夜のお店の料金表示義務とは?風営法17条が求める表示の中身と違反時の処分

最終更新:2026-08-18

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結論から書きます。夜のお店の「料金表示義務」の根拠は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の第17条です。条文はたった一文で、「営業所において客に見やすいように表示しなければならない」としか書いていません。何を表示するのか、どうやって表示するのかは、すべて国家公安委員会規則——風営法施行規則の第33条と第34条——に投げられています。

そして、この記事で本当に押さえてほしいのはその先です。第17条は「表示しなさい」と言っているだけで、「表示した額しか請求してはいけない」とは書いていません。 表示と違う請求を直接止めているのは、都道府県の条例だったり、消費者契約法だったりします。しかも条例の中身は都道府県ごとにかなり違います。

もう一つ。2025年(令和7年)の改正で新設された第18条の3第1号は、「第17条に規定する料金について」という書き出しで始まります。 つまり、第17条が定める「表示すべき料金」が、そのまま新しい虚偽説明規制の物差しになりました。第17条は、単独では地味な表示ルールですが、改正後は他の規定を支える土台になっています。

会計の内訳そのもの——セット・指名・サービス料が何にいくらかかるのか——は、セット料金の記事、指名料の記事、サービス料の記事、延長料金の記事にあります。ここでは「表示義務」という一点だけを、条文の階層をたどって掘り下げます。

なお以下は法律の一般的な情報です。実際の店に何の義務が及ぶか、ある請求が違法かどうかは、営業の種別・所在地の条例・個別の事情によって変わります。困っている事案がある場合は、末尾に挙げた公的な相談窓口や弁護士に相談してください。

この記事で分かること

  • 風営法第17条の条文と、そこに置かれた「二つの委任」の構造
  • 施行規則第34条が定める「表示すべき料金の種類」——営業の種別ごとに中身が違うこと
  • 施行規則第33条が認める「三つの表示方法」——壁の掲示は必須ではないこと
  • 第17条の義務が及ぶ店と、及ばない店(特定遊興飲食店営業・深夜酒類提供飲食店営業)
  • その穴を東京都が条例でどう埋めているか、そして都道府県で内容が違うこと
  • 表示と違う請求が起きたとき、実際に効くのは何か(条例・消費者契約法)
  • 2025年改正の第18条の3第1号が、なぜ第17条を名指ししているのか
  • 第17条違反に刑罰がない理由と、行政処分の量定(東京都公安委員会の基準で20日以上180日以下)
  • 客の側・働く側が具体的に何を確認すればよいか

料金表示義務の条文は、たった一文しかない

風営法第17条

まず条文そのものを見ます。e-Gov法令検索で確認できる現行の第17条は、見出しが「(料金の表示)」で、本文は次の一文だけです。

風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。

一文の中に「国家公安委員会規則」が二回出てきます。ここが第17条を読むうえでの最初のポイントです。

二つの委任——「どうやって」と「何を」

一回目の「国家公安委員会規則で定めるところにより」は、表示の方法を規則に委ねる部分です。これを受けているのが施行規則第33条(料金の表示方法)。

二回目の「国家公安委員会規則で定める種類のもの」は、表示の対象を規則に委ねる部分です。これを受けているのが施行規則第34条(表示する料金の種類)。

つまり第17条は、骨組みだけを法律に置いて、肉付けを規則に降ろす構造になっています。「風営法17条で料金表示が義務づけられている」という説明はよく見かけますが、義務の中身は法律を読んでも分かりません。 規則の第33条・第34条まで下りないと、何をどこに出せばよいのかは確定しないのです。この記事が施行規則の話に多くを割くのは、そこに実質があるからです。

義務を負うのは「風俗営業者」

条文の主語は「風俗営業者」です。風営法第2条第2項によれば、風俗営業者とは第3条第1項の許可などを受けて風俗営業を営む者を指します。許可を受けている営業者に課された義務であって、飲食店一般に課された義務ではありません。ここは後で「及ばない店」の話につながります。

風俗営業の種別は第2条第1項各号に列挙されています。第1号が「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」。ホストクラブもキャバクラもクラブも、接待をして客に飲食をさせる形で営まれていればこの第1号に入ります。第2号は照度10ルクス以下の低照度飲食店、第3号は他から見通すことが困難で広さ5平方メートル以下の客席を設ける営業、第4号はまあじゃん屋・ぱちんこ屋など、第5号はゲームセンター類です。

なお、第2条第3項は「接待」を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義し、第4項は第1号から第3号までをまとめて「接待飲食等営業」と呼んでいます。この整理は、後半で第18条の3の適用範囲を読むときに効いてきます。

何を表示するのか——施行規則第34条の表

営業の種別ごとに、表示対象が違う

施行規則第34条は、表示すべき料金の種類を「営業の種別の区分に応じ」た表の形で定めています。同じ風俗営業でも、パチンコ店とキャバクラでは表示すべきものが違うということです。実際の区分は次のようになっています。

