く」という移動が発生する法的な理由です。

出張美容が認められる場合は、限定的に列挙されている

では、家や店に来てもらうことはできないのか。例外は用意されていますが、限定的です。

東京都保健医療局の説明によれば、出張理容・出張美容の根拠は美容師法施行令第4条と都の規則にあり、認められるのは次の場合とされています。

  1. 疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して行う場合
  2. 婚礼その他の儀式に参列する者に対して、その儀式の直前に行う場合
  3. 山間部等における理容所・美容所のない地域に居住する者に対して、その居住地で行う場合
  4. 社会福祉施設等において、その入所者に対して行う場合
  5. 演劇に出演する者等に対して、出演等の直前に行う場合

厚生労働省の解説でも、疾病等で来所できない者、婚礼の直前の儀式参列者、そして都道府県の条例で定める場合、という枠組みが示されています。この列挙のどこにも、「これから夜の仕事に出る人が出勤前に受ける準備」という項目はありません。 例外は、来所が困難な人・儀式・へき地・施設入所者・出演直前という、いずれも「美容所へ行けない、または行っている時間がない特別な事情」を想定して組まれています。

そして出張で施術する場合も、美容所での施術と同様の衛生上の措置を講じることが求められます。例外に当たるかどうかの判断や、条例の細かい定めは自治体によって違います。 実際の可否は、施術する側が営業所の所在地を管轄する保健所に確認すべき事柄です。

この一点が、出勤前の形をほぼ決めている

以上をつなぐと、出勤前の時間割が長くなる構造がはっきりします。

ヘアセットは「美容所という特定の場所」でしか原則受けられない → だから移動が要る → 移動は予約枠に縛られる → 予約枠は他人と共有するので動かせない → 結果として、出勤前に固定点が一つ打ち込まれる。

「出勤前は何をしているの」という問いに対して、実際にいちばん長く答えに現れるのが「移動と待ち時間」なのは、本人の要領の問題ではありません。制度の側から押し出されている時間です。

店内でセットしてもらえる場合に確認しておくこと

店の控室に美容師が入っていて、そこでセットを受けられる形をとっている店もあります。この形自体を一律に否定する話ではありませんが、その場所が美容所として届出と検査確認を受けているかどうかで、法律上の位置づけはまったく違います。

働く側として確認しておくとよいのは、次の二点です。

  • その施術場所が保健所に届け出た美容所か(届出済みの美容所であれば、施設として確認を受けている)
  • 施術する人が美容師免許を持っているか

料金が給料から引かれる形になっている場合は、その根拠がどこにあるかも別途確認が要ります。天引きのルールについては夜職の衣装・美容代の記事で扱っています。

「ヘアセット代の相場」を書ける公的資料は存在しない

なぜ相場が出てこないのか

出勤前の費用でいちばん検索されるのがヘアセット代ですが、「夜職のヘアセット代の平均額」を示す公的な統計は見つかりませんでした。 理由は統計の作りにあります。

公的統計は、業種や品目という単位で数字を集めます。美容業という業種の統計はありますが、その中の「セット」というメニューを、しかも「夜の仕事に出る人が受けた分」だけ切り出して集計する仕組みはありません。利用者の職業別に美容サービスの単価を集計した公的統計は、確認できませんでした。

さらに、料金そのものが地域・店・メニュー・時間帯で大きく違います。まとめ髪の複雑さ、エクステの有無、朝の早い時間帯かどうか、指名の有無。同じ「セット」という一語でも中身が揃っていないので、平均を出しても意味を持ちにくい費目です。 相場として一つの数字が出回っている場合、それは業界メディアが独自に聞き取ったものか、特定の地域の価格表を一般化したものと考えるのが妥当です。

だから、自分の年額を自分で出す

平均が使えない以上、自分の数字を出すしかありません。式は単純です。

年額=(1回あたりの施術料+往復の交通費)×(週あたりの出勤日数×そのうちセットに行く割合)×52週

ここで大事なのは、単価より「回数」のほうが総額への影響が大きいという点です。 1回500円の差は、週4回・年間200回なら10万円の差になります。逆に、月に何度かをセルフに切り替えるだけで、単価交渉より大きな効果が出ることがあります。

