キャバ嬢の源氏名はどう決める?本名と源氏名が二重に管理される仕組み

最終更新:2026-08-18

今、時間がある人が並んでいます

今すぐ話し相手がほしいなら、待つ必要はありません。LOVETOK NOW は 「今、話せます」と出している人だけが並ぶ場所です。気になる人へその場で声をかけられます。

無料で新規会員登録

18歳以上・年齢確認済みの方のみ利用できます

「源氏名はどう決めるのか」という問いには、二つの答えがあります。 ひとつは「本人と店で相談して決める」という、決め方そのものの答え。もうひとつは「決めた名前は、店の帳簿に載っている本名の上に重ねて置かれる」という、置かれ方の答えです。この記事が扱うのは後者のほうです。

キャバクラで働く人の名前は、実は二か所で管理されています。フロアで呼ばれる源氏名と、バックヤードの従業者名簿に記録される本名。この二層構造は業界の慣習ではなく、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)が店側に義務づけている記録によって作られています。しかも、その記録は個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の対象でもあり、店には守る義務が課されています。

つまり源氏名とは、「本名を消す名前」ではなく、本名を店の内側に置いたまま、外側に別の名前を立てるための仕切りです。この記事では、その仕切りが法令上どう作られ、どこまで機能し、どこで機能しないのかを、条文に当たれる範囲で整理します。特定の店を紹介したり、働き方を勧めたりする内容は含みません。

この記事で分かること

  • 名前の付け方そのものに公的なルールはあるのか(結論と、詳しい記事へのリンク)
  • 風営法第36条の2が店に義務づけている「接客従業者の生年月日等の確認」の中身
  • 内閣府令が指定している確認書類の種類と、なぜ本籍地都道府県名まで見る設計になっているのか
  • 従業者名簿に記載される五つの項目と、退職後の保存期間
  • 記録を怠ったときに店が受ける罰則の条文
  • 名簿を誰が見るのか——立入りの条文と、その権限の限界
  • 店が源氏名を管理する実務上の理由(重複・名刺・SNS)
  • 名簿は個人データであること——安全管理措置・第三者提供の制限・漏えい時の報告義務
  • 辞めたあとに残る掲載物への、開示請求と利用停止請求
  • 本名を出さないことの安全上の意味と、ストーカー規制法が並べている行為
  • 源氏名だけでは守れない範囲

名前の付け方そのものには、公的なルールがない

先に短く済ませます。源氏名の付け方を定めた法令は見当たりません。風営法にも、名乗る名前の中身を指定する条文はありません。どう決めるかは店舗・グループ・地域・個人によって異なり、一律の答えは書けません。

言葉の由来、名前を選ぶときに効いてくる実務的な条件、名前が価値を持ったときに関わる商標法の条文、そして戸籍上の名を変えることとの違いについては、ホストの源氏名の記事で詳しく扱っています。名前を「どう選ぶか」を知りたい場合はそちらを読んでください。ここでは重複を避け、選んだ名前がどう管理されるかだけを追います。

名前は二つの層に分かれて存在している

キャバクラの店内で、ひとりの働き手には二つの名前が同時に存在しています。

表の層は、フロアで使われる名前です。客が呼び、指名を伝え、名刺に印刷され、店のホームページやSNSに載る名前。ここに出るのは源氏名です。

裏の層は、店が備え付ける帳簿に載る名前です。風営法第36条は、風俗営業者などに対し、営業所ごとに従業者名簿を備え、業務に従事する者の住所及び氏名その他内閣府令で定める事項を記載するよう求めています。条文が求めているのは「氏名」であって、「源氏名で足りる」とは書かれていません。

この二層構造は、外から見ると「本名を隠している」ように見えます。しかし法令の側から見ると逆で、本名を確実に記録させたうえで、外向きの呼び名だけを別に立てているという設計です。名前を隠す仕組みではなく、名前を分けて置く仕組み。ここを取り違えると、源氏名の安全上の意味も、店側の管理義務も、どちらも読み違えることになります。