法第2条第1項第1号に掲げる営業(接待をして遊興・飲食をさせる営業)

一 遊興料金、飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金 二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金

法第2条第1項第2号又は第3号に掲げる営業(低照度飲食店、区画席飲食店)は、第1号が「飲食料金その他名義のいかんを問わず……客が飲食をする行為について」の料金となり、「接待を受けて」の部分が落ちます。第2号のサービス料金の規定は同じです。

法第2条第1項第4号に掲げる営業(まあじゃん屋、ぱちんこ屋など)は、ひとことで「法第19条に規定する遊技料金」。

法第2条第1項第5号に掲げる営業(ゲームセンター類)は「ゲーム料金その他名義のいかんを問わず……客が遊技をする行為について」の料金と、サービス料金です。

「二つの区分」を分けている意味

接待を伴う店にとって重要なのは、第1号と第2号が別々の項目として立てられていることです。

第1号は「客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為」の対価。セット料金、指名料、飲み物代、ボトル代など、飲食と接待そのものに対応する料金がここに入ります。

第2号は「客が当該営業所の施設を利用する行為」の対価で、第1号以外のもの。サービス料やチャージ、席料といった、飲食そのものではなく席を使うことに紐づく料金がここに来ます。

この二段構えは、会計の伝票の構造とそのまま対応しています。 前半に飲食と指名の明細が並び、最後にサービス料が乗る、というあの形です。規則は、後半の「最後に乗る部分」を独立の表示対象として名指ししました。サービス料の存在と料率が料金表に書かれていなければならない根拠は、ここにあります(サービス料が会計をどう膨らませるかの計算はサービス料の記事で扱っています)。

「名義のいかんを問わず」が塞いでいる抜け道

第34条の各項目には、必ず「その他名義のいかんを問わず」という一句が入っています。

これは、呼び名を変えれば表示義務から逃げられる、という抜け道を先回りして塞ぐための書き方です。セット料金を「テーブルチャージ」と呼んでも、延長料金を「追加サービス」と呼んでも、客が支払うべき料金であることに変わりがなければ表示対象になります。

裏を返せば、料金表を見るときに「聞いたことのない名前の項目が書いてある」こと自体は問題ではありません。問題は逆で、伝票に載る名目が料金表のどこにも見当たらないという状態です。名前が独特なら独特なまま、料金表に書かれていなければならない。それが「名義のいかんを問わず」の意味です。

どこに、どうやって表示するのか——施行規則第33条

三つの方法は「いずれか」でよい

施行規則第33条は、表示の方法を次のように定めています。

法第十七条の規定による料金の表示は、次の各号のいずれかの方法によるものとする。 一 壁、ドア、ついたてその他これらに類するものに料金表その他料金を表示した書面その他の物(以下この条において「料金表等」という。)を客に見やすいように掲げること。 二 客席又は遊技設備に料金表等を客に見やすいように備えること。 三 前二号に掲げるもののほか、注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと。

見落とされやすいのが、柱書きの「いずれかの方法による」という部分です。三つを全部やる必要はなく、どれか一つを満たせばよい。

「壁に料金表がない=即違反」とは限らない

この構造から導かれる、実務的にいちばん大事な帰結を書きます。

壁に料金表が貼られていないことだけをもって、第17条違反だと判断することはできません。 第2号の「客席に備える」でも、第3号の「注文前に示す」でも、法の要求は満たされるからです。テーブルにメニューブックが置いてあれば第2号、着席後にスタッフが料金表を持ってきて見せれば第3号にあたり得ます。

ただし、この読み方は客の側にとって不利な話ではありません。むしろ逆です。 第3号が「注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと」を表示方法の一つとして正面から認めているということは、注文の前に料金表を見せてもらうことが、制度が想定している正規の流れだということです。

だから「料金表を見せてください」と頼むのは、遠慮すべき要求でも、店を疑う行為でもありません。壁にも席にも料金表が見当たらない店では、第3号の方法によって義務を果たすほかなく、そのためには誰かが料金表を持ってくる必要があります。何も出てこないまま注文の段階に進んでいるとしたら、三つのいずれの方法も取られていない状態に近づいていく、という見方ができます。

「営業所において」——店の外は第17条の話ではない

もう一つ、条文の文言に忠実に読むべき点があります。第17条は「営業所において客に見やすいように表示しなければならない」と書いています。施行規則第33条の三つの方法も、壁・ドア・ついたて・客席・注文前の提示と、いずれも店内での行為を前提にしています。

つまり、街頭の看板やウェブサイト上の料金表示は、第17条が求める「表示」の履行場所ではありません。 第17条の義務は、あくまで営業所の中で果たすものとして書かれています。