そして式に交通費を必ず入れてください。 前節で見たとおり、ヘアセットは「行く」ことが前提の費目です。移動費は施術料に付随して必ず発生するのに、家計簿では別の欄に落ちて見えなくなりがちです。この二つを一つの費目としてまとめて扱うと、初めて実額が見えます。

「時間」も同じ式で数えられる

費用と同じ形で、時間も年額にできます。

年間の拘束時間=(施術時間+待ち時間+往復の移動時間)×年間の回数

この数字を出すと、判断材料が変わります。たとえば往復に片道25分かかっている人が、店の近くではなく自宅の近くの美容室に変えるだけで年間で相当な時間が浮く、という比較ができるようになります。「セット代が高い」と感じているとき、実は高いのは料金ではなく時間だった、というのはよくある話です。

セルフに切り替えるときに考えること

セルフセットは費用と移動を同時に削れる選択肢ですが、削れないものもあります。自宅でセットする場合、その時間は自宅で発生します。移動が消える代わりに、起床から出発までの時間が長くなります。 手が慣れるまでは仕上がりが安定しないため、実質的な所要時間が読めない期間も出ます。

判断の材料は、①1回あたりの金額差、②往復の移動時間、③自分でやったときの所要時間と安定性、の三つです。全部を切り替えるより、「同伴のない日はセルフ、同伴のある日は美容室」のように日で分ける形のほうが、破綻しにくい設計です。

出勤前の美容には、健康と法律のリスクが乗っている

出勤前の準備は、頻度が高く、時間に追われ、目や皮膚に直接触れるものが多い——という条件が重なります。公的機関が注意喚起を出している項目を、確認できたものだけ挙げます。

まつ毛エクステンションは「美容行為」

東京都保健医療局の説明によれば、まつ毛エクステンションは美容行為であり、美容師法により、保健所に届出をして美容所を開設し、美容師が施術を行う必要があります。 豊島区の事業者向けの案内も同じく「まつ毛エクステンションは美容行為です」と明示し、専用の構造設備基準を満たして保健所へ開設届を提出し、確認を受ける必要があるとしています。

厚生労働省はこの分野で複数の通知を出しており、東京都のページには平成20年3月7日「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」、平成22年2月18日の危害防止の周知および指導・監督の徹底に関する通知、平成24年11月28日「安全性の確保について」が掲げられています。通知が繰り返し出されていること自体が、この分野で健康被害が続いていることの記録です。

東京都の案内は、接着剤等が目に入ったことによる健康被害が生じていると注記したうえで、施術後に目などに異常が生じた場合には直ちに医師の診断を受けるよう求めています。契約に関するトラブルは消費生活相談窓口に相談するよう案内されています。

利用する側として確認できるのは、店が美容所として届出をしているか、施術者が美容師免許を持っているかの二点です。 安さだけで選んだ結果、無資格・無届出の施術を受けることになる例が問題になっています。

ヘアカラーの皮膚障害

消費者庁の消費者安全調査委員会は、平成27年10月23日に「毛染めによる皮膚障害」についての事故等原因調査報告書を公表しています。消費者庁のページには、報告書とあわせて「毛染めによるアレルギーに御注意!」という啓発資料や、厚生労働省による製造販売業者への注意喚起に関する資料が置かれています。

行政が独立した調査委員会を立てて報告書を出す対象になっている、というのが、この項目の重みです。 出勤前という時間帯に限った話ではありませんが、髪色を頻繁に変える働き方では接触の回数が増えます。

カラーコンタクトレンズは高度管理医療機器

消費者庁は2021年9月10日に「コンタクトレンズによる眼障害について」という注意喚起を公表しています。そこでは、視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズも含めて、コンタクトレンズは医療機器(高度管理医療機器)として扱われることが示されています。

消費者へのアドバイスは三点です。

  • 購入前に眼科医を受診し、自分に合ったレンズの処方を受ける
  • 使い方を守り、適切なレンズケアを行う
  • 目の充血・異物感・痛み・まぶしさ・かゆみといった異常を感じたら、すぐにレンズを外し、直ちに眼科医に相談する