以下、裏の層から順に見ていきます。

店が確認しなければならないのは「名前」ではなく「生年月日と国籍」

意外に思われるかもしれませんが、風営法が採用時の確認事項として名指ししているのは氏名ではありません。生年月日と国籍です。

風営法第36条の2が求めているもの

風営法第36条の2第1項は「接客従業者の生年月日等の確認」という見出しの下に、次のように定めています。

接待飲食等営業を営む風俗営業者、店舗型性風俗特殊営業を営む者、無店舗型性風俗特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者及び第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者は、当該営業に関し客に接する業務に従事させようとする者について次に掲げる事項を、当該事項を証する書類として内閣府令で定める書類により、確認しなければならない。

同項が掲げる確認事項は、生年月日、国籍、そして日本国籍を有しない者についてはその在留資格等または特別永住者資格です。接待をして客に飲食をさせる営業(風営法第2条第1項第1号)を営む店は、条文にある「接待飲食等営業を営む風俗営業者」に含まれます。

さらに同条第2項は、確認をしたときは国家公安委員会規則の定めるところにより確認に係る記録を作成し、保存しなければならないと続けています。確認は一回きりの目視で終わらせてよいものではなく、記録として残るものだという建て付けです。

ここで押さえておきたいのは、確認の対象が「客に接する業務に従事させようとする者」だという点です。裏方だけでなく、フロアに出る人が正面から対象になっています。源氏名で働くかどうかは、この義務に何の影響も与えません。

内閣府令が指定した確認書類

「内閣府令で定める書類」の中身は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号)第26条に置かれています。日本国籍を有する者については、次の三つが挙げられています。

  • 住民票記載事項証明書(住民基本台帳法第7条第2号に掲げる事項及び本籍地都道府県名が記載されているものに限る)
  • 旅券法第2条第2号の一般旅券
  • 上記のほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該者の生年月日及び本籍地都道府県名の記載のあるもの

日本国籍を有しない者については旅券や在留カード、出入国管理及び難民認定法第19条第2項の許可がある者については資格外活動許可書や就労資格証明書を組み合わせる形、特別永住者については特別永住者証明書が、それぞれ指定されています。

なぜ本籍地都道府県名まで見る設計になっているのか

三つの選択肢のすべてに「本籍地都道府県名」が絡んでいる点は、条文の構造から読み解けます。確認事項に国籍が入っているためです。生年月日だけなら年齢が分かる書類で足りますが、日本国籍であることまで確かめようとすると、本籍の記載がある書類が必要になる、という順序です。

裏を返すと、生年月日は載っていても本籍地都道府県名が載っていない書類は、この条文が指定する書類には当たりません。 一般的な身分証がすべて使えるわけではない、ということです。実際にどの書類の提示を求めるかは店ごとの運用であり、所轄の警察署の指導によっても変わります。ここは条文の読み方の話として受け取ってください。

働く側から見ると、この条文は「なぜここまで出させるのか」の答えでもあります。店が独自に厳しくしているのではなく、確認しなかったこと自体が店の違反になる構造だからです(罰則は後述します)。

従業者名簿には何が書かれ、いつまで残るのか

確認と並行して、店は名簿を作ります。

内閣府令第25条が定める五項目

風営法第36条は「住所及び氏名その他内閣府令で定める事項」と書いていました。その「内閣府令で定める事項」は、先ほどと同じ内閣府令の第25条にあります。

法第三十六条の内閣府令で定める事項は、性別、生年月日、採用年月日、退職年月日及び従事する業務の内容とする。

つまり名簿に載るのは、住所・氏名(法第36条)+性別・生年月日・採用年月日・退職年月日・従事する業務の内容(内閣府令第25条)という組み合わせです。

注目したいのは、この五項目に「本籍」が入っていないことです。本籍地都道府県名は確認書類の側で見る事項であって、名簿に転記して保管する事項としては挙げられていません。確認する情報と、記録として残す情報が、条文のレベルで切り分けられているわけです。

もうひとつ、名簿の記載事項に「源氏名」も入っていません。法令が要求しているのは本名であり、フロアで使う名前は法令の関心の外にあります。源氏名は法令が作った制度ではなく、法令の要求を満たしたうえで、その外側に店と本人が置いている呼び名だという位置づけが、ここからも読み取れます。