もちろん、これは「店外の表示は何でもよい」という意味ではありません。風営法第16条は、風俗営業者に対し「その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない」と定めていますし、後で触れる東京都のいわゆるぼったくり防止条例は、料金について実際より著しく低廉であると誤認させる事項を「告げ、又は表示すること」を禁じており、こちらは場所を限定していません。規制の根拠がレイヤーごとに違う、と理解するのが正確です。

第17条が及ばない店がある

特定遊興飲食店営業には準用されていない

ここは、ネット上の解説でも混同が起きやすいところです。

風営法第2条第11項は「特定遊興飲食店営業」を、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ客に飲食をさせる営業(酒類を提供するものに限る)で、深夜にまたがって営むもの、と定義しています(風俗営業に該当するものは除かれます)。この営業は第31条の22の許可を受けて営みます。

そして第31条の23が、特定遊興飲食店営業に準用する条文を列挙しています。実際に挙げられているのは第6条から第7条の3まで、第9条、第10条の2、第12条、第13条(第1項を除く)、第14条、第15条、第18条、第18条の2、第21条、第22条第1項(第3号を除く)、第24条です。

この列挙の中に、第17条は入っていません。 つまり、特定遊興飲食店営業には、風営法上の料金表示義務がそのまま及ぶ形にはなっていません。

深夜酒類提供飲食店営業も同じ

第33条の届出をして深夜に酒類提供飲食店営業を営む場合も同様です。第32条・第33条を読んでも、第17条を準用する規定は置かれていません(第32条第2項が第14条・第15条を、第33条第6項が第18条の2を準用する、といった形で個別に指定されているだけです)。

接待をしない立ち飲み・バー・深夜営業の飲食店に、風営法第17条の料金表示義務が当然に及ぶわけではない——条文上はこう読むのが素直です。

東京都は、その穴を条例で埋めている

では特定遊興飲食店営業は料金を表示しなくてよいのかというと、そうとは限りません。ここで登場するのが都道府県の条例です。

風営法第21条は「条例への委任」という見出しで、第12条から第19条までなどに定めるもののほか、都道府県が条例により風俗営業者の行為について必要な制限を定められるとしています。この委任を使って、都道府県は独自の遵守事項を上乗せしています。

東京都の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」(昭和59年東京都条例第128号)は、第14条で特定遊興飲食店営業者の遵守事項を定めており、その第3号で、営業所において表示すべき料金の種類を、風営法施行規則第34条とよく似た二段構え(入場料金・遊興料金・飲食料金その他名義のいかんを問わないもの/サービス料金その他名義のいかんを問わないもの)で列挙しています。第4号は表示の方法を掲示・客席備置・注文前提示のいずれかとし、第5号は「第三号の規定により表示する料金以外の料金を客に請求しないこと」と定めています。

法律が準用していない部分を、条例が実質的に埋めている構図です。 だから「特定遊興飲食店営業には表示義務がない」と一般化するのは誤りで、正しくは「風営法第17条は及ばないが、所在地の条例によっては同等の義務がある」となります。

「表示と違う請求」に、第17条はどう効くのか

第17条自体は、請求額を縛っていない

ここが、この記事でいちばん誤解を解いておきたい部分です。

第17条をもう一度読んでください。「表示しなければならない」としか書いていません。「表示した料金以外を請求してはならない」という文言は、第17条にはありません。

もちろん、料金表を出しておきながらそれと違う額を請求すれば、民事上の契約の問題として争いになりますし、後述する第18条の3や条例の問題にもなります。ただ、風営法本体の第17条だけを見て「表示額を超える請求は風営法違反だ」と言い切ることはできません。

都道府県条例が「表示料金以外は請求しない」を足している

その一段を足しているのが、やはり条例です。

東京都の施行条例第7条第1項は風俗営業者の遵守事項を8号にわたって並べており、その第3号がこう定めています。

法第十七条の規定により表示する料金以外の料金を客に請求しないこと。

第2号は「客の求めない飲食物を提供しないこと」。この二つが並んでいることが、東京都の条例の設計をよく表しています。 「料金表になかった名目が伝票に載っていた」と「頼んでいない飲み物が出てきて課金されていた」という、会計トラブルの二大類型にそれぞれ対応しているからです。

そして重要なのは、この第3号が「法第十七条の規定により表示する料金」を基準にしていることです。第17条の表示義務が、そのまま請求できる範囲の物差しとして使われている。 第17条は請求を縛らないが、第17条を参照した条例が請求を縛る、という二段構えになっているわけです。

条例の中身は、都道府県でかなり違う

ただし、どの都道府県でも同じ条文があるわけではありません。ここは実際に複数の自治体の例規集を開いて確認しました。

  • 東京都(昭和59年東京都条例第128号)第7条第1項第3号——「法第十七条の規定により表示する料金以外の料金を客に請求しないこと」。表示された料金を基準にした、輪郭のはっきりした禁止です。
  • 京都府の施行条例第7条——風俗営業者の一般的遵守事項の中に「客に不当な料金を請求し、又はさせないこと」という号が置かれています。基準は「表示された料金」ではなく「不当かどうか」で、判断の幅が広い書き方です。
  • 栃木県の施行条例第8条(風俗営業者の遵守事項)——卑わいな行為の禁止、客の求めない飲食物の提供禁止、施錠の制限などは並んでいますが、料金の表示や請求に関する号は見当たりませんでした。
  • 愛媛県の施行条例第8条(昭和59年条例第35号)——同じく、遵守事項の中に料金の請求・表示に関する号は見当たりませんでした。

