結論から書きます。「ホストを辞めた後はどんな仕事をするか」を考えるとき、最初に確かめるべきなのは職種の候補ではありません。自分の契約が雇用だったのか業務委託だったのかです。 ここが違うだけで、辞めた後に使える制度が丸ごと入れ替わります。雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)が出るのか出ないのか、健康保険や年金の切り替えを誰がやるのか、税務署に出す書類があるのかないのか。すべてこの一点から分岐します。
そしてもうひとつ。辞めた後の職探しでつまずきやすいのは「経験がないこと」ではなく、「経験を、募集する側が使っている言葉に置き換えられないこと」です。 夜の店の中でしか通じない語(同伴、場内指名、ヘルプ、卓、締め日)を、そのまま履歴書に書いても読む側には伝わりません。これは能力の問題ではなく、単に辞書が違うという問題です。
この記事は「おすすめの転職先ランキング」ではありません。辞めるときに手続きとして必要になることと、持ち出せる技能を公的な語彙に言い換える方法の二つに絞ります。どんな職種を選ぶかは人によって違いますし、「ホストを辞めた人はこうなる」という一般化は、この記事ではしません。
給料や歩合の仕組みそのものはホストの給料の記事や歩合の記事、辞めた後のお金の残り方は貯金の構造の記事で扱っています。ここでは「辞める前後にやること」に集中します。
この記事で分かること
- 雇用と業務委託で、辞めた後に使える制度がどう変わるか
- 契約書の名前ではなく実態で判断されるという公的なルール
- 自分がどちらだったのかを、手元の書類から確かめる方法
- 健康保険・年金・税・ハローワークの4つの手続きと、その順番
- 雇用保険に入っていなかった人向けの受け皿(求職者支援制度)
- 経験を「職務行動」と数字に翻訳する具体的な手順
- 収入や職歴を公的に証明する書類と、記録がない年に起きること
- 採用する側に課されているルール(公正な採用選考)と、履歴書の様式例
以下は一般的な制度の説明です。金額・要件・期限は改正されることがあり、個別の判断は事情によって変わります。 具体的な手続きは、ハローワーク、年金事務所、お住まいの市区町村、所轄の税務署、労働基準監督署などで確認してください。また、契約の形は店舗によって異なり、業界共通のルールがあるわけではありません。
出発点は職種ではなく「契約の形」
雇用だったかどうかで、制度の入口が変わる
まず全体像です。同じ「ホストを辞める」でも、契約が雇用だった場合と業務委託だった場合では、辞めた瞬間に発生する事務がまるで違います。
雇用されていた場合、勤務先が加入手続きをしていれば、雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者になっています。雇用保険の被保険者となる要件は、パートタイムで働く方の場合、ハローワークの案内によれば「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」と「31日以上引き続き雇用されることが見込まれること」です。社会保険のほうは、日本年金機構の説明では、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上であれば被保険者となり、それ未満でも特定適用事業所等では週の所定労働時間20時間以上・所定内賃金月額8.8万円以上・学生でないことなどの要件で加入対象になります。
業務委託だった場合、雇用保険にも厚生年金にも入っていません。健康保険は国民健康保険、年金は国民年金の第1号被保険者、税は自分で確定申告。労災保険も自動では適用されず、「特別加入」という別枠の制度を、団体を通じて都道府県労働局長の承認を受けて利用する形になります。
この差がそのまま、辞めた後の選択肢の差になります。 雇用保険の被保険者だった人には離職票が出て、基本手当の受給資格を確認する道があります。被保険者でなかった人にはその道がなく、代わりに求職者支援制度という別の受け皿があります。どちらも後で詳しく書きます。
なお、社会保険の適用範囲は段階的に広がっています。厚生労働省の適用拡大の特設サイトでは、企業規模要件が従業員数51人以上から2027年10月に36人以上へ、その後も2029年・2032年・2035年と段階的に拡大されること、賃金要件(月額8.8万円以上)は2026年10月に撤廃予定であることが案内されています。「以前は入れなかった」ことが、今も同じとは限りません。
契約書の名前ではなく、実態で判断される
ここが重要です。「業務委託契約書」という紙があることは、法律上の結論を決めません。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」サイトは、フリーランスを「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義したうえで、原則として労働関係法令が適用されない場合があるとしています。しかし同時に、「フリーランスは、見かけ上雇用関係になくても、労働者性が認められることがあります。その場合、労働関係法令の保護を受けます」 と明記しています。