退職後3年間は備え付けが続く

風営法施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)第106条は、名簿の備付けについて「その従業者が退職した日から起算して三年を経過する日まで、その者に係る従業者名簿を備えておかなければならない」と定めています。辞めた時点で消える記録ではありません。

紙でなくてもよい

同規則第107条第1項は、法第36条に規定する事項が電磁的方法により記録され、必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて直ちに表示されることができるときは、その記録(電磁的名簿)をもって名簿に代えることができるとしています。第2項は、その記録をする場合には国家公安委員会が定める基準を確保するよう努めなければならない、と続けます。

「直ちに表示されることができる」という条件が付いている点が実務的です。データで持つのは構わないが、求められたときに出せる状態でなければ代替として認められない、という書き方になっています。

記録を欠いたときの罰則

ここまでの義務には罰則が付いています。風営法第54条は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する」としたうえで、次の号を並べています。

  • 第3号:第36条違反——従業者名簿の未備付け、記載漏れ、虚偽記載
  • 第4号:第36条の2第1項違反——生年月日等の確認をしなかった場合
  • 第5号:第36条の2第2項違反——確認記録の未作成、虚偽記録、未保存

さらに第57条は両罰規定を置いており、法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して第53条から第56条までの規定に違反したときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても各本条の罰金刑を科すとしています。

名簿と確認は、店にとって「やっておいたほうがよいこと」ではなく、やらなければ罰金の対象になる義務です。入店時の書類提出が煩雑に感じられる背景には、この条文の存在があります。

名簿は誰が見るのか——立入りの条文とその限界

「本名が記録されている」と聞くと、誰が見るのかが気になります。ここも条文があります。

風営法第37条第1項は、公安委員会が「この法律の施行に必要な限度において」風俗営業者等に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができると定めています。第2項では警察職員が営業所に立ち入ることができるとされ、客が在室している個室についての例外が置かれています。第3項は、立ち入るときは身分を示す証明書を携帯し関係者に提示しなければならないとしています。

そして重要なのが第4項です。

第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

立入りは風営法の施行のための行政上の権限であり、犯罪捜査の権限とは別だと、条文自身が線を引いています。名簿の備付けが求められているのは、この行政的な確認を成り立たせるためだ、という読み方ができます。

もっとも、これは「名簿が絶対に外に出ない」という保証ではありません。後述する個人情報保護法第27条第1項第1号は「法令に基づく場合」を第三者提供の例外に挙げており、法令上の根拠がある求めに対しては、本人の同意なしに提供されることがあり得ます。源氏名を使っていても、法令の枠組みの中では本名にたどり着ける——この点は、期待値を正しく持つうえで押さえておくべきところです。

店が源氏名を「管理」する三つの実務的な理由

ここまでは法令の話でした。一方、源氏名の候補を店が確認したり、勝手な変更を止めたりする運用は、法令から来ているわけではありません。記録と表示を一致させるという実務上の要請から説明できます。以下は特定の店の方針ではなく、名前が業務の中でどう使われるかを整理したものです。

1. 重複すると帳簿が壊れるから

同じ営業所に同じ名前が二人いると、指名の受付、席の割り当て、売上の集計、給与の計算がすべて曖昧になります。源氏名には公的な登録制度がないので、重複を避ける仕組みは店の中にしか存在しません。だからこそ、名前の一意性を保つ役割が店側に落ちます。

そして名簿の側では、本名・生年月日・採用年月日という一意に定まる情報で人が特定されています。表の名前と裏の記録を一対一で結べる状態を保つことが、実務上の管理の中身です。名前を管理しているというより、名前と記録の対応を管理している、と言ったほうが正確でしょう。

2. 名刺は回収できないから

名刺は、渡した瞬間に手を離れます。刷り直しても、すでに配った分は戻ってきません。表記を途中で変えれば、同じ人の名前が複数の形で外に出回ることになります。

さらに、渡した先の扱いを法律で縛ることも基本的にできません。個人情報保護法が義務を課している相手は「個人情報取扱事業者」で、同法第16条第2項はこれを「個人情報データベース等を事業の用に供している者」と定義しています(国の機関、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人は除かれます)。店はこれに当たりますが、私人として名刺を受け取った客一人ひとりが同じ義務を負うわけではありません。