同じ風営法の下で営業していても、「表示料金以外を請求しないこと」が条例上の遵守事項になっている地域と、なっていない地域があります。 前者では条例違反として行政処分の対象になり得ますが、後者では風営法・条例のルートが使いにくく、民事のルートが中心になります。

なお条例は改正されますし、条番号も自治体によって違います。自分の行動範囲でどうなっているかは、その都道府県の例規集や都道府県警察の案内で最新のものを確認してください。ここに書いたのは、あくまで確認時点の各条例の姿です。

指定区域では、さらに強い条例が重なることがある

東京都にはもう一つ、「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」(平成12年東京都条例第196号)があります。いわゆるぼったくり防止条例です。

この条例の特徴は、適用範囲が区域で切られている点です。第2条は、不当な勧誘や料金の取立て等による被害の発生状況等を勘案して公安委員会が指定した区域内で営まれる一定の営業を「指定性風俗営業等」と位置づけています。全都一律ではなく、指定された区域の中だけで働くルールです。

内容は二方向あります。第3条は、指定性風俗営業等を営む者に対し、営業に係る料金と、違約金その他の支払義務に関する定めを、営業所内において客に見やすいように表示することを求めます。風営法第17条にはない「違約金」が、表示対象として明記されているのがこの条例の特色です。

第4条第1項は、料金について実際のものよりも著しく低廉であると誤認させるような事項を告げ、または表示することを禁じ、第2項は、粗野もしくは乱暴な言動を交えたり、預かった所持品を隠匿するなど迷惑を覚えさせる方法で料金や違約金等の取立てをすることを禁じています。そして第11条に罰則が置かれています。

表示・勧誘・取立ての三段階を通しで規制しているのがこの条例の構造で、風営法第17条の「表示」だけでは届かない部分をカバーしています。同種の条例は他の都道府県にもありますが、名称・指定区域・条文は自治体ごとに異なります。

民事のルート——消費者契約法

行政のルートと別に、支払った(あるいは請求された)お金そのものを争う道もあります。

消費者契約法第4条第1項第1号は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げ、それにより消費者が誤認して申込み・承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができると定めています。

そして同条第5項第2号は、「重要事項」に「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」を含めています。

料金は「対価その他の取引条件」の中心にあるものです。 事前に説明された料金と実際の請求が食い違う類型は、この規定が想定している場面と重なります。

期間の制限もあります。第7条第1項は、第4条第1項から第4項までによる取消権は、追認をすることができる時から1年間行わないときは時効によって消滅し、契約締結時から5年を経過したときも同様だとしています(霊感等による困惑類型は3年・10年)。心当たりがあるなら早めに相談したほうがよい、という制度設計になっています。

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2025年改正が、第17条にもう一つの役割を与えた

改正法の位置づけ

警察庁の施行通達(令和7年6月6日付け)によれば、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第45号)は令和7年5月28日に公布され、風俗営業の許可に係る不許可事由の追加に係る改正規定を除いて、同年6月28日から施行されました。不許可事由の部分は、公布の日から起算して6月を経過した日である令和7年11月28日からの施行です。

警察庁が公表している改正の概要には、背景として、いわゆるホストクラブにおいて遊興または飲食をした女性客が売掛金等の名目で多額の債務を負担させられ、その支払のために売春や性風俗店での稼働等を要求される事案が発生し社会問題化した、という記述があります。改正の柱は、接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為の追加、いわゆるスカウトバックの禁止、無許可営業等に対する罰則の強化、風俗営業からの不適格者の排除の四つです。

第18条の3第1号は、第17条を名指ししている

このとき新設された第18条の3(客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制)は、第2条第1項第1号の営業を営む風俗営業者について、三つの行為を禁じています。その第1号がこれです。

第十七条に規定する料金について、事実に相違する説明をし、又は客を誤認させるような説明をすること。

「第十七条に規定する料金について」——ここが、この記事の主題にとっての核心です。

新しい規制の対象は、料金一般ではありません。第17条に規定する料金、すなわち施行規則第34条が表示対象として定めた料金です。接待を伴う店であれば、接待を受けて遊興・飲食する行為の対価と、それ以外の施設利用の対価(サービス料など)。表示義務の射程が、そのまま虚偽説明規制の射程を決めているわけです。