海外からの個人輸入品については、品質・有効性・安全性の確認がされていない危険性も指摘されています。

「出勤前」という時間帯が、リスクを上げる方向に働く

以上の三つは、それぞれ独立した注意喚起です。ただし、出勤前という文脈がリスクを一段上げる方向に働く点は指摘しておきます。

理由は単純で、①開店時刻という締切があるので急ぎがちになる、②異常を感じても「今日は出勤だから」と受診を後回しにしやすい、③頻度が高いので接触回数が多い、という三つです。注意喚起がいずれも「異常を感じたら直ちに」と書いているのは、時間を空けることが悪化につながるからです。 締切のある時間帯ほど、この「直ちに」が守られにくくなります。

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メイクとドレス選びは「決めておく」ほど短くなる

時間を食っているのは、作業ではなく判断

メイクとドレス選びについては、公的資料で語れることがほとんどありません。ここは実務的な整理だけ書きます。

この二つで時間を食っているのは、多くの場合、手を動かす作業そのものではなく「どれにするか決める」という判断です。 決める材料は、その日の同伴の有無、イベントの有無、来る予定の客、季節、体調。材料が多いほど決定は遅れます。

したがって短縮の方法は決まっています。判断の回数を減らすことです。

  • 数パターンをあらかじめ組にしておき、当日は組ごと選ぶ
  • 「同伴の日はこれ」「イベントの日はこれ」と、条件と組を対応づけておく
  • 迷ったときの既定値(デフォルト)を一つ決めておき、迷った時点でそれにする

これは服装の話に限らず、出勤前の時間全体に効きます。 逆算表を作るのと同じ発想で、毎日ゼロから決めている部分を固定に置き換えていくと、同じ作業量でも所要時間が縮みます。

ドレスは「往復の日数」で回っている

ドレスの管理で見落とされやすいのは、購入費よりクリーニングの往復日数です。手元にある枚数ではなく、「今日着られる状態の枚数」が実際の在庫です。 出しっぱなしにしていると、着られる枚数が少ない日ができ、その日は選択肢がないまま出ることになります。

回し方の目安は、①今日着る分、②次に着る分、③クリーニング中の分、という三つの状態を常に埋めておくことです。枚数の最低ラインは、クリーニングの所要日数と出勤頻度から逆算できます。

誰が負担するのかは、契約で決まる

ドレス・靴・美容費を店と自分のどちらが負担するのかは、店の制度によって違います。貸与される場合、店が立て替えて後で給料から引かれる場合、完全に自己負担の場合があります。給料からの控除には法律上のルールがあり、求人票に書かれていた条件と実際が違う場合の対応もあります。 この部分は夜職の衣装・美容代の記事で費目の分け方と一緒に整理してあるので、そちらを参照してください。

連絡(営業)の時間が、出勤前に集中する理由

相手が返信できる時間帯だから

出勤前にメッセージのやり取りが集中するのは、偶然ではありません。店が営業している深夜帯は、客の多くが返信できません。翌日の昼は自分が寝ています。両方が起きていて、かつ両方が手を空けやすい時間帯が、夕方から出勤前にかけての数時間なのです。

来店の約束は、店が営業していない時間にしか取れません。これは同伴の記事でも触れた、営業時間の制約から出てくる構造です。

「作業」として切り出すと、時間が測れる

連絡は、隙間に散らばると総量が見えなくなります。移動中に少し、セット中に少し、メイクしながら少し——という形で分散すると、実際には1時間以上かけているのに「特に何もしていない」という感覚になります。

時間を把握したいなら、逆算表の中に「連絡:◯分」という枠を一つ作って、そこにまとめるのが確実です。まとめると、長すぎるのか短すぎるのかが初めて判断できます。

送る内容には、2025年施行の改正法が関わる

連絡の中身については、2025年に施行された改正風営法が関わってきます。料金の説明、恋愛感情等に乗じて困惑させる行為、注文前の提供による困惑といった点が遵守事項として明文化されました。キャバクラも風営法第2条第1項第1号の営業に含まれるので、この改正はホストクラブだけの話ではありません。 詳しくは色恋営業の記事と本営とはの記事で条文に沿って扱っています。

同伴は、出勤前を「仕事の時間」に変える

ここが、キャバクラの出勤前を語るときに欠かせない部分です。

同伴は、開店前にしか成立しない

同伴は、出勤前に店の外で合流して、一緒に入店する形を指す業界の言葉です。「一緒に入店する」ことが要件なので、定義上、開店前の時間帯にしか成立しません。 店が営業している時間に会っても、それは同伴になりません。