つまり名刺は、店の管理下から情報が出ていく境界線です。そこに何を印刷するか(源氏名だけか、連絡先を載せるか、載せるとして誰の連絡先か)が慎重に扱われるのは、この不可逆性のためだと理解できます。

3. SNSは店の外に残るから

SNSも同じ問題を、より長い時間軸で抱えています。投稿は本人が消しても、引用・保存・転載の形で残り得ます。表記がぶれれば同じ人の投稿が分散し、逆に名前が一貫していれば、投稿の断片を集めることで生活圏や行動時間が推測できてしまう可能性もあります。

ここで効いてくるのが、源氏名の匿名性は「単体では」しか成り立たないという性質です。個人情報保護法上の個人情報の定義には、他の情報と容易に照合できることで個人を識別できるものが含まれます(この定義の詳細はホストの源氏名の記事で扱っています)。源氏名そのものが本名でなくても、そこに紐づく情報が積み上がれば、識別可能性は上がっていきます。

店がアカウント名や投稿内容の方針を持つのは、宣伝の統一のためだけでなく、この積み上がりを管理する意味もあると読めます。ただし具体的な運用は店ごとに異なり、共通ルールがあるわけではありません。

名簿は「個人データ」——今度は店側にかかる義務

風営法は店に「記録しろ」と言います。一方で個人情報保護法は、同じ記録について「きちんと守れ」と言います。ここが二重管理のもう一枚の層です。

取得のときに利用目的を示す(第21条)

個人情報保護法第21条第1項は、個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、又は公表しなければならないとしています。第2項はさらに踏み込み、契約の締結に伴って契約書その他の書面に記載された個人情報を取得する場合など、本人から直接書面に記載された個人情報を取得する場合には、あらかじめ本人に対し利用目的を明示しなければならないと定めています。

入店時に身分証を出し、書面に住所や氏名を書くという場面は、まさにこの第2項が想定している状況です。何のために使う情報なのかが示されているかは、確認してよい事柄です。

安全管理措置(第23条)と従業者の監督(第24条)

第23条の見出しは「安全管理措置」で、本文はこうです。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

第24条は「従業者の監督」として、従業者に個人データを取り扱わせるにあたっては、安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行わなければならないとしています。

個人情報保護委員会が定める「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、講ずべき安全管理措置として、組織的安全管理措置・人的安全管理措置・物理的安全管理措置・技術的安全管理措置の四つが整理されています。同ガイドラインは平成28年11月に策定され、その後も改正が重ねられています。

第24条が意味するのは、名簿を見られる立場のスタッフが何をしてよいかも、店の責任の範囲に入るということです。名簿にアクセスできる人が本名を口外することは、店の管理の問題として扱われます。

第三者提供の制限(第27条)

第27条第1項は「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定めています。例外として並ぶのは、第1号「法令に基づく場合」、第2号「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」、第3号(公衆衛生・児童の健全育成)、第4号(国の機関等への協力)などです。

客に本名を教える行為は、この例外のどれにも当たりません。 客から「本名を教えてほしい」と言われて店が答えることは、本人の同意がなければ同条に反する提供になり得ます。源氏名の匿名性を実質的に支えているのは、この条文だと言ってよいでしょう。

漏えいしたときの報告と本人通知(第26条)

万一の場面のルールもあります。個人情報保護委員会は、個人データの漏えい等が発生し個人の権利利益を害するおそれが大きい事態について、委員会への報告と本人への通知が義務化されていることを案内しています。同委員会が示している報告対象は次の四類型です。

  1. 要配慮個人情報が含まれる事態
  2. 財産的被害が生じるおそれがある事態
  3. 不正の目的をもって行われた漏えい等が発生した事態
  4. 1,000人を超える漏えい等が発生した事態