この構造には実務的な含みがあります。表示義務の対象が「名義のいかんを問わず」と広く書かれている以上、虚偽説明規制の対象も、名目にかかわらず客が支払うべき料金全般に及びます。呼び名の工夫では、どちらの網からも抜けられません。

もう一点。第17条の表示義務は「営業所において」と場所が限定されていますが、第18条の3第1号の「説明」には場所の限定がありません。条文は「その営業に関し」次に掲げる行為をしてはならない、という書き出しになっています。表示は店内の話でも、説明は店内だけの話とは書かれていない——条文の文言に即して読むなら、そういう違いがあります。

警察庁の解釈運用基準が挙げた二つの例

「事実に相違する説明」「客を誤認させるような説明」が具体的に何を指すかは、警察庁が令和7年5月30日付けで示した「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(通達)に例示があります。

「事実に相違する説明」の例として挙げられているのは、接待飲食営業を営む風俗営業者が、法第17条に規定する料金とは異なる額を説明するなど虚偽の説明をした場合です。

「客を誤認させるような説明」の例は、より踏み込んでいます。通達は、法第17条に規定する料金と明示的に異なる額を説明していないものの、一定の額しか持ち合わせの現金がないなどと支払限度額を申告した客に対し「それでも大丈夫」等と申し向け、当該額の範囲内でのみ飲食等を提供すると客に誤った認識を与える説明をした場合を挙げています。

後者の例は、嘘の金額を言っていません。 何も具体的な数字を言わずに「大丈夫」とだけ答えることが、状況によっては「誤認させるような説明」に当たり得る、と示されているわけです。会計の場面で起きがちなやり取りが、そのまま規制の例示になっていることは知っておく価値があります。

なお通達は、第18条の3の趣旨について、接待を通じた客の判断力の低下や、客の恋愛感情等に起因する接客従業者に優位な関係性に乗じて客に遊興・飲食をさせ、不当な不利益を生じさせることを防止するためのものだと説明しています。第2号(恋愛感情等につけ込む類型)については色恋営業の記事で扱っています。

対象は「第2条第1項第1号の営業」

適用範囲にも注意が必要です。第18条の3の柱書きは「第二条第一項第一号の営業を営む風俗営業者」と書いています。第2条第4項の「接待飲食等営業」(第1号から第3号まで)ではなく、第1号だけです。低照度飲食店や区画席飲食店には、この条文はそのままの形では及びません。

一方、第17条の表示義務は「風俗営業者」全体に及びます。表示義務のほうが対象は広く、虚偽説明規制のほうが対象は狭い。 二つの条文は、参照関係でつながっていても、射程は同じではありません。

違反したらどうなるか——罰則ではなく、行政処分

第17条違反そのものに刑罰はない

風営法の罰則は第49条以下に並んでいます。第49条(5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、または併科)、第50条(2年以下)、第51条(1年以下)、第52条、第53条(6月以下)、第54条(100万円以下の罰金)——これらの各号を通して見ても、第17条違反を処罰する規定は置かれていません。

同じく、第18条の3違反にも直接の罰則はありません。罰則が付いているのは、たとえば第22条の2(客に注文等をさせ、または料金の支払等をさせる目的で威迫して困惑させること等)で、これは第53条第2号により6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科の対象です。

では第17条は「守らなくても何も起きない規定」なのかというと、まったくそうではありません。効き方が違うだけです。

第25条の指示と、第26条の営業停止・許可取消

第25条は、公安委員会が、風俗営業者またはその代理人等が当該営業に関し法令等に違反した場合に、必要な指示をすることができると定めています。

第26条第1項は、法令違反により著しく善良の風俗等を害するおそれがあると認めるとき等に、公安委員会が許可の取消し、または6月を超えない範囲内での営業の全部・一部の停止を命ずることができると定めています。同条第2項では、あわせて当該施設を用いて営む飲食店営業の停止も命じられます。

第17条を担保しているのは、刑罰ではなく、この行政処分です。 そして飲食店にとって、営業停止は刑罰と同等かそれ以上に重い効果を持ちます。

東京都公安委員会の基準では「20日以上180日以下」

処分の重さは、都道府県公安委員会の処分基準で具体化されています。警視庁が公表している処分基準(法令名:風営適正化法、根拠条項:第26条第1項、原権者:東京都公安委員会、令和7年11月28日作成)は、別紙2「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく営業停止命令等の基準」として、処分事由ごとの量定を定めています。

量定の区分は次のように定義されています(風俗営業等の場合)。

  • A:風俗営業等にあっては取消し
  • B:40日以上180日以下の営業停止命令。基準期間は90日
  • C:20日以上180日以下の営業停止命令。基準期間は40日
  • D:10日以上80日以下の営業停止命令。基準期間は20日
  • E:5日以上40日以下の営業停止命令。基準期間は14日
  • F:5日以上20日以下の営業停止命令。基準期間は7日
  • G:営業停止命令を行わないもの(指示処分に限る)