判断は実態の総合考慮です。同サイトが例示しているのは「仕事のやり方や作業の時間まで事細かに指示される」「予定にない仕事も頼まれたりずっと働きづめ」といった状態ですが、そうした事実があれば直ちに労働者になるわけではなく、契約内容やその他の要素を含めて総合的に判断されるとも書かれています。つまり、簡単に自己判定できる話ではありません。気になる場合は労働基準監督署などに相談するのが現実的です。
業務委託なら、フリーランス法の対象になり得る
2024年(令和6年)11月1日に、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法、令和5年法律第25号) が施行されました。公正取引委員会の特設サイトによれば、この法律の対象となる「特定受託事業者」は、業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しない者です。
発注する側には、取引条件を直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で明示する義務、物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で報酬支払期日を定める義務などが課され、受領拒否・報酬減額・買いたたきなど7つの禁止行為が定められています。ハラスメント対策に係る体制整備義務もあります。
辞めるときに直接効いてくるのは、契約期間の長さに応じた規定です。 厚生労働省の案内には、契約期間6か月以上(更新を含む)の契約については法第13条(育児介護等への配慮)と法第16条(30日前の解除予告) にも注意するよう書かれています。継続的に業務委託を受けていた人が一方的に契約を打ち切られた、という場面で参照する条文がある、ということです。
相談先も用意されています。フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省から第二東京弁護士会が受託して運営している窓口で、電話は0120-532-110(9:30〜16:30、土日祝日を除く)、メール相談も可能です。相談無料、秘密厳守、匿名相談可、対面・WEB相談可とされています。
自分がどちらだったかを、手元の書類で確かめる
記憶ではなく紙で確認します。以下は判断材料の例です。
- 給与明細に「雇用保険料」「健康保険料」「厚生年金保険料」の控除欄があるか — あれば雇用され、勤務先が加入手続きをしていた可能性が高い
- 年末に受け取ったのが源泉徴収票か、支払調書か — 書類の種類が違う
- 雇用保険被保険者証を渡されたことがあるか
- 辞めるときに離職票(雇用保険被保険者離職票−1、−2)が出るか — 出るなら雇用保険の被保険者だった
- ねんきん定期便やねんきんネットで、厚生年金の加入記録があるか
- 契約書に「業務委託」とあり、報酬から10.21%前後が差し引かれていた — 報酬に対する源泉徴収が行われていた可能性
どれか一つで断定はできません。 ただ、離職票と厚生年金の記録は、あるかないかがはっきりしているので出発点になります。判断がつかないときは、離職票の有無をハローワークに、年金の記録を年金事務所に確認するのが早道です。
辞めるときにする手続き、4つ
ここからが実務です。順番に見ていきます。どれも「放っておいても勝手に整う」ものではなく、自分が動かないと止まらない・始まらないものが混ざっています。
1. 健康保険 ― 自分で動かないと請求が止まらない
いちばん取りこぼしやすいのがここです。
業務委託だった人が、次に勤務先の健康保険に入った場合。 それまで入っていた国民健康保険は自動では抜けません。大阪市の案内では、勤務先の健康保険に加入したときは14日以内に、新しい資格確認書や資格情報のお知らせなどを持って区役所の保険年金業務担当に届け出ることとされています。そして、届け出をしないとどうなるかも明記されています。「国民健康保険をやめた後に、届出をせずに医療機関にかかられた場合は、医療費を返還していただきます」、また届出勧奨の文書や保険料の督促状が届く場合がある、と。
つまり、やめたつもりでも届け出るまでは国民健康保険の保険料が請求され続け、その状態で病院にかかると医療費を返すことになるという設計です。二重に払っていたことに後から気づく、という事故はここで起きます。手続きの内容は自治体ごとに異なるので、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
雇用されていた人が、辞めて無職になる場合は逆向きです。勤務先の健康保険の資格を失うので、国民健康保険に入るか、条件を満たせば以前の健康保険を任意継続するかを選ぶことになります。こちらも自分から手続きが必要です。
2. 年金 ― 入るときは自動、戻すときは自分
年金は健康保険と対称ではありません。ここを混同すると手続きを一つ落とします。