報告は速やかに(おおむね3〜5日以内)行い、あわせて本人に対しても、事態の概要、漏えいした個人データの項目、原因などを分かりやすい方法で通知することとされています。通知が困難な場合には、ホームページでの公表や問合せ窓口の設置といった代替措置も示されています。

店が持っているのは、本名・住所・生年月日・身分証で確認した情報が揃った名簿です。「不正の目的をもって行われた漏えい」に当たり得る事態も、現実には想定されます。 報告義務が置かれているのは、そうした事態を放置させないためです。

今、時間がある人が並んでいます

今すぐ話し相手がほしいなら、待つ必要はありません。LOVETOK NOW は 「今、話せます」と出している人だけが並ぶ場所です。気になる人へその場で声をかけられます。

無料で新規会員登録

18歳以上・年齢確認済みの方のみ利用できます

辞めたあと、源氏名と写真はどこに残るのか

退店したあとに残るものは、二種類あります。分けて考える必要があります。

ひとつは従業者名簿です。 これは風営法施行規則第106条により、退職日から3年を経過する日まで備え付けが義務づけられています。法令が残せと言っている記録なので、本人が消してほしいと申し出ても、店は備付け義務との関係で応じられません。

もうひとつは、店のホームページやSNSに載っている源氏名・プロフィール・写真です。 これは法令が備付けを命じている記録ではありません。ここには個人情報保護法の請求権が働き得ます。

第33条第1項は、本人が個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求できると定めています。第35条は「利用停止等」の見出しで、第1項が法第18条・第19条違反の取扱いや第20条違反の取得を理由とする利用停止・消去の請求を、第3項が第27条第1項等に違反する第三者提供の停止請求を認めています。

そして実務上いちばん効く可能性があるのが第5項です。

本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データを当該個人情報取扱事業者が利用する必要がなくなった場合、当該本人が識別される保有個人データに係る第二十六条第一項本文に規定する事態が生じた場合その他当該本人が識別される保有個人データの取扱いにより当該本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合には、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる。

「利用する必要がなくなった場合」という文言が入っている点が要です。退店して在籍していない人のプロフィールを掲載し続ける必要があるのか、という論点は、この条文の枠内で議論できます。ただし請求すれば必ず通るという性質のものではなく、事業者側の判断や事情によって結論は変わります。個別の事案については、後述の相談窓口や弁護士に確認してください。

働く側にとっての実務的な示唆は、退店のときに「掲載物をどうするか」を確認しておくと、あとから請求するより早いということです。名簿は法令上残るが掲載物は別、という切り分けを知っているだけでも、話の進め方が変わります。

本名を出さないことの、安全上の意味

ここまで制度の話をしてきました。最後に、そもそもなぜ名前を分けるのかという実質の部分に触れます。

名前は単独では弱く、組み合わせで強い

本名それ自体が危険な情報なのではありません。危ないのは組み合わせです。本名に、働いている店(=場所)と、出勤している時間帯(=時間)が加わると、「特定の人物が、いつ、どこにいるか」が推測できる状態になります。接客業では、場所と時間が業務上どうしても公開されます。だからこそ、残る一つの要素である名前を切り離しておく意味が出てきます。

源氏名は、この組み合わせを完成させないための仕切りだと理解できます。

ストーカー規制法が並べている行為

参考として、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)第2条第1項が「つきまとい等」として掲げている行為を見ておきます。特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われる、次のような行為です。

  1. つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、押し掛け、又はみだりにうろつくこと
  2. その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
  3. 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること
  4. 著しく粗野又は乱暴な言動をすること
  5. 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること
  6. 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
  7. その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
  8. その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置くなどの行為

同条第3項は「位置情報無承諾取得等」を定めており、承諾を得ずに位置情報記録・送信装置により記録・送信される位置情報を取得する行為や、承諾を得ずに所持品に位置情報記録・送信装置等を取り付ける行為などが挙げられています。第4項は、これらを同一の者に対して反復して行うことを「ストーカー行為」と定義しています。

「住居等の付近において見張り」「みだりにうろつく」が第1号に、位置情報の無承諾取得が第3項に置かれている——この並びが示しているのは、生活の拠点が知られることの重さです。名前と勤務先が結び付き、そこから生活圏まで結び付いたときに、条文が想定している状況に近づきます。