そして別表の処分事由の一覧では、「料金表示義務違反」(第17条)の量定はCとされています。20日以上180日以下、基準期間40日です。

参考までに、同じ表で「客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制違反」(第18条の3)はB(40日以上180日以下、基準期間90日)。条例の遵守事項違反のうち、東京都施行条例第7条第1項第3号(表示する料金以外の料金の請求)に対応する項目もCとされています。

表示しないことと、表示外の料金を請求することが、東京都の基準上は同じ重さに置かれている——これは、表示義務が単なる形式的な掲示ルールとして扱われていないことを示しています。

指示処分を飛ばせる類型に入っている

もう一つ、基準の読み方として重要な点があります。

同じ基準の第3項は、取消し・営業停止命令は、それぞれの処分事由について指示処分を行い、当該指示処分に違反した場合に行うことを通常とする、としています。原則は段階を踏む、ということです。

ただし、そこにはただし書きがあり、指示処分を行わずに直ちに営業停止命令等を行っても差し支えない場合が五つ挙げられています。その(4)がこれです。

短期20日以上の量定に相当する処分事由(法に基づく条例の違反に係る処分事由であって各都道府県において短期20日以上の量定が定められているものを含む。)に当たる法令違反行為が行われた場合

量定Cの短期は20日です。 つまり料金表示義務違反は、この(4)に当たる類型として位置づけられています。ほかにも、悪質な違反の繰り返し、指示処分期間中の同種違反、罰則の適用がある違反での検挙(起訴相当として送致した場合に限る)などが挙げられています。

「まず指示があって、それに従わなければ営業停止」という段階的な理解は、原則としては正しいのですが、料金表示義務違反はその原則の例外側に置かれている、というのが基準の実際の書きぶりです。ここは正確に押さえておく価値があります。

処分に従わなければ、そこで刑罰に変わる

そして、行政処分と刑罰はつながっています。第49条第4号は、第26条等の規定による公安委員会の処分に違反したときを、5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、またはその併科の対象としています。

第17条違反そのものに刑罰はない。しかし、それを理由とする営業停止命令に従わなければ、そこから先は刑事罰の世界になる。 この段差の構造が、風営法の担保の仕方です。

なお、無許可営業等に対する罰則は2025年改正で強化されました。警察庁の改正概要によれば、拘禁刑が2年以下から5年以下へ、罰金が200万円以下から1千万円以下へ、両罰規定に係る法人罰則が200万円以下から3億円以下へと引き上げられています。

客の側が、実際にできること

制度を押さえたうえで、行動に落とします。

席に着いたら、まず二つの区分を探す

施行規則第34条の二段構えを思い出してください。接待を伴う店の料金表には、(1) 接待を受けて飲食する行為の対価と、(2) それ以外の施設利用の対価の両方が書かれているはずです。

料金表を見るときは、この二つが揃っているかを確認します。セット料金や指名料は書いてあるのにサービス料の記載がない、という状態は、表示対象の片方が欠けている可能性を示します。

注文前に見せてもらうのは、制度が想定している流れ

繰り返しになりますが、施行規則第33条第3号は「注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと」を表示方法の一つとして認めています。注文の前に料金表を確認することは、法令が正面から想定している手順です。

延長するとき、ボトルを入れるとき、指名を変えるとき——支払う金額が動く場面ごとに、その項目が料金表のどこに書いてあるかを見る。それだけで、後から「聞いていない」と言う必要がある場面はかなり減ります。

会計で食い違ったときの順序

  1. まず内訳を確認する。 伝票の各項目が、料金表のどの記載に対応するかを一つずつ照合します。名目が違っても、対応するものがあるかどうかを見ます。
  2. 料金表に無い名目があるかを確認します。あるなら、その根拠を尋ねます。所在地の条例に「表示する料金以外の料金を客に請求しないこと」という遵守事項があれば、その点が問題になります。
  3. 説明と違っていたかを整理します。事前に金額の説明があったのに違っていたなら、第18条の3第1号や消費者契約法第4条第1項第1号の問題になり得ます。
  4. 記録を残す。 伝票、料金表の写真、日時、やり取りの内容。相談窓口でも民事でも、最初に聞かれるのはここです。
  5. その場で無理に押し切らない。 威迫や困惑を伴う請求は第22条の2の問題になり得ますが、その場で法律論を戦わせるより、支払いを保留したうえで相談先につなぐほうが安全です。身の危険を感じるなら110番です。

相談先

  • 消費者ホットライン「188」——消費者庁の案内によれば、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する全国共通の番号です。相談自体は無料ですが、窓口につながった時点から通話料の負担が発生します。
  • 警察相談専用電話「#9110」——警察庁のページによれば、生活の安全に関わる悩みごと・困りごとなど、緊急でない相談の場合に、最寄りの警察署への通報とあわせて案内されている番号です。
  • 行政処分に関わる事柄は、営業所の所在地を管轄する都道府県警察(生活安全部門)が窓口になります。
  • 支払った金額を取り戻したい、債務を負わされているといった民事の問題は、弁護士や法テラス、消費生活センターの範疇です。