就職して厚生年金に入るとき。 日本年金機構の案内では、「被保険者資格取得届」を提出するのは事業主で、期限は事実発生から5日以内、提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。本人がすることは、基礎年金番号通知書・年金手帳またはマイナンバーカードを用意することが中心です。そして厚生年金に加入すると国民年金の第2号被保険者になるため、調布市の案内では市区町村への届出は原則不要とされています(保険料の口座振替やクレジットカード納付をしている場合は、二重納付を避けるために辞退の手続きが案内されています)。
辞めて厚生年金から外れるとき。 こちらは自分で動きます。日本年金機構の案内では、第1号被保険者の加入手続きの提出先は住所地の市区役所または町村役場、期限は退職日の翌日から14日以内です。調布市の案内も、厚生年金の資格を喪失し、配偶者の扶養にも入らず、20歳以上60歳未満であれば、退職日の翌日から14日以内に手続きすることとしています。
「入るときは会社が5日以内、抜けるときは自分が14日以内」。 この非対称を覚えておくと落としません。保険料を納めるのが難しいときの免除・納付猶予については貯金の構造の記事で触れています。放置と申請はまったく違う扱いになります。
3. 税 ― 業務委託だった人には「廃業」の届出がある
業務委託で報酬を受け取っていた人は、税務上は個人事業主として扱われている場合があります。その場合、辞めることは「廃業」にあたります。
国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」は、開業だけでなく廃業のときにも個人事業の開業・廃業等届出書を提出する手続きです。提出先は所轄の税務署で、提出期限は事業の廃止の日から1月以内とされています(期限が土日祝日にあたる場合は翌日に延長されます)。
国税庁の「廃業する場合」のページには、廃業時に検討する手続きとして次のものが挙げられています。
- 個人事業の開業・廃業等届出書の提出
- 青色申告をしていた場合の青色申告の取りやめ届出書
- 消費税の課税事業者だった場合の事業廃止届出書
- 予定納税をしていた場合の予定納税額の減額申請
最後の減額申請は見落としやすいところです。予定納税は前年の実績をもとに計算されるので、辞めて収入が落ちる年ほど、前年基準の納付書が届きます。 廃業して所得が大きく減る見込みがあるなら、減額申請という手続きが用意されています。
そして、辞めた年も確定申告は必要になり得ます。 年の途中まで収入があるからです。申告が必要かどうかは所得の種類と金額によって変わるので、所轄の税務署に確認してください。住民税が翌年に来る仕組みも含めて、税と保険料のカレンダーは貯金の構造の記事にまとめています。
4. ハローワーク ― 離職票があるかどうかで入口が分かれる
ここが「次の仕事」に直接つながる部分です。
まず求職の申込み。 ハローワークの案内では、住所地を管轄するハローワークで求職申込みをしたのち、離職票(雇用保険被保険者離職票−1、−2)を提出します。受給資格が確認されると受給説明会の日時が通知され、「雇用保険受給資格者のしおり」が交付され、説明会で雇用保険受給資格者証が交付されます。その後は失業認定申告書とともに失業の認定を受けていく流れです。
基本手当の受給資格。 ハローワークの案内では、二つの要件があります。一つは、ハローワークに来所して求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けない状態にあること。病気・妊娠・育児・休養目的での退職などは対象外です。雇用保険法第4条第3項も「失業」を、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態と定義しています。
もう一つが被保険者期間です。一般の離職者は離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上、特定受給資格者・特定理由離職者は離職の日以前1年間に通算6か月以上。そしてこの「被保険者期間」の数え方が独特で、ハローワークの説明では、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算するとされています。出勤日数が少ない月は1か月に数えられないことがある、という点は、シフト制で働いていた人には効いてきます。
待期と給付制限。 雇用保険法第21条は、最初に求職の申込みをした日以後、失業している日が通算して7日に満たない間は基本手当を支給しないと定めています。加えて第33条第1項は、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇や、正当な理由がない自己都合退職の場合、待期期間の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は支給しないとしています。