統計が示していること

警察庁の『令和7年版警察白書』は、ストーカー事案の相談等件数が高水準で推移していること、令和6年中の配偶者からの暴力事案等の相談等件数が配偶者暴力防止法の施行以降で最多となったことを記しています。

被害者と加害者の関係については、警視庁が公表している東京都内の集計が参考になります。令和7年中におけるストーカー行為等に係る相談件数は1,751件で、前年から296件(20.3パーセント)増加しました。関係別では、交際相手(元交際相手を含む)が906件で51.7パーセントを占める一方、面識なしが176件、職場関係が156件、知人関係等が202件と、親密な関係以外も相当数を占めています。

数字の解釈には注意が必要です。これは東京都内のすべてのストーカー相談の集計であって、夜の仕事に関する統計ではありません。特定の職業と結び付けて読むべき数字ではないという点は、はっきり書いておきます。ここから言えるのは、あくまで「関係の深さと被害の有無は比例しない」という一般的な傾向だけです。

源氏名は万能の盾ではない

一方で、期待しすぎないことも同じくらい大切です。ここまで見てきた通り、源氏名で守られるのは以下の範囲です。

源氏名で切り分けられるもの

  • フロアでの呼称、名刺、店の掲載物、SNSのアカウント名
  • 客に対して開示される情報(第三者提供の制限により、店から客への本名の提供には本人の同意が必要)

源氏名では切り分けられないもの

  • 従業者名簿の氏名・住所(風営法第36条)
  • 採用時の生年月日・国籍の確認(同法第36条の2)
  • 法令に基づく提供(個人情報保護法第27条第1項第1号)
  • 雇用契約・税金・銀行口座など、本名でしか成立しない手続き(ホストの源氏名の記事で扱っています)

そして、切り分けたはずの層も、情報の積み重ねで崩れることがあります。源氏名に紐づけて発信した内容が増えるほど、外部から本人にたどり着ける度合いは上がります。仕切りは維持しつづけることで機能するもので、名前を分けた時点で完成するものではありません。

通う側から見た「本名を聞かない」ということ

客の立場で押さえておきたいことも整理しておきます。

第一に、本名を尋ねる必要はありません。 源氏名は職業上の名前で、その場の関係における正式な名前です。教えてもらえないのは信用されていないからではなく、そもそも店が本人の同意なく答えられない情報だからです(個人情報保護法第27条第1項)。

第二に、知ろうとする行為そのものが線を越えることがあります。 ストーカー規制法第2条が並べているのは、暴力的な行為ばかりではありません。住居等の付近をうろつくこと、拒まれたのに連続して連絡すること、面会や交際を要求すること——いずれも「知りたい」「会いたい」という気持ちから始まり得る行為です。感情の強さは、条文の適用を弱める事情にはなりません。

第三に、位置情報の取得は明確に条文に書かれています。 承諾を得ずに位置情報を取得したり、所持品に装置を取り付けたりする行為は、第2条第3項が「位置情報無承諾取得等」として規定しています。

節度を持って通うことと、相手の生活を知ろうとしないことは、同じことの裏表です。

困ったときの相談先

いずれも一般的な案内で、適切な窓口は事情によって変わります。

名前・身分証・個人情報の取扱いについて

  • 個人情報保護法相談ダイヤル(個人情報保護委員会)03-6457-9849/受付時間 9:30〜17:30(土日祝日及び年末年始を除く)——事業者等の個人情報の取扱いに関する苦情、個人情報保護法や制度に関する質問

つきまとい・待ち伏せなどの被害について

  • 警察相談専用電話 #9110——犯罪等による被害の未然防止に関する相談
  • 都道府県警察のストーカー・DV相談窓口

そのほか、警察庁「悪質ホストクラブ対策について」に掲載されている窓口

  • 女性相談支援センター #8778
  • 消費者ホットライン 188
  • 法テラス(日本司法支援センター)0570-078374
  • 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891