働く側から見た料金表示義務

表示義務は店に課された義務ですが、現場で客と向き合うのは接客する人です。ここも触れておきます。

第17条の名宛人は「風俗営業者」であり、従業者個人ではありません。行政処分を受けるのも店です。ただし、第18条の3の柱書きの解釈について、警察庁の通達は「風俗営業者」にはその代理人等が含まれると説明しています。店の側の行為として評価される範囲は、経営者一人に限られないという前提で読むのが安全です。

実務的には、次の二点が働く側の身を守ります。

第一に、料金の説明で断定しないこと。 「たぶんこれくらい」「今日は大丈夫」といった曖昧な安心の与え方が、通達の例示している「客を誤認させるような説明」の形に近づきます。分からないことは、料金表を見せる、確認して戻る、という手順に置き換えるほうが確実です。

第二に、料金表の現物を把握しておくこと。 自分の店の料金表に何が書かれていて、何が書かれていないかを知らないと、正しい説明のしようがありません。表示されている料金が、そのまま説明してよい料金であり、請求してよい料金の基準(東京都のような条例がある地域では)でもあります。

給与や歩合の側から料金を見る話は、バックの記事や歩合の記事にあります。

よくある質問

Q1. 壁に料金表が貼っていない店は、それだけで違法ですか。

そうとは限りません。風営法施行規則第33条は、壁等への掲示、客席への備置、注文前の提示のいずれかの方法でよいとしています。掲示がなくても、テーブルに料金表があったり、注文前に見せられたりしていれば、その方法によって義務を果たしている可能性があります。逆に、どの方法も取られないまま注文が進んでいるなら、確認を求めてよい場面です。

Q2. 「サービス料」は料金表に書かれていなければいけませんか。

接待を伴う営業(風営法第2条第1項第1号の営業)については、施行規則第34条が、施設利用の対価としてのサービス料金その他名義のいかんを問わない料金を、表示すべき料金の種類の一つとして明記しています。金額そのものを法律が決めているわけではなく、決まっているのは「表示すること」です。サービス料の計算構造はサービス料の記事で扱っています。

Q3. 料金表に書いていない名目を請求されたら、風営法違反ですか。

第17条は「表示しなければならない」と定めるだけで、「表示した料金以外を請求してはならない」とは書いていません。その一段を足しているのは都道府県の条例で、たとえば東京都の施行条例第7条第1項第3号は「法第十七条の規定により表示する料金以外の料金を客に請求しないこと」を風俗営業者の遵守事項としています。ただし同様の号がない都道府県もあります。所在地の条例を確認してください。なお民事的には、消費者契約法や契約の解釈の問題として争う道があります。

Q4. バーや居酒屋にも料金表示義務はありますか。

風営法第17条の義務を負うのは「風俗営業者」、つまり許可を受けて風俗営業を営む者です。特定遊興飲食店営業については第31条の23の準用の列挙に第17条が入っておらず、深夜酒類提供飲食店営業についても準用規定は置かれていません。ただし、東京都のように条例で特定遊興飲食店営業者に料金の表示と表示外の請求の禁止を課している例があります。業態の看板だけでは判断できないので、地域の条例を見るのが確実です。

Q5. 店の外の看板やホームページの料金と、店内の料金表が違っていたらどうなりますか。

第17条が求めているのは「営業所において」の表示なので、店外の看板やウェブの表示は第17条の履行そのものではありません。ただし、料金についての説明が事実と違ったり客を誤認させるものであれば第18条の3第1号の問題になり得ますし、たとえば東京都の指定区域内であれば、ぼったくり防止条例が実際より著しく低廉であると誤認させる事項を「告げ、又は表示すること」を禁じています。根拠となる規定が変わる、と理解してください。

Q6. 第17条に違反した店は、逮捕されるのですか。

風営法の罰則(第49条から第54条まで)には、第17条違反を処罰する規定はありません。効くのは公安委員会による行政処分で、第25条の指示、第26条の営業停止命令・許可取消しです。東京都公安委員会の処分基準では、料金表示義務違反の量定はC(20日以上180日以下の営業停止命令、基準期間40日)とされています。そして、第26条の処分に違反した場合には第49条第4号により5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、またはその併科の対象になります。

Q7. 2025年の改正で、料金表示のルール自体は変わったのですか。

第17条の条文自体が書き換えられたわけではありません。変わったのは、第17条を参照する規定が増えたことです。新設された第18条の3第1号は「第十七条に規定する料金について、事実に相違する説明をし、又は客を誤認させるような説明をすること」を、接待をして客に遊興・飲食をさせる営業(第2条第1項第1号の営業)を営む風俗営業者の禁止行為としました。表示義務の対象が、そのまま説明規制の対象を画しています。

