「キャバ嬢の休日は何をしているのか」を調べると、買い物、美容、寝ている、といった答えが並びます。どれも間違いではありませんが、順番が逆です。休日にやることを先に選んでいるのではなく、平日にできなかったことが休日にまとめて流れ込んできて、その受け皿として一日が使われている——これが休日の実態に近い形です。
流れ込んでくるものは、大きく三つに分かれます。①足りていない睡眠の立て直し、②体と見た目のメンテナンス(美容と通院)、③人と会う時間。 やっかいなのは、この三つが同じ一日の中で互いに時間を奪い合うことです。長く寝れば人に会えず、人に会えば睡眠が削れ、通院の予約を入れれば起床時刻が前に引かれる。しかもその休日が何曜日に来るのかが、事前に確定していないことがある。
この記事では、休日の「中身」を三つに分解したうえで、それぞれについて公的資料で確認できることだけを書きます。寝だめが効く場合と逆効果になる場合の境目、夜の時間帯に働く人の健康診断が半年に1回とされている法律上の根拠、「休日はシフトによる」としか書かれていない労働条件通知書をどう扱うか。この三点は、感覚ではなく資料で線が引ける部分です。
この記事で分かること
- キャバ嬢の休日の過ごし方を示す公的統計はない。参考になるのは一般の生活時間の数字で、そこから何が読めるか
- 休日は「与えられ方」から違う。労働基準法が定める休日の下限と、シフト制で決めておくべきこと
- 休日の寝だめは、平日の睡眠時間によって意味が変わる。1時間と2時間の境目
- 夜の時間帯に働く人が受けられる健康診断は二種類ある(事業者が行うものと、自分で受けて結果を出すもの)
- 昼型社会と休みがずれることの正体と、予定を合わせるための考え方
- 休日が確定しない・削られたときに使える制度(年次有給休暇の比例付与、休業手当)
「キャバ嬢の休日の過ごし方」を示す統計はない
まず、この記事の前提をはっきりさせておきます。国や自治体が公表している統計に「キャバクラで働く人の休日の過ごし方」という区分はありません。 出勤日数も休みの取り方も、店舗・地域・雇用形態・本人の事情で大きく変わります。ですから「みんなこう過ごしている」という平均像は、この記事では出しません。
代わりに使えるのが、日本に住んでいる人全体の生活時間を測った調査です。総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、10歳以上の人の1日の生活時間(週全体平均)は、睡眠が7時間54分、休養・くつろぎが1時間57分、趣味・娯楽が48分、スポーツが13分、交際・付き合いが10分、受診・療養が7分となっています。
この並びを見て、まず目に入るのは最後の二つの短さです。人と直接会って過ごす「交際・付き合い」は1日平均10分、体を診てもらう「受診・療養」は7分。 しかもこの調査では、2016年と比べて増減が最も大きい項目のひとつが交際・付き合いで、17分から10分へ7分の減少となっています(休養・くつろぎは20分の増加、睡眠は14分の増加)。
ここから読めることは二つあります。
ひとつは、「人と会う時間」と「体をみてもらう時間」は、夜職に限らず、そもそも日本全体で薄いということ。夜の時間帯に働いているから人に会えない、という話の前に、昼型の生活をしている人でも1日10分しか取れていない、という土台があります。
もうひとつは、この二つは「余った時間でやること」に分類されやすく、意識して枠を取らないと消えるということ。睡眠や休養・くつろぎのように毎日ある程度の量が確保される行動とは、性質が違います。休日を設計するときに真っ先に落ちるのが、この二つだと考えておくほうが実務的です。
休日は「与えられ方」から違う
「休日に何をするか」の前に、そもそも休日がいつ、どうやって決まるのかを押さえておきます。ここは店ごとの慣習ではなく、法律とルールの話です。
法律が決めているのは「下限」だけ
労働基準法第35条は、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と定めています。ただし同条第2項で、「前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない」とされています。つまり法律が要求しているのは、毎週1回の休日か、4週間で4日以上の休日か、どちらかです。
注意したいのは、これが下限だということです。週2日休みや週3日休みが違法という意味ではまったくなく、逆に「週1日あれば十分」という基準でもありません。実際の休日日数は労働契約と就業規則で決まります。そして、この条文が適用されるのは労働基準法上の「労働者」として働いている場合です。 業務委託・請負の形で契約している場合、この枠組みはそのままは働きません。自分がどちらなのかは、契約書の表題ではなく働き方の実態で判断される部分があります。