なお同ページには、風営法の一部を改正する法律が令和7年5月に成立・公布され、令和7年11月28日までにそのすべての規定が施行されたことも記載されています。

よくある質問

Q1. 源氏名は自分で決められますか。それとも店が決めますか。 公的なルールがないため、店舗・グループによって異なります。本人が考える場合も、店が提案する場合も、相談して決める場合もあります。確実に知る方法は、その店に直接確認することです。名前の選び方に働く実務的な条件はホストの源氏名の記事で整理しています。

Q2. 源氏名で働けば、店に本名を知られずに済みますか。 済みません。風営法第36条は従業者名簿に住所及び氏名を記載することを求め、第36条の2第1項は客に接する業務に従事させようとする者について生年月日・国籍等を内閣府令で定める書類により確認することを求めています。確認しなかった場合、店の側が第54条により百万円以下の罰金の対象になります。本名の提出は店の裁量ではなく、店に課された義務です。

Q3. 名簿にはどんな項目が書かれますか。本籍も載りますか。 風営法第36条により住所及び氏名が、内閣府令(昭和60年総理府令第1号)第25条により性別、生年月日、採用年月日、退職年月日、従事する業務の内容が記載事項とされています。本籍はこの五項目に含まれていません。ただし採用時の確認書類として、本籍地都道府県名の記載がある書類が同内閣府令第26条で指定されています。確認する情報と、名簿に残す情報が分けられている形です。

Q4. 辞めたあと、名簿はいつまで残りますか。 風営法施行規則第106条により、退職した日から起算して3年を経過する日まで備え付けることとされています。これは法令上の備付け義務なので、本人の希望で早く消せる性質のものではありません。一方、店のホームページやSNSに残る掲載物は名簿とは別で、個人情報保護法第33条の開示請求や第35条の利用停止等の請求の対象になり得ます。

Q5. 客に本名を聞かれたら、店は答えてしまうのですか。 個人情報保護法第27条第1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。例外として挙げられているのは法令に基づく場合や、生命・身体・財産の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合などで、客の求めに応じることはこれに当たりません。また同法第24条は、従業者に個人データを取り扱わせるにあたり必要かつ適切な監督を行うことを事業者に求めています。

Q6. 同じ店に同じ源氏名の人が二人いたらどうなりますか。 公的な名前の登録制度はないため、重複を避ける仕組みは店の中にしかありません。指名・売上・給与の管理はすべて人と記録の一対一の対応で成り立っているので、重複が起きると帳簿の側で人が特定できなくなります。実務上、店が候補を確認する形になりやすいのはこのためだと説明できますが、運用は店ごとに異なります。

Q7. 源氏名を使っていれば、身元を特定される心配はありませんか。 そこまでは言えません。源氏名は名前という一要素を切り離す仕切りであって、勤務先と出勤時間帯は業務上どうしても外に出ます。加えて、源氏名に紐づけて発信した情報が積み重なるほど、外部から本人にたどり着ける度合いは上がります。個人情報保護法上の個人情報の定義には、他の情報と容易に照合できることで個人を識別できるものが含まれています。

Q8. 店の個人情報の扱いに不安があります。どこに相談できますか。 個人情報保護委員会が「個人情報保護法相談ダイヤル」(03-6457-9849、9:30〜17:30、土日祝日及び年末年始を除く)を設けており、事業者等の個人情報の取扱いに関する苦情や、法律・制度に関する質問を受け付けています。つきまといなどの被害に関わる場合は、警察相談専用電話 #9110 も選択肢になります。

Q9. 名簿の作成や本人確認が面倒に見えます。省略している店はないのですか。 省略は違反です。風営法第54条第3号は第36条違反(名簿の未備付け・記載漏れ・虚偽記載)を、第4号は第36条の2第1項の確認を怠った場合を、第5号は確認記録の未作成・虚偽記録・未保存を、それぞれ百万円以下の罰金の対象としています。さらに第57条の両罰規定により、法人にも罰金刑が科され得ます。また第37条により、公安委員会は報告や資料の提出を求めることができ、警察職員は営業所に立ち入ることができます。