Q8. 「注文していないのに出てきた」ものの料金は、表示義務と関係がありますか。

直接には別の規定の話です。第18条の3第3号は、客が注文等の意思表示をする前に遊興・飲食の全部または一部を提供することにより客を困惑させ、それによって遊興・飲食をさせることを禁じています。また東京都の施行条例第7条第1項第2号は「客の求めない飲食物を提供しないこと」を遵守事項としています。表示(第17条)・説明(第18条の3第1号)・注文の意思(第18条の3第3号)は、それぞれ別の条文で規律されている、という整理になります。

まとめ:この記事の要点

  • 料金表示義務の根拠は風営法第17条。条文は一文で、「営業所において客に見やすいように表示しなければならない」とだけ定める
  • 第17条には二つの委任がある。表示の方法は施行規則第33条、表示すべき料金の種類は施行規則第34条。義務の実質は規則側にある
  • 施行規則第34条は営業の種別ごとに表示対象を定める。接待を伴う営業(第2条第1項第1号)は、接待を受けて遊興・飲食する行為の対価と、それ以外の施設利用の対価(サービス料等)の二段構え。いずれも「名義のいかんを問わず」
  • 施行規則第33条の表示方法は、掲示・客席備置・注文前の提示の三つのいずれか。壁に無い=即違反ではないが、逆に「注文前に見せてもらう」ことは制度が想定した正規の流れ
  • 第17条は「営業所において」の表示を求めるもので、店外の看板やウェブは別の規定の問題
  • 義務を負うのは風俗営業者。特定遊興飲食店営業には第31条の23で準用されておらず、深夜酒類提供飲食店営業にも準用規定はない。東京都は条例第14条でその穴を埋めている
  • 第17条自体は「表示した額しか請求してはならない」とは書いていない。その一段は都道府県の条例が足す。東京都の施行条例第7条第1項第3号は表示外の請求を禁じるが、同様の号がない県もある
  • 指定区域ではぼったくり防止条例が重なり、違約金の表示義務や「著しく低廉と誤認させる表示」の禁止、取立ての規制、罰則が加わる
  • 民事では消費者契約法第4条第1項第1号(重要事項=対価その他の取引条件についての不実告知)による取消しが視野に入る。期間は追認できる時から1年、契約時から5年
  • 2025年改正(令和7年法律第45号、令和7年6月28日施行)の第18条の3第1号は「第十七条に規定する料金について」と第17条を名指しし、虚偽説明・誤認させる説明を禁じた。表示義務の射程が、説明規制の射程を決めている
  • 警察庁の解釈運用基準は、支払限度額を申告した客に「それでも大丈夫」と申し向ける例を「誤認させるような説明」として挙げている
  • 第17条違反に刑罰はない。効くのは第25条の指示と第26条の営業停止・許可取消。東京都公安委員会の基準では量定C(20日以上180日以下、基準期間40日)で、指示処分を経ずに直ちに営業停止命令を行っても差し支えない類型に含まれる。処分に違反すれば第49条第4号で刑事罰
  • 客の側にできる最善のことは、注文前に料金表を見て、二つの区分が揃っているかを確認すること。食い違ったら記録を残し、188や#9110、都道府県警察、消費生活センターに相談する

料金表示義務は、一見すると事務的な掲示ルールです。しかし条文の階層をたどると、「表示された料金」が請求できる範囲の基準になり、説明が正しいかどうかの基準になり、行政処分の入口にもなっていることが見えてきます。料金表を読めるということは、その店で自分が何に守られているかを知っているということでもあります。

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参考情報

  • e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭和23年法律第122号)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122
  • e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」(昭和60年国家公安委員会規則第1号)https://laws.e-gov.go.jp/law/360M50400000001
  • e-Gov法令検索「消費者契約法」(平成12年法律第61号)https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和7年5月30日付け警察庁丙保発第7号ほか https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/250530kaisyakuunyokijyun.pdf
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通達)」令和7年6月6日付け https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/250606sekoutuutatsu.pdf
  • 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/hostclubto/070528huueihougaiyou.pdf
  • 警視庁「処分基準(風営適正化法第26条第1項/風俗営業の許可の取消し、停止命令)」令和7年11月28日作成 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/johokoukai_portal/shinsa_syobun/syobun/seian.files/2_seian_062.pdf
  • 東京都例規集「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」(昭和59年東京都条例第128号)https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002214.html
  • 東京都例規集「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」(平成12年東京都条例第196号)https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002219.html
  • 京都府例規集「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」https://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/a300RG00000897.html
  • 栃木県例規集「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」https://www.pref.tochigi.lg.jp/reiki/reiki_honbun/e101RG00001043.html
  • 愛媛県警察例規「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」https://www.police.pref.ehime.jp/kitei/reiki_honbun/u227RG00000398.html
  • 消費者庁「消費者ホットライン」https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」https://www.npa.go.jp/goiken_index.html

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