この給付制限は近年変わりました。厚生労働省のページ「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」によれば、退職日が令和7年4月1日以降の場合は原則1か月(3月31日以前は原則2か月)で、さらにリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合は給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになりました。ただし条文上の幅は1か月以上3か月以内なので、実際の期間はハローワークが個別に決めます。自分のケースは離職票を持って窓口で確認してください。
金額と期間。 基本手当日額は、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った金額のおよそ50〜80%です。上限額は令和8年8月1日現在で、30歳未満7,450円、30〜45歳未満8,270円、45〜60歳未満9,110円、60〜65歳未満7,830円。所定給付日数は年齢・被保険者であった期間・離職の理由などで90日〜360日の範囲で決まります。受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間で、病気やけがなどで30日以上働けない場合は最長3年まで延長できます。
自分で事業を始める場合の特例。 厚生労働省は、離職後に事業を開始等した方が事業を行っている期間等を最大3年間、受給期間に算入しない特例を設けています。原則の1年と合わせると、受け取れる可能性のある窓が実質的に後ろへずれます。要件や申請期限があるので、事業を始める前にハローワークで確認してください。
雇用保険に入っていなかった人の受け皿
離職票が出ない働き方をしていた人はどうなるか。ここに求職者支援制度があります。
厚生労働省の説明では、再就職・転職・スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です。訓練受講の要件は、ハローワークに求職申込みをしていること、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと、労働の意思と能力があること、ハローワークが訓練支援の必要性を認めたこと。給付金の対象として挙げられているのは、雇用保険が適用されなかった離職者、自営業廃業者、雇用保険受給終了者、一定額以下の収入のパートタイム労働者です。
業務委託で働いていて廃業した人が、そのまま当てはまる設計になっています。
職業訓練受講給付金の内訳は、職業訓練受講手当が月10万円、通所手当が定期乗車券などの額(月上限42,500円)、別居して寄宿する場合の寄宿手当が月10,700円。支給要件は次の全部です。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいる住所地以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日全てに出席する(やむを得ない理由がある場合は8割以上)
- 世帯内に同時に給付金を受給している人がいない
- 過去3年以内に不正受給をしていない
- 過去6年以内にこの給付金を受給していない
訓練期間は2か月から6か月。分野として案内されているのは、基礎(パソコン)、IT、営業事務、医療事務、介護福祉、デザイン、CADなどです。申込み・相談・問い合わせはハローワークで受け付けています。
出席要件が厳しめであることは、あらかじめ知っておいたほうがいい点です。 昼夜が逆転した生活から切り替える途中で始めると、ここが最初の壁になります。逆に言えば、生活リズムを戻すための外圧としても機能します。
なお、公的職業訓練(ハロートレーニング)は公共職業訓練と求職者支援訓練の総称で、受講料は無料(テキスト代などは自己負担)とされています。受講を希望する場合はハローワークに相談します。前述のとおり、教育訓練等を受けることで自己都合離職の給付制限が解除される仕組みもあるので、基本手当が出る人にとっても訓練は無関係ではありません。
「持ち出せるもの」を言い換える
手続きの話はここまでです。ここからが二つ目の主題、経験の翻訳です。
言い換えは、盛ることではない
先に線を引いておきます。言い換えとは、事実の粒度を変える作業であって、事実そのものを変える作業ではありません。 在籍期間、業態、役割、担当した範囲。これらは変えません。変えるのは、それを説明するときに使う語彙です。
理由は実務的です。雇用されていた期間は雇用保険や厚生年金の記録として残り、報酬を受け取った事実は確定申告の記録として残ります。書いたことと記録が食い違えば、後で説明できなくなります。 言い換えが有効なのは、記録と矛盾しない範囲でだけです。
手順1:店の中でしか通じない語を外す
夜の店には、その場では極めて効率的だけれど外では通じない語彙があります。同伴、ヘルプ、本指名、太客・細客。これらは業界内の分類語で、募集する側の求人票には出てきません。
置き換える先は、その語が指している行動です。たとえば「ヘルプに入る」は、担当者以外の従業員が卓に加わって接客を支える役割ですが、外向きに書くなら「指名担当以外の顧客対応を分担し、複数卓を並行して担当した」といった、業界語を含まない記述になります。内容は同じで、語彙だけが違う。 これが翻訳です。