「休日はシフトによる」だけでは足りない
キャバクラに限らず、飲食・接客の現場では、労働日を契約時点で確定させず、1週間や1か月ごとに作るシフト表ではじめて具体的な労働日が決まる形が多くあります。厚生労働省はこの働き方をいわゆる「シフト制」と呼び、令和4年1月に「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」をまとめています。同省の説明では、シフト制とは「労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態」を指します(三交替勤務のように、一定期間の労働日数・労働時間数が決まっていて勤務パターンを組み合わせる形態は除かれます)。
この留意事項の使用者向けリーフレットには、休日について次のように書かれています。「具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。」
これは大事な一行です。会社は労働契約を結ぶときに、始業・終業時刻、休憩、休日などの労働条件を書面で明示しなければならないとされています(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条)。曜日が決まっていないことを理由に、休日欄を「シフトによる」の一言で済ませてよい、ということにはなりません。 使用者向けリーフレットのチェックリストでも、始業・終業時刻や休日を「シフトによる」とだけ記載している場合は、原則的な考え方の記載や最初の期間のシフト表の交付といった方法で明示するよう促されています。
休日を「事前に決められる形」にするために
同じ留意事項では、シフト制の労働契約であらかじめ労使で合意しておくことが考えられる事項として、次のようなものが挙げられています。
- 会社は、シフト作成時に、事前に労働者の希望を聴くこと
- 決定したシフトを労働者に通知する際の期限と方法(例:毎月○日までに、電子メール等で通知する)
- 一旦確定したシフトの労働日や労働時間を、キャンセルしたり変更する場合の期限や手続
- 一定期間中の目安となる労働日数・労働時間数(最大、目安、最低限)
そして、リーフレットにはこう注記されています。「一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者と労働者双方の合意が必要である点にご留意ください。」
休日の話としてこれを読み替えると、「一度決まった休みを後から出勤日に変えることは、当然にできるわけではない」ということです。 休日の予定——通院、家族の行事、友人との約束——が毎回崩れて困っている場合、問題は本人の断り方ではなく、シフトの変更ルールが最初に合意されていないことにある可能性があります。
なお、シフト制で働く場合でも、要件を満たせば労災保険の給付の対象になり、雇用保険や健康保険・厚生年金の被保険者にもなります。「シフト制だから制度の外」ということではありません。
休日の使い道①:睡眠の立て直し
三つの用途のうち、いちばん多く時間を取り、いちばん誤解されているのが睡眠です。
成人の目安は「6時間以上」
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)は、成人について次のように書いています。「これまで明らかになった科学的知見に基づくと、成人においては、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されます。」
ただし同ガイドは、「適正な睡眠時間には個人差があり、6時間未満でも睡眠が充足する人もいれば、8時間以上の睡眠時間を必要とする人もいます」とも書き、「日中の眠気や睡眠休養感に応じて、各個人に必要な睡眠時間を自ら探る必要があります」としています。推奨事項として掲げられているのは、「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」という形です。
休日の寝だめは「平日6時間」で意味が変わる
ここからが、休日の話の核心です。睡眠ガイド2023には、「休日の『寝だめ』の問題点」という項目が置かれています。
同ガイドはまず、「平日の睡眠不足(睡眠負債)を、休日に取り戻そうと長い睡眠時間を確保する『寝だめ』の習慣がある人は少なくありませんが、このような習慣で、実際には眠りを『ためる』ことはできません」と書きます。そして国際的には週末の眠りの取り戻し(Weekend catch-up sleep)と呼ばれ、毎週末(休日)に時差地域への旅行を繰り返すことに類似していることから、社会的時差ボケ(Social Jetlag)とも呼ばれると説明しています。