この一点が効いてきます。店の外で行われる約束が、店の中の売上として計上される。だから店の外の時間が、店との関係の中で意味を持ってしまう。 慣行の仕組みそのものは同伴の記事で店外・店内・お金の三方向から整理してあります。ここでは「出勤前の時間割がどう変わるか」に絞ります。

同伴の日は、準備の上にもう一段が乗る

同伴が入った日の出勤前は、入っていない日の出勤前と質が変わります。並べると分かります。

同伴のない日 起床 → メイク → 移動 → ヘアセット → 移動 → 入店

同伴のある日 起床 → メイク → 移動 → ヘアセット → 移動(待ち合わせ場所へ) → 合流・食事 → 移動(店へ) → 入店

増えているのは食事の時間だけではありません。移動が一区間増え、そして「約束の時刻に遅れられない」という拘束が加わります。 ヘアセットの予約枠に加えて、もう一つ動かせない固定点が同じ日に打ち込まれるので、前後の余裕が一気になくなります。同伴の日に朝から慌ただしくなるのは、作業量ではなく固定点の数が原因です。

さらに、同伴の前提としてセットやドレスに一段手をかける、というのも実務上はよくあります。つまり同伴の日は、時間・費用の両方が上に乗ります。

この時間は労働時間に当たるのか

いちばん聞かれる問いです。結論だけ書きます。

厚生労働省が平成29年1月20日に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、これは客観的に定まるものであって、労働契約や就業規則の定めによって決まるものではないとされています。ガイドラインは、準備行為や、着用を義務付けられた服装への着替えの時間についても、労働時間として扱われる場合があることを示しています。

つまり「準備の時間は労働時間に含まない」と店の規則に書いてあっても、それだけで結論は決まりません。実態として指揮命令下に置かれていたかどうかで判断されます。 ノルマとして課されていたのか、断る自由があったのか、時刻や場所を指示されていたのか。判断の枠組み、店の外での準備の扱い、移動時間の考え方についてはホストの出勤前は何をしている?の記事で判例とガイドラインに沿って詳しく整理してあります。

なお、この物差しは労働者として働いている場合の話です。 業務委託の形で契約している場合、労働基準法の労働時間規制は直接には適用されません。ただし契約書の題名だけで労働者かどうかが決まるわけでもないので、実態で判断されます。

報酬の受け取り方で、税の扱いも変わる

同伴に伴って支払われる分が、給与として支払われるのか報酬として支払われるのかで、税の扱いが変わります。

国税庁の解説によれば、ホステス等に支払う報酬・料金の源泉徴収は、支払金額から「5,000円×計算期間の日数」を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて計算します。 同月中に給与等の支払がある場合には、その計算した金額から給与等の支給額を控除します。国税庁が挙げている例では、3月1日から31日(31日間)の報酬が75万円の場合、(75万円-15万5千円)×10.21%=60,749円となります。15万5千円は5,000円×31日です。

この計算式で押さえておくべきは、「計算期間の日数」が控除額を決めるという点です。 出勤日数ではなく計算期間の日数が基準になるため、期間の取り方によって手取りが変わります。収入の全体像はキャバ嬢はいくら稼ぐ?の記事、時給の決まり方はキャバ嬢の時給の記事で扱っています。

出勤前を短くしたいときの、現実的な三手

最後に、ここまでの構造から出てくる実務的な手順をまとめます。

① 固定点を減らす/近づける

出勤前が長い最大の理由は、動かせない固定点(予約枠・待ち合わせ)で時間が分断されることでした。したがって効くのは、固定点そのものを減らすか、固定点どうしを地理的に近づけることです。

  • 美容室を、自宅の近くではなく「店に近い場所」に変える(同伴の待ち合わせ場所とも近くなる)
  • 予約枠を毎週同じ曜日・同じ時刻で固定する(毎回の予約作業がなくなる)
  • 同伴のない日はセルフセットにして、固定点を一つ消す

② 判断を前倒しする

当日に決めていることを、前日または週単位に移します。ドレスの組、持ち物、連絡の下書き。判断を前倒ししても総作業量は減りませんが、締切のある時間帯から締切のない時間帯へ移すので、体感の負荷が大きく下がります。

③ 一度だけ記録する

一週間だけ、出勤前の各項目に何分かかったかを書き出します。推測ではなく実測を一度取ると、削るべき場所がほぼ確実に予想と違っていることが分かります。 多くの場合、いちばん長いのは移動と待ち時間で、そこは料金交渉ではなく場所の選び直しでしか縮みません。

そしてこの記録は、後で別の意味を持つことがあります。準備の時間が労働時間に当たるかを争う場面でも、費用を経費として説明する場面でも、記録がないと、どちらの主張も土俵に乗りません。

よくある質問

Q1. キャバ嬢の出勤前は、だいたい何時間くらいですか?