手順2:「行動」と「成果」の形に組み直す
厚生労働省の職業能力評価基準は、仕事に必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」 を業種別・職種別に整理したものです。平成14年度から整備が進められ、業種横断的な事務系職種のほか、電気機械器具製造業やホテル業など、ものづくりからサービス業まで幅広い業種が対象になっています。
ここで借りたいのは中身そのものではなく、書き方の型です。「◯◯ができます」ではなく「◯◯という状況で、◯◯という行動をとり、◯◯につながった」という形。職務経歴を書くときにこの型を使うと、感想が減って検証可能な記述が増えます。
数えられるものは数えます。担当した顧客の人数、対応した卓数、在庫や備品の発注、会計の締めや現金の管理、後輩の指導人数、シフトの調整、クレームやトラブルの対応件数、SNSアカウントの運用。「売上」だけを書くと店の外では読めませんが、「何人を、どういう頻度で、どのくらいの期間、どう管理したか」は読めます。
手順3:公的な様式に落とす
自由記述で書くと発散するので、様式を借ります。
ジョブ・カードは、厚生労働省が「生涯を通じたキャリア・プランニング及び職業能力証明のツールとして」位置づけている仕組みで、キャリアコンサルティング等の相談支援のもとで作成・活用されます。様式はキャリア・プランシート/職務経歴シート/職業能力証明シートの3系統。作成はウェブサイト「マイジョブ・カード」で行え、興味診断・スキルチェック・価値観診断といった自己診断も用意されています。対象として学生・在職者・求職者が並んでいるので、いま職に就いていない人も使えます。
これは単なる自己分析ツールではありません。 埼玉労働局の公正な採用選考の案内では、既卒者・既就業者の応募書類として、本人の適性・能力に関係ない事項を含まない書類、またはジョブ・カードを用いることが挙げられています。つまり、応募書類としての通用力がある公的様式です。
相談先も制度として存在します。厚生労働省の委託事業であるキャリア形成・リスキリング推進事業には、個人向けのキャリアコンサルティング申込みの窓口があり、各支援センターに相談コーナーが併設されています。何を書けばいいか分からない段階で人に話す、という使い方ができます。
手順4:職種名は「自称」ではなく「募集側の言葉」に合わせる
自分の経験を何と呼ぶかを自分で発明すると、検索にも面接にも噛み合いません。ハローワークの求人票や求人情報の「仕事の内容」欄に書かれている言葉を先に読み、そこにある語で自分の経験を説明し直すほうが早い。厚生労働省が運営する職業情報のサイトでは、仕事の内容やスキル・知識から職業を検索する機能も提供されています。
言い換えれば、翻訳の辞書は自分の頭の中ではなく、募集側が出している文書の中にあります。
今、時間がある人が並んでいます
今すぐ話し相手がほしいなら、待つ必要はありません。LOVETOK NOW は 「今、話せます」と出している人だけが並ぶ場所です。気になる人へその場で声をかけられます。
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記録がないと、経験は証明できない
言い換えの話をしてきましたが、その手前に前提があります。説明できることと、証明できることは別です。
収入を証明する書類は「申告」から生まれる
賃貸の審査、各種の申込み、自治体の減免の判定。こうした場面で求められるのは通帳の残高ではなく、公的な証明書です。
納税証明書は国税庁が発行するもので、その1(納付すべき税額、納付した税額、未納税額等の証明)、その2(所得金額の証明)、その3(未納の税額がないことの証明)、その4があります。手数料は1税年度1通あたり370円(郵送等の場合の取扱いは案内を確認してください)。請求はe-Tax、郵送、税務署の窓口で行えます。
課税(非課税)証明書は市区町村が発行します。板橋区の案内では、記載されるのは前年1年間の所得金額と内訳、所得控除の内訳、特別区民税・都民税・森林環境税の税額。手数料は1通300円。そして重要なのがここです。「区または税務署への申告、勤務先からの給与支払報告書の送付のいずれもなく、賦課決定がなされていなければ、証明書の発行はできません」。 発行してもらうには、まず住民税の申告が必要になります。
申告していない年は、収入があっても、それを制度の側に示す方法がない。 これが記録の意味です。
紙の運用が変わった点
もう一つ、2025年(令和7年)1月からの変更を押さえておきます。国税庁は、申告書等の控えへの収受日付印の押なつを取りやめました。 「提出した控えにハンコがある」ことを証拠にする運用は、もう使えません。
代わりの確認手段として国税庁が案内しているのは、申告書等情報取得サービス(e-Taxを使ってPDF形式で取得、無料)、e-Taxで送信した場合の受信通知(メッセージボックスに保存される)、保有個人情報の開示請求、そして納税証明書です。紙で提出している人ほど、この変更の影響を受けます。「控えを取っておけば大丈夫」から「取得できる状態にしておく」へ、考え方を切り替える必要があります。