そのうえで、40〜64歳の成人を対象とした調査についてこう紹介しています。
- 平日6時間以上寝ている人に限り、休日の1時間程度の寝だめは寿命短縮リスクを低下させることが示されている
- 平日6時間未満の睡眠時間の人は、休日の寝だめをしても寿命短縮リスクが有意に高まる
- ただし平日6時間以上寝ていても、休日に2時間以上の寝だめ習慣がある人は、寿命短縮リスクが軽減されない
この三行は、休日の使い方をかなり具体的に変えます。寝だめは「する/しない」の二択ではなく、平日の睡眠時間がどれくらいかによって意味が反転する行動だ、ということだからです。平日に6時間を割っている状態で休日に長く寝る、という組み合わせは、同ガイドが挙げている中でいちばん分の悪い形になります。
同ガイドはさらに、「休日に長時間の睡眠が必要な場合は、平日の睡眠時間が不足しているサインであり、平日に十分な睡眠時間を確保できるよう、睡眠習慣を見直す必要があります」と書いています。
つまり休日にやるべきことは、長く寝ることそのものではなく、「平日の睡眠時間を作り直すこと」だ、という順序になります。 平日の起床時刻がどう決まっているかについては、キャバ嬢は何時に起きて何時に寝るのかの記事で、外の予定からの逆算という形で整理しています。休日の設計は、その逆算表を書いたあとでないと手がつけられません。
「起床時刻を大きくずらさない」という条件
もうひとつ、同ガイドが指摘しているのは起床時刻のずれです。「寝だめのために休日の起床時刻が大きく遅れると、体内時計が混乱し、時差地域への海外旅行と同様の時差ボケが生じる結果、健康を損なう危険性が生じると考えられます」とされています。
これは、休日の設計に一つの制約を加えます。休日に確保したいのは「長さ」ではなく、平日と大きく離れない「位置」だということです。実務的には、寝る時刻を早める余地は少ない(閉店時刻と退勤後の作業で天井が決まる)ので、動かせるのは主に起床時刻のほうになります。
同ガイドは光についても、「起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度は上昇します」とし、日中に多くの光を浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加して入眠が促進されるとしています。この効果は1,000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られると書かれています。
「交替制勤務」の項をそのまま当てはめてよいかは、確認が要る
睡眠ガイド2023には「就業形態(交替制勤務)と睡眠の課題について」という章があり、夜間に働く人向けの記述がまとまっています。ただし適用範囲には注意が必要です。同章は交替制勤務を、「始業時刻と終業時刻の組み合わせ(勤務時間帯)が固定されず、日ごとあるいは一定の期間ごとに勤務時間帯が変化する勤務形態」と定義したうえで、「勤務時間帯が夜から朝までの1パターンのみの場合は交替制勤務には含まれません」と明記しています。
夜の時間帯だけで固定して働いている場合、この章の記述はそのままの形では当てはまりません。 一方で、昼職と掛け持ちしていたり、日によって出勤時間帯が変わったりする場合は、勤務時間帯が変化する形に近づきます。自分がどちらに当たるかで、参考にできる範囲が変わります。
そのうえで、同章に書かれている工夫のうち、休日の設計に関係するものを挙げておきます。
- 仮眠の長さ:0〜4時に開始する20〜50分間の仮眠は、眠気や仕事効率、疲労を改善させることが報告されている。一方、仮眠時間を60分間と長めに設定した研究では、かえって仕事の効率が低下したと報告されている。長すぎる仮眠は眠りが深まり、覚醒後の強いぼんやり感(睡眠慣性)が生じやすいためと考えられている
- 仮眠とカフェインの順番:コーヒーなどでカフェインを摂取してから仮眠を開始すると、仮眠後の覚醒が容易になり、睡眠慣性も生じにくくなるとの報告がある
- 勤務後の仮眠:夜勤後の仮眠が睡眠不足を補い、非番日(=休日)の覚醒度や仕事効率を上げる可能性が示されている
- 光の調整には限界がある:光で体内時計を勤務に合わせようという試みはあるが、実生活で1日当たりに修正できる体内時計の時間は数分から数時間程度であるため、この方法で適応させることは困難であり、翌日以降の生活に悪い影響を及ぼす可能性もあると注意されている
そして同章は最後に、「記載されている内容等を実践しても、不眠や睡眠休養感の低下、覚醒時(業務中)の眠気が続き、生活に支障を来たしている場合は、医療機関の受診をお勧めします」と書いています。休日の工夫でどうにもならない領域がある、と公的資料自身が言っている部分です。
休日にやめておくと差が出るもの