まとめ:この記事の要点

  • 源氏名の付け方を定めた法令はない。決め方そのものは店と本人の領域で、詳細はホストの源氏名の記事にまとめている
  • キャバクラの働き手の名前は二層に分かれている。フロアで使われる源氏名と、店の帳簿に記録される本名。この二層は慣習ではなく、風営法が店に課した記録義務から生じている
  • 風営法第36条の2第1項は、客に接する業務に従事させようとする者について、生年月日・国籍等を内閣府令で定める書類により確認することを店に義務づけている。第2項は確認記録の作成・保存も求めている
  • 確認書類は内閣府令(昭和60年総理府令第1号)第26条が指定しており、日本国籍を有する者については本籍地都道府県名の記載がある書類が必要とされている。確認事項に「国籍」が入っているためだと条文の構造から読める
  • 従業者名簿の記載事項は、住所・氏名(風営法第36条)に加え、性別・生年月日・採用年月日・退職年月日・従事する業務の内容(同内閣府令第25条)。本籍は含まれず、源氏名も含まれない
  • 名簿は施行規則第106条により退職日から3年を経過する日まで備え付けが必要。第107条により電磁的な記録での代替も認められるが、「直ちに表示されることができる」ことが条件
  • 名簿・確認を欠いた場合、風営法第54条第3号〜第5号により百万円以下の罰金。第57条の両罰規定で法人にも科され得る
  • 第37条は報告・資料提出と立入りを定める一方、第4項で「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」と権限の性質を限定している
  • 店が源氏名を管理するのは、法令ではなく実務の要請から説明できる。重複が帳簿の一対一対応を壊すこと、名刺は配った時点で回収できないこと、SNSの投稿は店の外に残り続けることの三つ
  • 名簿は個人データでもある。個人情報保護法第21条(利用目的の通知・明示)、第23条(安全管理措置)、第24条(従業者の監督)、第27条(第三者提供の制限)が店にかかる
  • 客に本名を教える行為は第27条第1項の例外に当たらない。源氏名の匿名性を実質的に支えているのはこの条文
  • 漏えい等が起きた場合、個人情報保護委員会は四類型について報告と本人通知を義務としている(要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正の目的、1,000人超)
  • 退店後、名簿は法令上3年残るが、店のホームページやSNSの掲載物は別。個人情報保護法第33条の開示請求、第35条の利用停止等の請求が働き得る。特に第35条第5項の「利用する必要がなくなった場合」が関わる
  • 本名を出さない意味は、名前・場所・時間の組み合わせを完成させないこと。接客業では場所と時間が公開されるため、名前だけが切り離せる要素になる
  • ストーカー規制法第2条は、つきまとい・待ち伏せ・住居等付近の見張り・うろつき、拒まれた後の連続した連絡、面会や交際の要求などを「つきまとい等」として列挙し、第3項で位置情報の無承諾取得等も規定している
  • ただし源氏名は万能ではない。名簿・採用時の確認・法令に基づく提供・税や口座の手続きは本名で動く。仕切りは維持しつづけて初めて機能する

法令に関する記述は一般的な情報であり、個別の事案の結論は事情によって異なります。店ごとの運用については、必ずその店に直接確認してください。


名前をひとつ分けるだけで、これだけの制度が背後で動いています。逆に、名前も所属も持ち出さずに、いま少し誰かと話したいだけということもあります。LOVETOK NOWは「今、話せます」と待機している人だけが一覧に並び、マッチングを待たずにその場でチャットを始められるサービスです(20歳以上・年齢確認あり)。地域ごとの話は出会いガイドにまとめています。

参考情報

今、時間がある人が並んでいます

今すぐ話し相手がほしいなら、待つ必要はありません。LOVETOK NOW は 「今、話せます」と出している人だけが並ぶ場所です。気になる人へその場で声をかけられます。

無料で新規会員登録

18歳以上・年齢確認済みの方のみ利用できます

本記事は公開されている情報をもとに LOVETOK NOW 編集部が整理したものです。 店舗・地域・個人によって事情は異なり、制度や料金は変わることがあります。 最新の内容は各公式情報をご確認ください。

新規会員登録はこちら