業務委託だった期間をどう説明するか
業務委託だった期間には、雇用保険や厚生年金の加入記録がありません。これは事実なので、隠すのではなく別の裏づけで補います。
- 確定申告の記録(前述の各種証明)
- 契約書、およびフリーランス法第3条に基づいて明示された取引条件(書面またはメール・SNSのメッセージ等の電磁的方法で明示される義務があります)
- 報酬の入金記録
フリーランス法の施行以降、取引条件が形に残る建付けになったことは、辞めた後の説明のしやすさにも効いてきます。 口頭だけで働いていた期間は、後から再現するのが難しい。これは、いま働いている人にとっては「今のうちに残しておく」話でもあります。
採用する側にもルールがある
言い換えの話を、応募する側の努力だけの問題にしないために、採用側に課されているルールも書いておきます。
厚生労働省の公正な採用選考のサイトは、採用選考について本人の適性・能力に基づいた採用基準とすることを求め、選考時に把握してはならない事項を二群に分けて示しています。
本人に責任のない事項として挙げられているのは、本籍・出生地に関すること、住宅状況(間取り・部屋数・住宅の種類など)、家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴など)、生活環境・家庭環境に関すること。
本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)として挙げられているのは、宗教に関すること、人生観・生活信条に関すること、思想に関すること、購読新聞・雑誌・愛読書に関すること、支持政党に関すること、尊敬する人物に関すること、労働組合や学生運動などの社会運動に関すること。
これらをエントリーシート・応募用紙・面接・作文などで把握することは、就職差別につながるおそれがあるとされています。
履歴書の様式についても、厚生労働省が様式例を作成しています。 令和2年7月に日本規格協会がJIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除したことを受けて作られたもので、性別欄は任意記載欄、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の欄はありません。
職歴そのものは適性・能力に関わる事項なので、上の二群には含まれません。事実と異なることを書くことはできません。 ただし、家庭環境や生活環境まで説明する義務はない、という線は制度として引かれています。
職業経験の不足を前提にした制度もある
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に一定期間試行雇用する事業主に助成する制度です。対象労働者の要件として挙げられているものには、過去2年以内に2回以上の離職・転職、1年を超える離職期間(一切の就労がない)、出産・育児を理由とする1年を超える職業空白などがあります。トライアル雇用期間は原則3か月です。
これは事業主に支給される助成金であって、働く本人が受け取るお金ではありません。 ただ、「職業経験が少ない人を試行的に雇う」ことを国が後押しする枠があると知っていれば、求人の探し方が変わります。利用にはハローワーク等にトライアル雇用求人が提出されていることが前提になるので、窓口で相談してください。
相談できるところ
いずれも一般的な案内です。適切な窓口は事情によって変わります。
- ハローワーク — 求職申込み、職業相談・職業紹介、雇用保険の手続き、職業訓練(ハロートレーニング)、求職者支援制度
- フリーランス・トラブル110番 0120-532-110(9:30〜16:30、土日祝日を除く) — 厚生労働省から第二東京弁護士会が受託して運営。相談無料・秘密厳守・匿名相談可
- 労働基準監督署 — 契約が業務委託とされているが実態は労働者ではないか、といった相談
- 年金事務所/市区町村の国民年金担当 — 種別変更、免除・納付猶予
- 市区町村の国民健康保険担当 — 加入・脱退、保険料の軽減・減免
- 所轄の税務署 — 廃業の届出、確定申告、予定納税の減額申請、納税証明書
- キャリア形成・リスキリング支援センター — 厚生労働省委託事業のキャリアコンサルティング
よくある質問
Q1. ホストを辞めたら、失業給付はもらえますか。 雇用保険の被保険者だったかどうかで変わります。被保険者だった場合でも、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(特定受給資格者・特定理由離職者は離職の日以前1年間に6か月以上)という要件があり、被保険者期間は1か月ごとに区切った期間のうち賃金支払いの基礎となった日数が11日以上または時間数が80時間以上ある月を1か月として数えます。業務委託だった場合は雇用保険の被保険者ではないので基本手当の対象になりません。その場合は求職者支援制度が受け皿として用意されています。