同じガイドの「睡眠と嗜好品について」からも、休日に関わる部分を挙げます。
- カフェイン:摂取量が1日400mg(ドリップコーヒーで珈琲カップ4杯分=700cc程度)を超えると夜眠りにくくなる可能性がある。日本人の血中半減期は3〜7時間とばらつきがあり、半減期が5時間の場合、朝9時に400mgを一度に摂取すると19時に100mg相当が残る計算になる。夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすい
- アルコール:一時的には寝つきを促進し睡眠前半では深い睡眠を増加させるが、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増えるにつれて中途覚醒回数が増加すると報告されている。寝つきを改善させるために飲む、いわゆる「寝酒」も含め、大量の摂取(深酒)や毎日の飲酒は推奨されないとされている
- 入浴:就寝の約1〜2時間前に入浴して身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなるとされている
休日にまとめて体を動かしたい場合の目安もあります。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月)は成人について、歩行またはそれと同等以上の強度(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)を推奨し、あわせて筋力トレーニングを週2〜3日取り入れること、座りっぱなし(座位行動)の時間が長くなりすぎないよう注意することを挙げています。「休日に一気に運動する」より、座位行動を削るほうが指針の考え方には近い形です。
勤務と勤務の間隔という論点
休日そのものとは別に、退勤から次の出勤までの間隔も睡眠に効きます。睡眠ガイド2023は、働き方改革の一環として「勤務間インターバル」制度の導入が企業の努力義務とされていることに触れ、日本の労働者を対象とした調査でインターバル時間が12時間未満の者は、睡眠休養感の欠如、疲労感の増加、ストレスをより感じていることが報告されていると紹介しています。
制度の根拠は労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第2条第1項で、事業主の責務として「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」などを図ることが定められています。
同ガイドはあわせて、「勤務間インターバルを活用するとともに、睡眠をとる時刻帯が日によって著しくずれることがないような工夫も、同時に取り入れることが望ましい」と書いています。間隔を空けるだけでなく、時刻帯を揃える。この二つがセットだという指摘は、休日の設計にもそのまま効きます。
休日の使い道②:体と見た目のメンテナンス
次が通院・健診・美容です。先ほど見たとおり、「受診・療養」に使われている時間は全体平均で1日7分しかありません。休日にしか行けない、という制約が加わると、この枠はさらに取りにくくなります。
ここには、知っておくと動きやすくなる制度が二つあります。
① 事業者が行う健康診断は、深夜業だと半年に1回になる
労働安全衛生規則第45条(特定業務従事者の健康診断)は、「事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない」と定めています。
そして、その第13条第1項第3号のヌに挙げられているのが「深夜業を含む業務」です。
つまり、深夜業を含む業務に常時従事する労働者については、一般の定期健康診断(1年以内ごとに1回)ではなく、6か月以内ごとに1回の健康診断が事業者の義務になります。 深夜業の時間帯は、労働安全衛生法第66条の2で午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が指定する地域・期間では午後11時から午前6時まで)とされています。
シフト制で働いている場合も同じです。厚生労働省の労働者向けリーフレットには、「会社は必要に応じて、シフト制労働者に対しても、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育(安衛法第59条)や健康診断(安衛法第66条)などを行わなければなりません」と書かれています。
ここでも前提は同じで、これは労働基準法・労働安全衛生法上の「労働者」として働いている場合の話です。業務委託の形で契約している場合、事業者に対するこの義務は同じようには働きません。
② 自分で受けた健康診断の結果を、会社に出せる仕組みがある