公的な統計はありません。 出勤前の所要時間は、ヘアセットを美容室で受けるかセルフにするか、同伴が入るか、自宅から店までの距離によって大きく変わります。この記事の逆算表の項目に自分の実測値を入れれば、自分の時間は出せます。平均として出回っている数字は、業界メディアが独自に集めたものと考えるのが妥当です。

Q2. ヘアセットは自宅に来てもらうことはできますか?

原則としてできません。 厚生労働省の解説では、美容師は美容所で美容を行わなければならないとされ、出張美容が認められるのは、疾病等で美容所に来ることができない者、婚礼その他の儀式に参列する者への儀式直前の施術、理容所・美容所のない山間部等に居住する者、社会福祉施設等の入所者、演劇に出演する者等への出演直前の施術、といった限定的な場合です(東京都の例)。夜の仕事の出勤前の準備は、この列挙に含まれていません。条例の細かい定めは自治体によって違うため、実際の可否は管轄の保健所への確認が必要です。

Q3. ヘアセット代の相場はいくらですか?

「夜職のヘアセット代の平均額」を示す公的統計は見つかりませんでした。 料金は地域・店・メニュー・時間帯で違い、同じ「セット」という語でも中身が揃っていないためです。相場を探すより、「(施術料+往復交通費)×年間回数」で自分の年額を出すほうが実用的です。総額に効くのは単価より回数と移動です。費目の全体像は夜職の衣装・美容代の記事にあります。

Q4. 店の控室でセットしてもらっています。これは問題ありませんか?

その場所が美容所として届出と検査確認を受けているか、施術する人が美容師免許を持っているかによります。 美容所は開設・廃止の際に都道府県知事への届出が必要で、使用前の検査確認を受けなければ使用できないとされています。判断に迷う場合は、管轄の保健所に問い合わせることができます。なお、料金が給料から引かれている場合は、その根拠が示されているかも別に確認が必要です。

Q5. 同伴のために早く出た時間は、給料の対象になりますか?

一律には決まりません。 厚生労働省のガイドラインでは、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、労働契約や就業規則の定めではなく客観的に定まるとされています。したがって、店の規則に「準備時間は労働時間ではない」と書いてあっても、それだけで結論は出ません。ノルマとして課されていたか、断る自由があったか、時刻や場所の指示があったかといった実態で判断されます。判断の枠組みはホストの出勤前は何をしている?の記事で詳しく整理しています。また、業務委託契約の場合、労働基準法の労働時間規制は直接には適用されません。

Q6. まつ毛エクステは、どんな店で受けても大丈夫ですか?

まつ毛エクステンションは美容行為に当たり、保健所に届出をした美容所で、美容師免許を持つ人が施術する必要があります(東京都保健医療局・豊島区の案内)。厚生労働省は平成20年、平成22年、平成24年と複数回にわたって危害防止・安全性確保の通知を出しています。接着剤等が目に入ったことによる健康被害が生じているとされ、施術後に目などに異常が生じた場合は直ちに医師の診断を受けるよう案内されています。

Q7. カラーコンタクトは、通販で買っても問題ありませんか?

消費者庁は2021年9月10日の注意喚起で、視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズも含めて医療機器(高度管理医療機器)であるとしたうえで、購入前に眼科医を受診して自分に合ったレンズの処方を受けること、使い方を守り適切なケアを行うこと、異常を感じたらすぐに外して眼科医に相談することを挙げています。海外からの個人輸入品については、品質・有効性・安全性の確認がされていない危険性も指摘されています。

Q8. 出勤前を短くするには、何から手をつければいいですか?