Q2. 業務委託でした。何から手続きすればいいですか。 一般的には、①国民健康保険(次に勤務先の健康保険へ入るなら14日以内に脱退の届出)、②年金(厚生年金に入るなら事業主が手続き、無職期間があるなら14日以内に第1号の届出)、③税(個人事業の開業・廃業等届出書を事業の廃止の日から1月以内、必要に応じて青色申告の取りやめ届出書・消費税の事業廃止届出書・予定納税額の減額申請)、④ハローワークで求職申込み、という順序になります。ただし個別の事情で必要な手続きは変わるので、各窓口で確認してください。
Q3. 自己都合で辞めると、しばらく給付を受けられないのですか。 雇用保険法第21条により、最初に求職の申込みをした日以後、失業している日が通算7日に満たない間は支給されません(待期)。加えて第33条第1項により、正当な理由がない自己都合退職の場合は待期期間の満了後、1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は支給されません。厚生労働省の案内では、退職日が令和7年4月1日以降の場合は原則1か月とされ、リ・スキリングのために教育訓練等を受けた場合は給付制限が解除されるとされています。実際の期間はハローワークが個別に判断します。
Q4. 職歴に空白があります。どう書けばいいですか。 事実と異なることを書くことはできません。一方で、厚生労働省の公正な採用選考の枠組みでは、本人に責任のない事項(本籍・出生地、住宅状況、家族、生活環境)や本来自由であるべき事項(宗教、思想、支持政党、愛読書など)を採用選考で把握しないこととされており、履歴書の様式例でも通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の欄は設けられていません。職歴の記載そのものは適性・能力に関わる事項なので対象外です。書き方に迷う場合は、ジョブ・カードの職務経歴シートのような公的様式に沿って整理し、キャリアコンサルティングで相談するのが現実的です。
Q5. 「接客経験」以外に書けることがない気がします。 書けることは、担当した業務を分解すると増えます。厚生労働省の職業能力評価基準は、知識・技術・技能に加えて「成果につながる職務行動例」を整理したもので、この型に沿って書き直すと具体度が上がります。顧客の管理、予約や来店の調整、会計や現金の取扱い、在庫・備品の発注、後輩の指導、シフトの調整、トラブル対応、SNSの運用など、数えられる要素を数えて記述します。ただし何が評価されるかは応募先の職務によって異なり、「この経験があれば有利」と一般化できるものではありません。
Q6. 収入があったことを証明したいのですが、確定申告をしていません。 申告していない年については、公的に所得を証明する手段がありません。市区町村の課税(非課税)証明書は、申告も給与支払報告書もなく賦課決定がされていなければ発行できないと案内されています。過去の分についても申告する仕組みがあるので、まずは所轄の税務署とお住まいの市区町村に相談してください。なお令和7年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行われなくなり、提出事実の確認は申告書等情報取得サービス、e-Taxの受信通知、保有個人情報の開示請求、納税証明書などによることになっています。
Q7. 契約書には「業務委託」と書かれていました。もう労働法は関係ないのですか。 契約の名称だけで決まるわけではありません。厚生労働省は、フリーランスでも見かけ上雇用関係になく労働者性が認められることがあり、その場合は労働関係法令の保護を受けると説明しています。判断は指揮監督の実態などを含めて総合的に行われるため、自己判定は難しく、労働基準監督署やフリーランス・トラブル110番(0120-532-110、無料・匿名相談可)に相談するのが確実です。また業務委託であっても、フリーランス・事業者間取引適正化等法により、取引条件の明示や報酬支払期日、契約期間6か月以上の場合の30日前の解除予告などのルールが適用され得ます。
Q8. 訓練を受けながら生活費を確保できますか。 求職者支援制度では、雇用保険被保険者でも受給資格者でもないなど一定の要件を満たす場合に、月10万円の職業訓練受講手当と通所手当(月上限42,500円)などを受けながら、無料の職業訓練を受講できます。ただし本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、訓練実施日全てに出席(やむを得ない理由がある場合は8割以上)といった要件が全部かかります。要件を満たすかどうかはハローワークで確認してください。
Q9. 辞めた後に自分で事業を始める場合、失業給付はどうなりますか。 厚生労働省は、離職後に事業を開始等した方が事業を行っている期間等を最大3年間、受給期間に算入しない特例を設けています。原則の受給期間1年と合わせると、受け取れる可能性のある期間が後ろにずれる形です。要件と申請期限があるため、事業を始める前にハローワークで確認してください。
まとめ