もうひとつ、あまり知られていない制度があります。労働安全衛生法第66条の2(自発的健康診断の結果の提出)です。同条は、深夜業に従事する労働者のうち厚生労働省令で定める要件に該当する者は、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができるとしています。
その「要件」を定めているのが労働安全衛生規則第50条の2で、「常時使用され、同条の自ら受けた健康診断を受けた日前六月間を平均して一月当たり四回以上同条の深夜業に従事したこと」とされています。
平均して月4回以上、つまり週1日程度以上の深夜業がある、というのがここでの線です。 この仕組みは、会社の健診の日程が自分の生活に合わない場合や、健診の間隔を待たずに調べておきたい場合に、自分のタイミングで受けた結果を制度の中に載せられる、という意味を持ちます。休日に医療機関へ行く回数が限られている人ほど、使える場面があります。
美容の予定は「休日を丸ごと食べる」性質がある
通院と並んで休日を占めるのが美容の予定です。ここで押さえておきたいのは、金額ではなく時間の食べ方です。
美容の予定には、①予約枠が相手側で決まる、②所要時間が長い、③施術後すぐに次の予定を入れにくい、という三つの性質があります。この三つが重なると、1件入れるだけで休日の半分以上が確定してしまうことがあります。睡眠の立て直しと同じ日に置くと、たいてい睡眠のほうが削られます。
費目の分け方や年額の出し方、店が立て替えて給料から引かれる場合のルールは夜職の衣装・美容代の記事にまとめています。この記事の関心は費用ではなく、「休日の何時間を、いくつの予定で埋めるか」という配分のほうです。
体調と気持ちの相談先
体調や気持ちの不調が続いているとき、いきなり医療機関に行くのが難しければ、相談窓口という選択肢もあります。厚生労働省は、働く人とその家族、事業者などに向けたポータルサイト「こころの耳」を運営しており、電話相談・SNS相談・メール相談の窓口と、全国の医療機関を探せる機能を案内しています。
労働条件そのもの——休みが取れない、シフトが一方的に変わる——については、都道府県労働局や労働基準監督署などに設置されている総合労働相談コーナーが窓口として案内されています。厚生労働省のシフト制リーフレットでも、シフト制の労働契約や労働条件全般の相談先として挙げられています。
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休日の使い道③:人と会う——昼型社会とのずれ
三つ目が、家族や友人と過ごす時間です。ここは制度ではなく構造の問題で、しかも本人の努力ではあまり動かない部分を含みます。
ずれは「曜日」と「時刻」の二重で起きる
昼型の生活をしている人の休みは、土曜・日曜・祝日に集まります。学校行事も、役所や銀行の窓口も、家族の集まりも、その前提で組まれています。一方、夜の店は土日も営業しているのが普通で、むしろ来客の多い曜日にこそ人手が要ります。結果として、休みが平日に寄りやすい。
さらに、休みが同じ日に重なったとしても、動ける時刻帯が違います。 昼型の人が動きやすいのは日中から夕方、こちらが起きているのは昼過ぎから深夜。重なる時間帯は、夕方の数時間しかないことがあります。そしてその夕方は、出勤日であれば準備と同伴で最初に埋まる時間帯でもあります(1日の組み立て方はキャバ嬢の1日の記事にまとめています)。
ずれは「曜日」と「時刻」の二重で起きている。 ここを分けて考えないと、「休みが合わない」で話が終わってしまいます。
一般でも「交際・付き合い」は1日10分
先に見たとおり、令和3年社会生活基本調査での「交際・付き合い」の時間は週全体平均で1日10分、2016年の17分から7分減っています。これは全国平均の数字であって、夜職の数字ではありません。 ただ、この数字が示しているのは、人と会う時間は、放っておくと真っ先に削られるという、働き方に関係のない傾向です。
だとすると、対処の方向は「もっと時間ができたら会う」ではなく、限られた枠をどう置くかになります。公的資料から言えるのはここまでで、以下は考え方の整理です。
- 曜日を固定する:シフト制の留意事項では、シフト作成時に事前に労働者の希望を聴くことや、最低限の労働日数・目安の労働日数を労使で定めておくことが挙げられています。「毎週この曜日は休む」を先に合意しておければ、相手側も予定を組めます。毎回その都度調整するより、固定した1日のほうが結果的に回数は増えます
- 長さより頻度で考える:丸一日を空けようとすると、月に一度も実現しません。短い時間で回数を確保するほうが、休日全体の配分としては壊れにくい形です
- 相手の可処分時間に合わせる:相手が動けるのが平日の夜なら、こちらの出勤前は使えません。逆に相手が土曜の午前に動けるなら、こちらの起床時刻をどこまで前に出せるかという話になります。ここで起床時刻を大きく前後させると睡眠の位置がずれるので、①の睡眠の話と必ずぶつかります