まず一週間、各項目の所要時間を実測してください。 そのうえで、動かせない固定点(美容室の予約枠、同伴の待ち合わせ)を減らすか地理的に近づけるのが最も効きます。判断(ドレス選び、持ち物)を前日に前倒しすると、締切のある時間帯の負荷が下がります。多くの場合、いちばん長いのは移動と待ち時間で、そこは料金交渉ではなく場所の選び直しでしか縮みません。

まとめ

  • 出勤前の時間割は「店内にいるべき時刻」からの引き算で組み上がる。動かしにくいのはヘアセットの予約枠と移動で、メイクと連絡はその隙間に押し込まれる
  • 厚生労働省の解説では、美容師法上の「美容」に結髪が含まれ、美容師は原則として美容所で美容を行わなければならない。この一点が「美容室へ行く」という移動を出勤前に固定している
  • 出張美容が認められるのは、疾病等で来所できない者、儀式参列者への直前施術、へき地居住者、社会福祉施設の入所者、演劇出演者等への出演直前、といった限定的な場合。夜職の出勤前の準備はこの列挙に含まれない
  • 美容所は都道府県知事への届出と使用前の検査確認が必要。店内で施術を受ける場合は、届出済みの美容所か、施術者が美容師免許を持つかが確認点になる
  • 「夜職のヘアセット代の平均額」を示す公的統計は見つからなかった。相場を探すより、(施術料+往復交通費)×年間回数で自分の年額を出すほうが実用的で、総額を決めるのは単価より回数と移動
  • まつ毛エクステンションは美容行為で、美容所の届出と美容師免許が必要。厚生労働省は平成20年・22年・24年と繰り返し通知を出している。毛染めは消費者安全調査委員会の調査報告書(平成27年10月23日公表)の対象になった。カラーコンタクトは視力補正目的でないものも高度管理医療機器
  • 同伴は「一緒に入店する」ことが要件なので、定義上、開店前にしか成立しない。同伴の日は移動が一区間増え、動かせない固定点が二つになるため、時間も費用も一段上に乗る
  • 準備の時間が労働時間に当たるかは、店の規則の文言ではなく「使用者の指揮命令下に置かれていたか」という実態で決まる(厚生労働省ガイドライン、平成29年1月20日策定)。業務委託ではこの規制は直接適用されない
  • 報酬として受け取る場合、源泉徴収は「5,000円×計算期間の日数」を差し引いた残額に10.21%。控除額を決めるのは出勤日数ではなく計算期間の日数
  • 短縮に効くのは、固定点を減らす・近づける、判断を前倒しする、一度だけ実測する、の三つ。記録は後で労働時間や経費を説明する場面でも効いてくる

出勤前の時間の長さは、住んでいる場所と店の場所、そして街ごとの美容室の分布にも左右されます。街単位の様子を知りたい方は、市区町村ごとにまとめた出会いガイドもあわせてご覧ください。

参考情報

  • 厚生労働省「美容師法の概要」(美容の定義・免許・業務を行う場所の制限・美容所の届出・管理美容師・衛生措置を確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124874.html
  • 厚生労働省「理容・美容」(出張理容・出張美容に関する通知、まつ毛エクステンション関連情報、統計へのリンクを確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123853.html
  • 東京都保健医療局「出張理容・出張美容について」(美容師法施行令第4条および都の規則に基づく出張美容の対象を確認) https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/about/soshiki/anzen/eisei/oshirase/syuttyo_ribi
  • 東京都保健医療局「まつ毛エクステンションについて」(美容行為としての扱い、厚生労働省通知の年月日、注意点を確認) https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/about/soshiki/anzen/eisei/oshirase/biyou_ekuste
  • 豊島区「まつ毛エクステンションについて」(美容所の構造設備基準と開設届の必要性を確認) https://www.city.toshima.lg.jp/214/kurashi/ese/kankyoese/jigyosha/025031.html
  • 消費者庁「コンタクトレンズによる眼障害について-カラーでも必ず眼科を受診し、異常があればすぐに使用中止を-」(2021年9月10日公表。高度管理医療機器としての位置づけと消費者へのアドバイスを確認) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_054/
  • 消費者庁 消費者安全調査委員会「毛染めによる皮膚障害」(平成27年10月23日公表の事故等原因調査報告書と関連資料を確認) https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_008/
  • 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定。労働時間の考え方と準備行為の扱いを確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
  • 国税庁「No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金」(源泉徴収の税率10.21%、控除額の計算式と計算例を確認) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2807.htm

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