- 辞めた後の選択肢は、職種の候補より先に契約が雇用だったか業務委託だったかで分岐する。雇用保険の被保険者要件は週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み、社会保険は4分の3基準または週20時間・月8.8万円などの要件
- 契約書の名称は結論を決めない。見かけ上雇用関係になくても労働者性が認められることがある(厚生労働省)。判断は実態の総合考慮
- 業務委託ならフリーランス・事業者間取引適正化等法(令和6年11月1日施行)の対象になり得る。取引条件の明示、報酬支払期日60日以内、契約期間6か月以上なら30日前の解除予告(法16条)
- 健康保険は自分で動かないと止まらない。 勤務先の健康保険に入ったら国民健康保険の脱退届を14日以内に。出さないと保険料の請求が続き、資格喪失後に受診した医療費は返還になる
- 年金は非対称。 就職時は事業主が5日以内に資格取得届を出し市区町村への届出は原則不要、退職時は自分が14日以内に第1号の届出
- 業務委託だった人には廃業の届出がある。個人事業の開業・廃業等届出書は事業の廃止の日から1月以内。青色申告の取りやめ、消費税の事業廃止届出、予定納税額の減額申請も検討対象
- 基本手当は、離職前2年間に被保険者期間12か月以上(特定受給資格者等は1年間に6か月以上)。被保険者期間は月11日以上または80時間以上の月を1か月と数える。待期7日、自己都合の給付制限は条文上1〜3か月、令和7年4月1日以降の離職は原則1か月、教育訓練等の受講で解除
- 雇用保険がなかった人には求職者支援制度。月10万円+通所手当、訓練は2〜6か月・受講料無料。ただし収入・資産・出席の要件が全部かかる
- 言い換えは事実を変える作業ではなく、語彙の粒度を変える翻訳。業界語を外し、「行動と成果」の形に組み直し、数えられるものを数える。型は職業能力評価基準、様式はジョブ・カードを借りる
- 説明できることと証明できることは別。申告していない年は所得を公的に示せない。 令和7年1月から控えへの収受日付印は押されず、申告書等情報取得サービス・受信通知・開示請求・納税証明書で確認する
- 採用する側にもルールがある。本人に責任のない事項・本来自由であるべき事項は選考で把握しない。厚生労働省の履歴書様式例では性別欄は任意記載で、通勤時間・扶養家族数・配偶者の欄がない
制度に関する記述は一般的な情報であり、要件・金額・期限は改正されることがあります。個別の判断は事情によって変わるので、必ず各窓口で確認してください。
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参考情報
- 基本手当について|ハローワークインターネットサービス
- 雇用保険手続きのご案内|ハローワークインターネットサービス
- 雇用保険の被保険者の種類と要件|北海道労働局・ハローワーク
- 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省
- 離職後に事業を開始等した場合の雇用保険受給期間の特例について|厚生労働省
- 求職者支援制度のご案内|厚生労働省
- ハロートレーニング|厚生労働省
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省
- 社会保険加入の要件|社会保険適用拡大特設サイト(厚生労働省)
- フリーランスとして安心して働ける環境を、整備するためのガイドライン|確かめよう労働条件(厚生労働省)
- フリーランス・事業者間取引適正化等法施行から1年を迎えました!|厚生労働省
- フリーランス・トラブル110番(厚生労働省委託事業/第二東京弁護士会)
- フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組|公正取引委員会
- フリーランス法特設サイト|公正取引委員会
- 職業能力評価基準|厚生労働省
- ジョブ・カード制度|厚生労働省
- マイジョブ・カード(厚生労働省)
- キャリアコンサルティング申込メニュー|キャリア形成・リスキリング推進事業(厚生労働省委託事業)
- 採用選考時に配慮すべき事項|厚生労働省
- 公正な採用選考について|埼玉労働局
- 新たな履歴書の様式例の作成について|青森労働局
- 労災保険の特別加入制度(特定作業従事者)|神奈川労働局
- 国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
- 就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構
- 適用事業所と被保険者|日本年金機構
- 国民年金の加入・種別変更・喪失手続|調布市
- 就職・退職に伴う国民健康保険の手続き|大阪市
- 個人住民税 課税(非課税)・納税証明書の申請|板橋区
- A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
- 廃業する場合|国税庁
- G-1 納税証明書の請求手続|国税庁
- 令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて|国税庁
- 雇用保険法|法令リード