このぶつかり合いを認めたうえで配分を決めるのが、休日の設計です。 どれかを立てればどれかが削れる、という前提を最初に置いておくと、判断が早くなります。
三つを一日に詰め込まない
ここまでの三つ——睡眠の立て直し、体のメンテナンス、人と会う時間——は、一日で三役を兼ねることができません。 長く寝れば予定は入らず、予定を入れれば起床が前に引かれ、夜に人と会えば就寝が後ろにずれます。
現実的なのは、役割を分けることです。
- 休みが週2日あるなら、片方を「動かす日」(通院・美容・人と会う)、もう片方を「戻す日」(起床時刻を平日と大きく変えず、予定を入れない)に分ける
- 休みが週1日なら、一日の中で分けるのは難しいので、月単位で配分する。第1週は通院、第2週は人と会う、というように、月に4回ある休日に役割を割り振る
- どちらの場合も、「予定を入れない日」を先に確保する。睡眠ガイド2023が重視しているのは睡眠時間の長さだけでなく睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)で、同ガイドは睡眠休養感の低下が健康状態の悪化に関わることが分かっていると述べ、日本での追跡調査で心血管疾患の発症率との関連が、若年成人と女性で顕著であることが示されていると紹介しています
そして、この配分は起床時刻を大きく動かさない範囲で組む——ここが、他の職業向けの「休日の過ごし方」記事と違ってくる点です。時刻帯を揃えたまま、中身を入れ替える。 睡眠ガイド2023が言う「睡眠をとる時刻帯が日によって著しくずれることがないような工夫」を、休日にも当てはめると、そういう形になります。
なお、平日の昼にしかできない用事——役所の窓口、確定申告など——は、休日ではなく平日昼の時間帯の使い方の問題です。そちらはキャバ嬢の平日の昼の記事で扱います。
休日が確定しない・削られたときに使える制度
最後に、休日が思うように取れないときに関係してくる制度を整理します。
年次有給休暇は、週3日勤務でも発生する
労働基準法第39条第1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」と定めています。
そして、所定労働日数が少ない働き方でも、日数に応じた年次有給休暇が発生します。 これを比例付与といい、労働基準法第39条第3項と労働基準法施行規則第24条の3で定められています。同規則は、法第39条第3項の厚生労働省令で定める時間を30時間、通常の労働者の1週間の所定労働日数を5.2日としたうえで、週所定労働日数・年間所定労働日数に応じた付与日数の表を置いています。表によれば、たとえば次のようになります。
| 週所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
週3日の出勤でも、6か月続けて8割以上出勤していれば5日の年次有給休暇が発生する、というのが表の読み方です。厚生労働省の労働者向けリーフレットも、シフト制について「所定労働日数、労働時間数に応じて年次有給休暇を取得することができます(労基法第39条第3項、労基則第24条の3)」と明記しています。
取得の時季についても、同リーフレットは「会社は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません(労基法第39条第5項)」と書いています。さらに労働基準法第39条第7項は、「使用者は…有給休暇の日数のうち五日については、基準日から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」として、年5日の時季指定を使用者の義務としています。
なお、厚生労働省はこの留意事項について、令和8年6月に、シフト制労働者の年次有給休暇に関する部分(比例付与を含めた付与日数の計算方法、所定労働日数の算定が困難な場合の対応、取得時の賃金計算方法)を追記する改正を行ったと案内しています。所定労働日数が固定されていない働き方での扱いは、この改正部分を確認するのが早い形です。
会社の都合で休みにされたとき
逆に、入る予定だったシフトを会社の都合で削られた場合はどうか。労働基準法第26条は、会社の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があると定めています(会社の故意・過失等による休業の場合は、民法第536条第2項により賃金全額の支払いが必要になる場合があります)。
「休みが増えた」ではなく「働けるはずの日を失った」ケースがここに当たり得ます。 ただし、どこまでが「会社の責に帰すべき事由」に当たるかは個別の事情によります。判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
Q1. キャバ嬢の休日は、週に何日あるのが普通ですか。
公的な統計はありません。 出勤日数は店舗・地域・契約で大きく異なります。法律が定めているのは下限で、労働基準法第35条により、毎週少なくとも1回の休日か、4週間を通じ4日以上の休日のいずれかが必要とされています。これは「週1日で十分」という意味ではなく、実際の休日日数は労働契約と就業規則で決まります。
Q2. 休日に寝だめをしてもいいのですか。
睡眠ガイド2023は、寝だめでは実際に眠りを「ためる」ことはできないとしたうえで、40〜64歳の成人を対象とした調査として、平日6時間以上寝ている人に限り休日1時間程度の寝だめは寿命短縮リスクを低下させる一方、平日6時間未満の人は休日に寝だめをしても寿命短縮リスクが有意に高まること、平日6時間以上でも休日に2時間以上の寝だめ習慣がある人はリスクが軽減されないことを紹介しています。まず平日の睡眠時間がどうなっているかで、答えが変わります。
Q3. 休日の起床時刻は、どれくらいずらしてよいですか。
具体的な許容幅を示した公的な基準は見当たりませんでした。 睡眠ガイド2023は、寝だめのために休日の起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱し、海外旅行と同様の時差ボケが生じる結果、健康を損なう危険性が生じると考えられるとしています。また、睡眠をとる時刻帯が日によって著しくずれない工夫が望ましいとも書かれています。「長さより位置」を優先する、というのが同ガイドの方向です。
Q4. 労働条件通知書の休日欄が「シフトによる」としか書かれていません。
厚生労働省のシフト制の留意事項では、休日について「具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります」とされています。使用者向けチェックリストでも、「シフトによる」とだけ記載している場合は、原則的な考え方の記載や最初の期間のシフト表の交付といった方法で明示するよう促されています。まず店に確認し、話が進まない場合は総合労働相談コーナーへ相談するのが順序です。
Q5. 夜の時間帯に働いていると、健康診断は年2回になるのですか。
労働安全衛生規則第45条は、同規則第13条第1項第3号に掲げる業務(そのヌが「深夜業を含む業務」)に常時従事する労働者について、配置替えの際および6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことを事業者に義務づけています。「常時従事」に当たるかどうかは実態で判断されます。 また、この義務は労働安全衛生法上の労働者として働いている場合のものです。
Q6. 自分で受けた健康診断の結果は、どう扱えばよいですか。
労働安全衛生法第66条の2は、深夜業に従事する労働者のうち省令で定める要件に該当する者は、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができるとしています。その要件は労働安全衛生規則第50条の2で、常時使用され、健康診断を受けた日前6か月間を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事したことと定められています。会社の健診日程が自分の生活時間と合わないときに使える仕組みです。
Q7. 週3日しか出勤していませんが、有給休暇はありますか。
あります。労働基準法第39条第3項と労働基準法施行規則第24条の3による比例付与の対象です。表によれば、週所定労働日数3日(年間121〜168日)の場合、6か月で5日、1年6か月で6日、6年6か月以上で11日となります。ただし、6か月間の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤という要件は共通です。 所定労働日数が固定されていない働き方での算定については、厚生労働省が令和8年6月に改正した留意事項に説明が追記されています。
Q8. 一度決まった休みを、前日に出勤日へ変えられました。
厚生労働省のシフト制の留意事項は、「一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者と労働者双方の合意が必要である」と注記しています。同じ資料では、確定したシフトをキャンセル・変更する場合の期限や手続をあらかじめ労使で定めておくことが挙げられています。再発を防ぐには、その都度断るより、変更ルールを先に合意しておくほうが効きます。
Q9. 昼職の友人と休みがまったく合いません。
ずれは「曜日」と「時刻」の二重で起きています。曜日については、シフト制の留意事項が挙げているシフト作成時の希望聴取や最低限・目安の労働日数の取り決めを使って、固定の休みを作れるかを店と相談する余地があります。時刻については、起床時刻を大きく動かすと睡眠の位置がずれるため、丸一日ではなく短い時間で回数を確保するほうが、睡眠と両立しやすい形になります。
Q10. 休日の工夫を続けても、眠れない・日中の眠気が取れません。
睡眠ガイド2023の交替制勤務の章は、記載されている内容を実践しても、不眠や睡眠休養感の低下、覚醒時(業務中)の眠気が続き、生活に支障を来たしている場合は、医療機関の受診をお勧めしますと明記しています。生活の工夫でどうにかする段階を過ぎている場合がある、ということです。 気持ちの面での相談先としては、厚生労働省の「こころの耳」が電話・SNS・メールの相談窓口を案内しています。
まとめ
- 「キャバ嬢の休日の過ごし方」を示す公的統計はない。 参考になるのは一般の生活時間で、令和3年社会生活基本調査の週全体平均は睡眠7時間54分、休養・くつろぎ1時間57分、趣味・娯楽48分、交際・付き合い10分、受診・療養7分
- 交際・付き合いは2016年の17分から10分へ7分減。人と会う時間と受診の時間は、意識して枠を取らないと消える性質がある
- 休日の下限は労働基準法第35条(毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上)。これは下限であって目標値ではない
- シフト制でも、休日は「シフトによる」だけでは足りない。 厚生労働省の留意事項は、曜日が確定していなくても休日の設定にかかる基本的な考え方を明記する必要があるとしている
- 一旦確定したシフトの変更は労働条件の変更に当たり、双方の合意が必要とされている。休日の予定が毎回崩れるなら、変更ルールの合意が先
- 睡眠ガイド2023は成人について6時間以上を目安とし、休日の寝だめは平日6時間以上の人の1時間程度まで、平日6時間未満の人や休日2時間以上の寝だめ習慣はリスクが軽減されない/高まると紹介している
- 休日に長時間の睡眠が必要なのは、平日の睡眠が足りていないサイン。 休日の課題は「長く寝ること」ではなく「平日を作り直すこと」
- 起床時刻を大きくずらさない。 寝だめで休日の起床が大きく遅れると体内時計が混乱するとされている
- 交替制勤務の章は、夜から朝までの1パターンのみの勤務は交替制勤務に含まれないと定義しているため、当てはまる範囲の確認が要る
- 深夜業を含む業務に常時従事する労働者の健康診断は6か月以内ごとに1回(労働安全衛生規則第45条、第13条第1項第3号ヌ)
- 自分で受けた健診の結果を会社に出せる仕組みがある(労働安全衛生法第66条の2、同規則第50条の2=6か月間を平均して1か月当たり4回以上の深夜業)
- 週3日勤務でも年次有給休暇は発生する(比例付与。週3日・6か月で5日)。原則として労働者の請求する時季に取得できる
- 休日は一日で三役を兼ねられない。 週2休なら「動かす日」と「戻す日」に分け、週1休なら月単位で役割を配分する
休みの日が来ても、話せる相手の予定が合わない——というずれは、時間帯そのものから生まれています。LOVETOK NOW は「今、話せます」と待機している人だけが並ぶ形なので、空いた時間にその場で短く話す、という使い方ができます(20歳以上・年齢確認あり)。住んでいる地域から見てみたい方は、地域から探すページをどうぞ。
参考情報
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月)|厚生労働省
- 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)|厚生労働省
- いわゆる「シフト制」について|厚生労働省
- 「シフト制」で働くにあたって知っておきたい留意事項(労働者向けリーフレット)|厚生労働省
- 「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項(使用者向けリーフレット)|厚生労働省
- 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果の概要|総務省統計局
- 労働基準法|e-Gov法令検索
- 労働基準法施行規則|e-Gov法令検索
- 労働安全衛生法|e-Gov法令検索
- 労働安全衛生規則|e-Gov法令検索
- 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法|e-Gov法令検索
- こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)|厚生労働省

